黒猫亭日乗

題名は横溝氏の「黒猫亭事件」と永井荷風氏の「断腸亭日乗」から拝借しました。尚掲示板が本宅にあります。コメント等はそちらへ

巴里茫々

2011年12月25日 | 本のページ
とうとうこの本が出てしまった。
北杜夫さんの最後の小説である。中篇が2本。どちらも過去と現在が交錯する内容である。

この本の感想を、いったいどう書けばいいのだろう。刊行されたばかりの本であり、下手なことを書けないことも相まって、手は止まるばかりなのである。ただ一つ言える事は、北さんの著書を読んだことが無い人が、この本を手にとってもあまり意味が無いであろう事である。
おそらく巴里を描いたのであろう、セピア色の装丁。懐かしい本の内容がちりばめられた、それでいて決して顔見世には終わってない。そして、過去が出てくるのにもかかわらず、これはマンボウ物ではなくあくまで北杜夫の小説なのである。
どうか北さん。ご自分の事を、そして本をそんな風に言わないでください。北さんはどうもご自分を卑下する向があります。でも、北さんがそういって切り捨てた本に、夢中になった人間がどれだけいたか。救われた思いの人間のなんと沢山いることか。

この本には評価をつけていない。私が北先生の最後の小説に評価など、つけられるわけがないではないか。



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