
伊勢道路、神様たちをチラ見して今に生きてる自分また知る ……変な短歌?
かなり昔からステキだと思っていた所のことを書きます。残念ながら、この何年かの間でも、あまり注目もされず、忘れ去られたような感じになっている所について、です。
もうかなり昔から、伊勢道路というのは、ドライブにするには楽しい所だと思っていました。もし三重県外の人にドライブするのに最適な所は? と訊かれたら、迷わず「伊勢道路」と今だって答えるでしょう。もっとステキな所を見つけられたらいいのですが、今のところベスト1は「伊勢道路」なんです。
伊勢道路は、伊勢の内宮の正面にたどり着く国道23号線の最後の信号を左折し、五十鈴川を渡り、有料道路の伊勢志摩スカイラインに行かずにそのまま直進して、志摩市の磯部町に向かう道路となっています。
最初にトンネルに入り、人間世界からオサラバして、そこからは神様の世界に唐突に入り込んでしまいます。クルマもたくさん走っているし、標高も高くないし、ただの片側二車線の道路なのです。けれども、そこから峠を抜けてダム湖をずっと下っている間は、民家は一切ありません。すべて神様に捧げられた土地なのです。
お猿さんがいたり、鹿が林の中を歩いていたり、ごくたまに、森林を管理するクルマと人を見かけることがあるようですが、道は山道で右左して登っていくので、運転者はあまり周囲を見回す余裕はありません。確かに、景色をドライバーは楽しめないかもしれない。でも、もう周囲は全くの原始林のような感じで、「ついさっきまでは町中を走っていたのに、どうして突然にこうした原始の感じが続くのだろう。どうか人工物よ、存在してくれ!」と不安な気持ちが押し寄せます。
けれども、今自分が走っているのは、舗装された道であり、対向車は突然カーブから現れるし、大きな観光バスなどが現れたら、それはもうドキッとします。そうして20分近くドキドキしっぱなしで坂道を登ったところで、トンネルが口を開けているので、「ああ、やっとここから抜け出せる」とホッとしながらトンネルをくぐると、そこは志摩の国で、天気が違うとかいう激変はないのですが、もう違う空気があって、観光道路を太陽が降り注ぐ中を下っていくことになります。
トンネルを抜けると、もう神霊の力はないような感じなのです。ただの観光道路を走っているような感じになります。
「あれっ、おかしいなあ。さっきまでの神妙な気分はどこへ行ったんだろう」と、自分で自分が信じられなくて、「帰るときに、もう一度この道路を走ってみよう」と覚悟し、とりあえず不思議な雰囲気を探しつつ下って行くのです。その時に右折をすると天の岩戸がありますよという表示が出てくるのですけれど、何だかウソっぽくて、そのまま素通りして、一気に坂を下りると、そこは神錆びた田舎になっている。
「たぶん、神様はいるのだろうけれど、あまり感じられないなあ」と、旅人はしばらくしたら引き返さざるを得なくなります。
さあ、今度は伊勢の町に下って行く場合は? トンネルを抜けて、伊勢道路の神域に入ります。カーブの連続。適度なウンジンブレーキをかけつつ下る。前を走るクルマがブレーキを踏みすぎると、もうダメで、後を走る者はハラハラしながら坂道を下ることになるのですが、クルマが重なり、ゆっくりとした下りの流れに連なることができたときがチャンスで、そういう時はまわりを見るチャンスが増えて、何台が続くクルマの列の中の一台になれたら、チラッ、チラッとカーブの前までは周囲を見回し、木々の広がり、そこから見える空の色、時々感じる谷川のせせらぎ、そういうのを味わうことができます。そういう流れの中で、シカを見つけたり、森林に向かおうとする管理人を見つけたりする。
途中に休憩するところはないので、ノンストップで坂道を下り、あれだ! これを見つけた! と楽しんでいたら、すぐにトンネルに入ってしまい、そこを抜けると、もう伊勢の陸上競技場が見え、町中に入ってしまいます。
