ＦＢＩ～失踪者を追え！ 第6話「二重生活」

【　失踪者　：　パトリック・ケント　】
通報者：パトリック・ケントの妻キャサリンの父ノア・リダー
ＦＢＩ着手：失踪発覚より39時間後

投資銀行の副頭取パトリック・ケントがサンディエゴ空港からＮＹの自宅に帰るため、飛行機に乗る直前に姿を消した。
空港に預けてあったスーツケースはすべて中身が空っぽ。
通常事件性の薄い成人の失踪はＦＢＩの担当ではないが、財界の大物でパトリックの会社の頭取かつ妻の父であるリダーの要望で捜索が開始される。
パトリックはリダーの命令で月に１度サンディエゴに出張しており、そのことで１５年連れ添った妻との仲が冷え、いさかいが起こっていた。また仕事面でも株主訴訟を抱え、公私共に心が休まらない状態にあった模様。
妻キャサリンは父親の影響が色濃く、ファザコン気味。リダーはパトリックの周辺を捜査されることを迷惑がり、あまり協力的ではないことにジャックらは不審を抱く。
マーティンとダニーがサンディエゴに飛ぶと、現地の社宅は長い間使われていないことがわかる。
調べを進めるうちに、パトリックはサンディエゴにもう一人の「妻」アマリアがおり、ＮＹでとは違った庶民的なライフスタイルで生活していたことが判明する・・・・

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今までも、メンバーが失踪者に対して推測でツッコミを入れたり、私情を交えた質問を投げかけたりということがなかったわけではないけれど、今回は特にそれが顕著だったように思う。
個々のキャラクターが生かされた形で、事件に対してもらす些細な観想を通して、視聴者がキャラクターのひととなりについて垣間見る、という傾向が強かったような。
例えばジャックは、別居中の妻からの電話にストレスを感じながら、「妻とのいざこざに嫌気がさして失踪したかもしれない男」の妻を尋問しているので、ついパトリックの妻キャサリンに対しての態度が過剰なほどに冷たい。
またサマンサは18の時に結婚・離婚をカミングアウトしたが、「うまくいかないなら別れればいいのに」と、なかなか別れようとしない夫婦に対していらだったり。
「一緒にいたって子供を気にかけない父親がいる」というのはマーティンの言葉だが、これは彼自身と父親のことだろう。そしてダニーはおそらく、ロバートを「親に裏切られた経験のある、孤独な子供」であった自分の投影として見ているような。
その中で、唯一ビビアンだけが客観的に事件に距離をおくことができている。
なかなか絶妙のバランス。

こんな風に、事件を通して各自の人間模様を見る、というブラッカイマー的ヒューマンドラマの味が出てきたので、安心してみられそうなところまできたかな。
ちょっとずつ見えて来たそれぞれのバックに大いに興味がわくが、まだ見えそうで見えないビビアンは、どんな隠しだまが用意されているのだろう。とっても気になる。

で、この二重生活のからくりは・・・・ＮＹの本宅に嫌気がさした男・パトリックが、「本当の自分」を消去するための完全失踪計画だったということなんだな。それが最後の「アマリアがサンディエゴに来て半年」という言葉の意味なのだろう。
１回見終わった後では、だったら何も二重生活をバラしてしまうリスクを負う必要もあるまいに、とも思ったのだが、２回見て、そうする必要があったんだろうなとも思った。
二重生活バラシを、パトリックから妻への報復＆アマリアの勝利宣言ととるか、パトリックから妻への「最後の思いやり」ととるかによって見方は全然違ってくるだろうが、とにかく妻の人生から自分を完全消去するためにはカミングアウトが必要だったのだろう。
そのうちアマリアとロバートは姿を消し、どこかで三人仲良く暮らすのだろうな。
大人の汚れた思惑はさておき、ロバートがこの先「お星様に名前をつけ」る必要がないことは祈りたい。


★脇俳優チェック

パトリック・ケント役は「フェリシティの青春」でフェリシティパパだったひと。この間はＣＳＩ：マイアミの麻薬で議員秘書が殺された回の議員の役でゲストで出てた。
そういう「中身が壊れてる地位のあるひと」が似合う。

パトリックを張ってた「でかい口ひげの男」トーマス・シャノンは、「ザ・ホワイトハウス」でシークレットサービスの局長バターフィールドをやっている。
見た目細く見えるけどガタイが大きいので、どうしてもそういう役が多くなるらしい。「警官役者」みたいな。

ダニーお気に入りのナイーヴな少年ロバートくんは、「メイド・イン・マンハッタン」でジェニファー・ロペスの息子役だった。公式によると「1000人以上から選ばれた」だそうなので、この先ブレイクもあるかな？
なかなか可愛い坊やではある。