やさしい芸術論

冬が来たなら、春はそう遠くない

芸術の三大要素

2021年01月09日 | 芸術について

芸術は絵画、音楽、詩など色々な分野がありますが、

全ての分野に共通している点があります。

 

それは、芸術には三大要素が必ず含まれている点です。

 

 

この芸術の考え方は人生哲学や、他の分野にも共通している点が

あると思います。

三大要素は以下の通りです。

 

①「バランス」  ②「シンパシー」  ③「スピリチュアリティ」

 

 

①「バランス」

芸術の基本形として、相反する二つのものが含まれています。

相反する二つのものとは、例えば、プラス・マイナス、男・女、昼・夜、

春・冬、大人・子供、暑い・寒い、長い・短い、高い・低い、明・暗など…

 

バランスという意味はその相反する二つの物事の釣り合いが取れている。

調和がとれているという意味です。仏教用語で中庸を指します。

偏っていないという事です。

 

例えば食事を見てみると、相反する二つのものが多く含まれています。

野菜・肉類、熱い・冷たい、液体・固体、甘い・辛い、多い・少ない、色合いなどです。

 

それら相反する二つのものがバランスよく揃った時が、

良い食事(芸術)という事になります。

仮にこのバランスがなかったらどうなるのか。

熱すぎたり、量が多すぎたり、1か月飲み物だけなど良い食事とはなりません。

 

また完璧にバランスのとれた食事だとしても、

一年中同じメニューなら誰しも食傷気味になるでしょう。

バランスがとれた食事(芸術)も単調にならないよう、

変化をつけたり、違うメニューにしたりしなければなりません。

 

この事から「不変の完璧な芸術」というものは、存在しない事になります。

 

芸術というものは、ある程度変化し続けることによって、完璧な芸術へと近づきます。

 

(過去の偉人が残した限りなく完璧に近い作品もありますが、

 古今東西、老若男女、全ての人類が一致した趣味嗜好を有していない事から

 万人に訴えかけるものは存在しえません。)

 

これは自然をみても分かる通り、千差万別の種類の生き物が

日々成長・変化をしながら共存しています。

 

言い換えれば、千差万別の種類の生き物には千差万別の思いがあり、

千差万別の好み、欲求を持っています。

 

だからこそ、人間も同様に、十人十色の個性を

お互いに理解し合い、障がい者差別や、人種差別や貧富の差などを無くし、

バランスよく全ての人が平和に暮らせる世界が理想の世界と言えると思います。

 

芸術の分野が多岐に渡る事や、

様々な文化があることも理にかなっていると言えます。

 

 

②「シンパシー」

シンパシーとは共感、共鳴を意味します。

芸術においてこのシンパシーはとても重要な働きをします。

シンパシー無くしては、感動することはないと考えています。

 

例えば、ある人が失恋をした後に失恋ソングを聴くと、

歌詞の内容に共感してとてもこころに響く、感動するという話がよくあります。

 

失恋ソングをCDの音源だと仮定した場合、音源自体は変化しません。

失恋をする前にその曲を聴いた時と、

失恋をした後では感動する・しないに大きな違いがあります。

 

初めて失恋の経験をした人は、その人のこころに失恋の悲しみの思いが発生します。

その人の失恋の悲しみの思いと、失恋ソングの歌詞、あるいは

曲に込められた失恋の思いとが共感、共鳴して、初めて感動します。

 

言い換えれば、目に見えないこころ(思い)とこころ(思い)が

シンパシー(共感)という糸によって結び付けられ、

こころが通じ合うという事になります。

 

スタンドバイミーなどの映画で、子供に見た時の印象と、

大人になってから見た時の印象が違うという事や、

子供の時には分からなかった親の苦労や有難みを、

自ら大人になって子供を育てる事で初めて知る、理解出来るという事などもそうです。

 

