地図のいろいろ

半世紀も地図作りに携わっていましたので、この辺で振り返って地図を見直してみようかな~・・・。

都市圏活断層図

2008-02-08 10:22:33 | Weblog
国土地理院では、平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災を機に、活断層に関する情報の整備及び公開の必要性が高まったことを受け、人口が集中し、大地震の際に大きな被害が予想される都市域とその周辺の「都市圏活断層図」の作成を始めました。
地図は、活断層の位置を詳細に表示した縮尺1:25,000図で、学校や病院などの大きな建物や街並みと活断層の位置関係が把握できます。
現在135面が刊行されています。
活断層図の1枚に描かれている範囲は、国土地理院刊行の1:25,000地形図4枚分に相当し、大きさは四六判(788mm×1091mm)で、色数は5色です。

さて、活断層ですが、最近数10万年間に、おおむね千年から数万年の間隔で繰り返し動いてきた跡が地形に現れ、今後も活動を繰り返す恐れのある断層のことです。
いわゆる、地球の傷跡ですよね。
その昔~の傷跡の再発を問題にするのですから、大変、気の永~くなるような話ですが、人間社会にとって避けて通れない、足元の問題ですよね。

活断層図は、過去の情報に加え、空中写真の立体視により作成されています。
空中写真は、まだ都市開発などによる人工的な改変が進んでいない昭和20年代~30年代の、なるべく古い、縮尺の大きな(最大で1万分の1)ものを使用しています。
また活断層の位置のほか、活断層の評価に関連する、段丘地形・沖積低地・地すべり地形などの第四紀後期(数十万年から現在)に形成された主な地形を合わせて表示していますので、活断層周辺の地盤状況の把握や、活断層の活動によって地すべりが再発する恐れのある地域の推定など、防災に役立つ情報を読みとることができます。

この活断層ですが、先ごろまで騒がれた耐震強度の問題と併せて思う時、一律に耐震強度を問題視するのでなく、その立地条件を合わせ考えなければならないのでは・・・?
阪神・淡路大震災の際も、航空写真で見ると、活断層に沿って家屋が倒壊していましたね。