地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

旧 1:10,000地形図

2008-02-07 12:46:17 | Weblog
私の最も好きな地形図の種類の一つです。
この、オレンジ色の市街表現が魅力的です。等高線や公園、植生記号の鶯色、水部のブルーとよく調和した美しい地図です。
また、市街がオレンジ色のため、文字や町界、鉄道線、特に都電などの墨色が見やすく、実用的でもあります。
ただし、上の地図は、関東地方測量部で複製してもらったコピーですので、本来の色ではありません。

もともとは、明治29年(1896年)から海防要塞地帯の兵要地図として製作されましたが、詳細地図として注目され、6大都市の市街地図として制作されるようになりました。
東京近傍19面は明治42年(1909年)着手、大正10年代には横浜・大阪、昭和10年代には名古屋、京都が刊行されました。
特に、東京は改版が繰り返され、番地入りのもの(上の地図)もありました。
なお、戦後、東京については、戦災復興院により米軍貸与の空中写真を資料として、戦災後の建物の残存状況を調べ、応急修正して刊行した昭和22年版があるそうです。是非見たいものです。多分、国会図書館にはあると思いますが・・・

なお、京都は、大正4年(1915年)10月10日、大正天皇即位を記念して、特別に刊行されました。これは、1:20,000図を伸ばし編集された地図で、地形も等高線でなくケバで表現されています。

しかし、戦災による変化や、その後の急激な都市化の変化に修正作業が対応しきれないとともに、新たに1:25,000地形図が作成されるようになり、昭和30年代前半に新版が作成されたのを最後に休刊となりました。

そして、昭和58年(1983年)から全く新しい版で再開され、現在に至っています。
(新・1:10,000地形図は、08.01.06ブログ)