こういう不思議な体験のできる、どらいぶ・パワースポットが伊勢道路なのです。
かなり昔からステキだと思っていた所のことを書きます。残念ながら、この何年かの間でも、あまり注目もされず、忘れ去られたような感じになっている所について、です。
もうかなり昔から、伊勢道路というのは、ドライブにするには楽しい所だと思っていました。もし三重県外の人にドライブするのに最適な所は? と訊かれたら、迷わず「伊勢道路」と今だって答えるでしょう。もっとステキな所を見つけられたらいいのですが、今のところベスト1は「伊勢道路」なんです。
伊勢道路は、伊勢の内宮の正面にたどり着く国道23号線の最後の信号を左折し、五十鈴川を渡り、有料道路の伊勢志摩スカイラインに行かずにそのまま直進して、志摩市の磯部町に向かう道路となっています。
最初にトンネルに入り、人間世界からオサラバして、そこからは神様の世界に唐突に入り込んでしまいます。クルマもたくさん走っているし、標高も高くないし、ただの片側二車線の道路なのです。けれども、そこから峠を抜けてダム湖をずっと下っている間は、民家は一切ありません。すべて神様に捧げられた土地なのです。
お猿さんがいたり、鹿が林の中を歩いていたり、ごくたまに、森林を管理するクルマと人を見かけることがあるようですが、道は山道で右左して登っていくので、運転者はあまり周囲を見回す余裕はありません。確かに、景色をドライバーは楽しめないかもしれない。でも、もう周囲は全くの原始林のような感じで、「ついさっきまでは町中を走っていたのに、どうして突然にこうした原始の感じが続くのだろう。どうか人工物よ、存在してくれ!」と不安な気持ちが押し寄せます。
けれども、今自分が走っているのは、舗装された道であり、対向車は突然カーブから現れるし、大きな観光バスなどが現れたら、それはもうドキッとします。そうして20分近くドキドキしっぱなしで坂道を登ったところで、トンネルが口を開けているので、「ああ、やっとここから抜け出せる」とホッとしながらトンネルをくぐると、そこは志摩の国で、天気が違うとかいう激変はないのですが、もう違う空気があって、観光道路を太陽が降り注ぐ中を下っていくことになります。
トンネルを抜けると、もう神霊の力はないような感じなのです。ただの観光道路を走っているような感じになります。
「あれっ、おかしいなあ。さっきまでの神妙な気分はどこへ行ったんだろう」と、自分で自分が信じられなくて、「帰るときに、もう一度この道路を走ってみよう」と覚悟し、とりあえず不思議な雰囲気を探しつつ下って行くのです。その時に右折をすると天の岩戸がありますよという表示が出てくるのですけれど、何だかウソっぽくて、そのまま素通りして、一気に坂を下りると、そこは神錆びた田舎になっている。
「たぶん、神様はいるのだろうけれど、あまり感じられないなあ」と、旅人はしばらくしたら引き返さざるを得なくなります。
さあ、今度は伊勢の町に下って行く場合は? トンネルを抜けて、伊勢道路の神域に入ります。カーブの連続。適度なウンジンブレーキをかけつつ下る。前を走るクルマがブレーキを踏みすぎると、もうダメで、後を走る者はハラハラしながら坂道を下ることになるのですが、クルマが重なり、ゆっくりとした下りの流れに連なることができたときがチャンスで、そういう時はまわりを見るチャンスが増えて、何台が続くクルマの列の中の一台になれたら、チラッ、チラッとカーブの前までは周囲を見回し、木々の広がり、そこから見える空の色、時々感じる谷川のせせらぎ、そういうのを味わうことができます。そういう流れの中で、シカを見つけたり、森林に向かおうとする管理人を見つけたりする。
途中に休憩するところはないので、ノンストップで坂道を下り、あれだ! これを見つけた! と楽しんでいたら、すぐにトンネルに入ってしまい、そこを抜けると、もう伊勢の陸上競技場が見え、町中に入ってしまいます。
こういう不思議な体験のできる、どらいぶ・パワースポットが伊勢道路なのです。