黒猫亭日乗

題名は横溝氏の「黒猫亭事件」と永井荷風氏の「断腸亭日乗」から拝借しました。尚掲示板が本宅にあります。コメント等はそちらへ

赤めだか

2016年02月05日 | 本のページ
赤めだか

著者:立川談春

評価:☆☆☆

年末のドラマでやっていて、たけしの談志とニノの談春というキャストにひかれて回したチャンネルだけれど、立川談志にひかれてやってきた弟子たちの人間模様がとても面白く、原作本を読むに至った。
まず、とても面白かった。一気に読み終えた。私は落語に詳しくないし談志の事にも詳しくない。国会議員を務めた事もあるのは頭の隅に少しある。鬼才との認識くらいはあった。だから談志の喜怒哀楽(怒の沸点がどこらへんにあるかは私にはよくわからないが)が、新鮮で楽しかった。立川談志でも慌てる事もあるんだな、と思いながら笑い転げた。案外優しい人なのかもしれない、と思ったりした。
それと同時に立川談志という人の弟子で居続ける事は、それはもう大変だったんだろうな、と推察する。当時もう談志一門は落語協会を離れ、立川流を創設していたし、談春は高校を中退し親元から家出するという退路を断った形で入門していたのだから、その過酷さは想像以上だったろう。事実、数多くの弟子が廃業している。私には絶対出来ない芸当だけれど、後々思い起こせば人生、こっちのほうが絶対オモろいよな、と思う。立川談志という天才に恋い焦がれ一生を捧げる人生は、彼にとって本望なのだろう。
そしてこの本は談志・談春という師弟だけでなく小さん・談志という師弟の想いも垣間見える。談春が談志に焦がれ、談志もこの若すぎる弟子の事を思いやったように、談志も小さんという人に焦がれ、小さん師匠も破門したにも関わらず弟子の事を愛したのである。

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