黒猫亭日乗

題名は横溝氏の「黒猫亭事件」と永井荷風氏の「断腸亭日乗」から拝借しました。尚掲示板が本宅にあります。コメント等はそちらへ

あかんやつら 東映京都撮影所血風録

2016年08月28日 | 本のページ
あかんやつら 東映京都撮影所血風録

春日太一

評価:☆☆☆☆

この本の事を知ったのは、水道橋博士のツイッターだった。有料メールマガジンを長期にわたり執筆し、何より天才たけしから「博士」の名をあたえられた鬼才が面白いというのだから、それを全面的に信用して読む事にした。なにより題名にインパクトがあるし。
さて、序盤からすでに圧巻である。どうも、この門番氏の事は社外秘であったらしく、チロチロとその存在を明かす人はいても、本に名前を挙げて紹介される事は稀であったようだ。彼とて題名の通りアカン奴の一人である。アカンとは関西弁で「ダメ」の意。まぁそろいもそろってアウトな人たちの列伝だけれど、その熱意はすべて日本の映画作りという一点に集中している。こんな異様な熱意を持った人たちが結集して作るのだから、映画(それも時代劇)は面白かったのだ。
私はマキノ光雄という人の名を本書にて初めて知った。人生の半生を東映にささげた人で、この人がいなければそもそも東映という会社は無かったのである。この人をとおして津川雅彦氏が映画作りにおいてマキノの名にこだわるワケが少し分かった気がした。
私は図書館に単行本しかなかったので読む事はできていないが、本書の文庫本は水道橋博士があとがきを担当している由である。文庫本化にあたって、加筆された部分もあるとの事なので、何かの機会に文庫本の方を読むつもりである。

プラスα

2016年08月26日 | Weblog
昔、関西にはぷらすαという午後のワイドショーがあった。担当司会者はテレビ朝日のアナウンサー乾さん。型にはまらない自由なつくりの番組でとても人気があったものだ。面白く口も達者なアイディアマンだった料理人今泉さんを起用、その後を継ぐ神田川さんが今や日本有数の料理人として大成したのは広く知られた話である。リュータンの程さんを発掘したのも確かこの番組ではなかったか。
そのプラスαに、動物のお話のコーナーがあり、その担当が当時王子動物園の飼育員亀井一成さんだったのである。亀井さんは当時神(しん)ちゃんというチンパンジーを人工飼育しており、自然と神ちゃんの登場する回数も多かった。そもそもどんな生き物でも赤ちゃんのころはおしなべてすべてかわいいもので、人の洋服を着た神ちゃんが亀井さんにしがみついていた姿は、番組でも大人気だった。神ちゃん飼育の様子は特別番組にもなり(全国放送かローカル放送のみかはわからない)、その後動物園に帰った神ちゃんはお嫁さんをもらうまでに成長したが、残念ながらあまり長生きはしなかったと記憶している。神ちゃん以前にチェリーちゃん、金ちゃん銀ちゃんの飼育をしていた事実は、今回テレビ番組で初めて知った次第である。奇跡体験!アンビリーバボーにてがっつり一時間の特集とは、亀井さん本当に偉大な人だったのだ。
ところで、インターネットとはそれが成立した後の記録は事細かで実に詳細にのこっているが、それ以前の記録は実にお寒い。実は神ちゃんの事も記憶があやふやな部分もあり、検索をかけてはみたが記憶以上の事はあがってこなかった。でも、当時の神戸の子供たちは王子動物園の亀井さんと神ちゃんの事を覚えている。絶対に。