地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

地質図

2008-02-10 09:22:40 | Weblog
地質図とは,地下にどんな種類の石や地層がどのように分布しているかを示した地図です。
植生や建造物,表土などはここでは無視され,基盤となる石や地層のみを描いた分布図です。

地質調査総合センター(旧地質調査所)発行の地質図の多くは,国土地理院の地形図を基にしています。このため,等高線による地形表示や,道路や建造物,それに地名も表示されています。

地質図を読むことによって、いつも親しんでいる山や川の生い立ちが、より理解できるはずです。
○○山はどんな地層からできているのかとか,この地域でいちばん古い石はどこにあるのかなどが,わかります。
また、△△川が地層の境界に沿っていることなど,新たに発見することがあるかもしれません。

また地質図は,土地の利用,災害防止,資源の探索,学術資料,環境対策など,幅広い分野へ質の高い情報を提供しています。

地質図には2つのタイプがあります。
ひとつは独自の地質調査に基づいて作成される地質図で,1:50,000地質図がこれにあたります。実測図ですね。
もうひとつは既存のデータを基に編集し、作成される地質図で,1:200,000地質図がこれにあたります。編集図ですね。

地形図と違って,地質の場合,実際にすべてを見て作ることは出来ません。
海岸や崖,工事現場などに現れている地層・岩石の断片的な情報を集めながら、気長に作っています。こうして地質図は少しずつ改訂されているのです。
日本列島のすべてを調べ,地質図をつくるには,たいへんな労力と時間が必要です。

現在でも、地質が詳細にわかっている地域と,詳しい調査が行われていない地域とが混在しているのはいたし方ありませんね。