しゃばけ
畠中恵 新潮文庫
評価・☆☆☆
妖怪たちが沢山でてくる話だと知っていたので、「しゃばけ」の「ばけ」は化け物の「ばけ」だと最初は思い込んでいた。が、そうではなく「しゃばけ」の「しゃば」は娑婆、つまり俗世間の事だった。この後の作品群全体の題名に似つかわしいかどうかは判断が分かれるとは思うが、アイキャッチャーの役目は果たしている。平仮名にしたところが殊に効果的だと思う。
今の所、明確な時代は明示されていないので、江戸のどこらへんの時代かは解らないけれど、妖の言葉を元に推察すると江戸時代ど真ん中という所か。日本ファンタジーノベル大賞受賞、とある様に軽いタッチで読める時代物小説である。それだけに心に訴えてくる物は少ないが、妖たちと主人公一太郎との絆が微笑ましい。仁吉こと白沢、佐助こと犬神が目立つのは当然だが、逆に両親の影が予想外に薄い。今の所父親の藤兵衛は息子には砂糖菓子のように甘い親、母親のおたえははかなげという位の印象しかない。逆に日限(ひぎり)の親分がいい役どころを演じる。立ち回りは得意のはずの仁吉が思わぬ所でノバされてしまったり、死体の首が胴から離れてしまう所の必要性とかちょっと合点の行かぬ部分もあるけれど、楽しく読めるのがまずは一番。
畠中恵 新潮文庫
評価・☆☆☆
妖怪たちが沢山でてくる話だと知っていたので、「しゃばけ」の「ばけ」は化け物の「ばけ」だと最初は思い込んでいた。が、そうではなく「しゃばけ」の「しゃば」は娑婆、つまり俗世間の事だった。この後の作品群全体の題名に似つかわしいかどうかは判断が分かれるとは思うが、アイキャッチャーの役目は果たしている。平仮名にしたところが殊に効果的だと思う。
今の所、明確な時代は明示されていないので、江戸のどこらへんの時代かは解らないけれど、妖の言葉を元に推察すると江戸時代ど真ん中という所か。日本ファンタジーノベル大賞受賞、とある様に軽いタッチで読める時代物小説である。それだけに心に訴えてくる物は少ないが、妖たちと主人公一太郎との絆が微笑ましい。仁吉こと白沢、佐助こと犬神が目立つのは当然だが、逆に両親の影が予想外に薄い。今の所父親の藤兵衛は息子には砂糖菓子のように甘い親、母親のおたえははかなげという位の印象しかない。逆に日限(ひぎり)の親分がいい役どころを演じる。立ち回りは得意のはずの仁吉が思わぬ所でノバされてしまったり、死体の首が胴から離れてしまう所の必要性とかちょっと合点の行かぬ部分もあるけれど、楽しく読めるのがまずは一番。