また、Aさんという方が、例えばイチローさんを尊敬している場合、

Aさんはイチローさんに対してシンパシーを感じている部分が必ずあります。

 

野球経験者かイチローさんの生き方なのか、発言なのかは分かりませんが、

シンパシーの糸によってAさんとイチローさんは繋がっていると思います。

 

仮に宇宙人の宇宙後を話す奇妙な生命体が現れたとして、

その生命体にシンパシーを感じる人はほとんどいないでしょう。

 

言葉も違う、生き方も違う、何もかもぼくたちが持ち合わせていない概念、

思いなので、尊敬する人に宇宙人を上げる人はいないのではないかと思います。

人を尊敬する時にも、シンパシーは必ず働いています。

 

また、シンパシーには同情という意味もあります。

 

例えば、生まれてきて病気知らず、ケガ知らずの健康な人が、

ある時転んで足を骨折したとします。

 

その時、その人は生まれて初めて不自由な思い、病気・ケガの辛さを知る訳です。

以前は気にもしなかった、足が不自由な方へ対して

シンパシーが働いて同情の感情が動きます。

 

さらに発展して、病気をするとこんなにも辛いのかと

痛み、苦しみを分かってあげられるようになり、

その人に対してやさしく対応してあげたり、

手助けしてあげる事も出来るようになる訳です。

 

お金に苦しんだ人は、お金に苦しんだ人へ、器量が悪い人は器量が悪い人へ、

いじめられた人はいじめられているひとへ、など

人は色々な経験をすることによって、

同じ経験、思いをしている人の気持ちがある程度分かります。

(勿論不幸な目に合わずとも、楽しく、明るく生きている人は

 同じ人へのシンパシーが働きます。

 ただ、やはり辛い思い、悲しい思いを

 した人の方が人間的に精神的に成長出来るような気がします。)

 

この事は「愛」や「やさしさ」など目に見えない大切な概念を

理解する上でとても重要になると思います。

芸術にもそれらが含まれている場合、その思いと思いが

シンパシーによって結び付けられるという事です。

 

バッハの曲や、シューベルトのアヴェ・マリアやショパンの曲を聴いた時、

言葉では言い表せないけれど、何故か感動した。こころに染みた。

泣けてきたという経験は無いでしょうか。

 

それらも理屈では分からないけれど、その人が持つ思いと、作品に込められた思いとが

シンパシーによって結び付けられて感動するのです。

 

それが例えば、昔の楽しかった時の思い出と結びついたり、過去の辛い時抱いていた思いと

結びついたり、何かの場面でもこころと結びついているとぼくは考えます。

 

そして何百年前のバッハやショパンの曲が古今東西、老若男女、

数多くの人に対し感動させているという事は、

大多数の人が持っている思い、感情と同じ思い、感情が作品に込められているということです。

 

それは何かと考えると何百年経っても変わらない、「愛」や「やさしさ」や「幸福感」

などの光の部分、「悲しみ」「さびしさ」などの影の部分だと思います。

 

芸術は変化し続けなければいけない面もありますが、

精神的な面(こころ)の部分は何百年前から変わらないものがあるようです。

 

 

③「スピリチュアリティ」

最後にスピリチュアリティですが、霊性や精神性という意味で、要するにこころの事です。

 

芸術の基本理念で書いた、

「芸術はこころで創造し、こころで表現し、こころで感じる。」

という言葉の「こころ」の部分です。

 

良いこころが無いと良い作品は生まれないという事です。

 

また良いこころを持つには色々な良い芸術に触れたり、品行方正な行動をする事ですが、

その人がどんな人生を送ってきたかが作品に大きな影響を与えます。

 

人生には色々な人生があり、一概に言えませんが、基本は生活です。

真面目に、楽しく、正直に、辛いことを乗り換えて一生懸命生きているうちに

こころは磨かれていくと考えています。

 

しかしこのこころの部分は目に見えない部分で、非常に分かりづらい部分ですので、

以下割愛します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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