神津恭介シリーズの第3弾。
前作、「邪馬台国の秘密」の謎解きの妙を再び味わえるかと期待したのだが...。
「邪馬台国」であれほど、古代と現代の地名の類似発音を無視しておきながら、今作に至っては、くどいほどのこだわりを見せる。
しかも、コジツケと思えるほどの説をねじ込んで、これぞ正史と決め付ける大胆さ。
シャーロック・ホームズにおけるワトソン役をつとめる、助手の小説家(なんといったか)までも、強引とも思える諸説に賛同してしまうのが情けない。
そうは言っても、たしかに、いくつかの点では説得力はある。
疑惑の天皇の在位をその半分にしてみると、なるほどそれらしい時代推移になるのは言い得ている。
神武・綏靖親子と、応神・仁徳親子を同一視したり、歴史上多くの兄弟が出てきて、そのほとんどが弟が兄を滅ぼすあたり、
何かの暗示か、同じ事実の焼き直しかと思わせるに十分である。
なにより、神武の出身地は日向なはずなのに、なぜのちの時代に、そのホームグラウンドにほど近い熊襲や隼人が抵抗しているのかという、
以前からの僕自身の疑問についても、その解答は、そういうこともある!とうなずけるものではあった。
それはまるで、過去を消すことに恐々とする、「砂の器」の主人公・和賀のような心理なのかもしれないと思えた。
ただ、あまりにもそのテーマが大きすぎた。言い換えれば、ボケすぎた。
もう少し時代を刻んで、人物を絞ったうえで掘り下げていけば、面白い話になっていたのではないかと残念に思う。
そして、「歴史には疎い」といいながら、そのくせ手元の資料だけをその根拠として、断定的に結論を言い渡す神津のスタイルはどうも好みではない。
やはりなにごと、現場百遍である。見てない奴にとやかく言われたくないと反発を感じてしまうあと味だった。
前作にくらべ、不満足。オススメは3★★★
※本作、いまでは本屋に並んでいないようです。
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