ぎっくり腰になる前、もうかなり昔のこと、奈良の大仏に行こうとしていたのに、心変わりをしてしまい、春日大社に向かったんでした。
どうしてか、といえば、そこにゲスのたくらみがあったのです。新元号なんて、全く自分には関係ないし、新しい時代だといって騒いでいるヤツなどは、愚の骨頂だなどと心の中で思っていたはずなのに、春日大社に行けば、何か違うイベントでもやっているんじゃないの? と、大騒ぎの方を選んでしまった。
ちょうど伊勢神宮も、十連休の中では五月一日が最高の人出があったということでした。雨なのに、みんなが調子に乗って、神社に押し寄せたようです。
もちろん、アホウの私も、ついつい大仏様から浮気して、藤原氏の氏神様に行ってしまった。
本殿にたどりつく前に、萬葉植物園というのがあって、いつもなら全く無視するところなのに、この日は雨にもかかわらず、フジの花が咲いているということなので、そちらに入ってしまったのです。
白いフジがあちらこちらに配置されていたりしました。意外とキレイでした。
ひっそりと浮かび上がるフジたちもいました。
そのあとにやっと本殿にお参りしましたけど、歩いて暑いのか、でも上着を脱ぐと半袖で寒いし、どうして半袖しかないのかというと、実家に適当な長袖の服がなかったので、「エーイ」と半袖に上着を着て歩いていたのでした。それで、暑いのか、寒いのかわからなくなり、わたしの風邪は悪化したのだと思われます。
春日大社の中では、建物の外まで続く長い行列ができていました。この人たちは、特別拝観をしようという人たちではありませんでした。
案内の方が何やら申し訳なさそうに、「お並びください」とアナウンスしていました。
後から考えたら、あれはご朱印をいただくための行列だったようです。
みんなって、どうしてそんなミーハーなんでしょう。ご朱印には、新元号の五月一日と書かれていることでしょう。みんな、ただそれが欲しかったようです。
それで長時間でも我慢して行列を待とうとする人たちがこんなにたくさんいる、というのが驚きでした。みんなそこまでして五月一日と書かれたものが欲しかった。なんなら、私でも書いてあげられるのに、私ではイヤなんですね。神社の字の上手な人に書いてもらいたかったらしいです。
ああ、少し不思議です。ただのコレクターなんだろうか。あまり宗教的な匂いは感じないな。