メガソーラーの建設という大規模開発が進められているのは、外輪山の南側が熊本県上益城郡山都町大字長谷宇土2168―1で、阿蘇山の東側が同県阿蘇郡高森町大字中字竹の迫2454。面積は合わせて192ヘクタール。
現在、NTTのグループ企業である日本コムシス㈱(加賀谷卓社長・東京都品川区)の施工で、2022年8月の完工を目指して造成、整地等の段階にあるが、既に一部は太陽光発電施設におけるパネル設置を終えた状態。
その現場での土木作業重機等の数からして、1ヶ所80ヘクタール規模以上の様相を見せるが、意外な事に現場は大分県のA2ランク業者群。
ところで山の開発には水源の涵養、災害防止、環境の保全など公共的な機能を有しており、その観点から林地開発の許可を有する。
その点について熊本県森林整備課(笹本征道課長)は、
「建設現場の入口に許可証を掲示」
その許可看板が見当たらないのだ。
ところが後日、阿蘇地域振興局の林務課が「昨年7月に許可」と回答。
そこで「農地転用は…」と、別の許可について尋ねると、それが「まだです」と、これこそ意外な『未処理』という返事。
山林なら不要での「未処理」も想定されるが、該当現場(2ヶ所)の地目は原野(牧場)であって、これは農地ということになる。
また高森町の該当地には農振地(農業振興地域)、山都町の現場にはパイロット基盤整備(補助金絡み)の噂も浮上。
いずれにしても、4ヘクタールを超える農地転用(農地→メガソーラー建設)に係る事務、権限は国(九州農政局)との協議を付した上で、県知事の許可となる。
「この難関な農地転用を考えても、かなり強い政治力が動いたのは確か」
これは国政、県政における元議員らの見解。
だが、農地転用の許可は下りていない可能性が濃く、その中での開発事業となると、これは明らかに無法での開発として、施主は熊本県に喧嘩を売ったということになるが、全国大手ゼネコン、地元業者が事業参加を渋った理由、それがこの点ではなかったか。
「政治力を背景にしての強引な大規模開発。その政治家とは、ロボットとして迎えられた蒲島(郁夫)県知事ではなく、彼を手足としか想定していない政治家。知事に政治力があったら、法や条例を無視した事業など担当部署を通じて阻止するが、それが出来ない裸の王様で、県幹部も馬と鹿との区別もつかない知事としか見ていない」
断っておくが、これは先述の元議員らの評。
さて法も条例も後から付いてくると、強引に阿蘇外輪山をコンクリートで埋めさせるのを認めている政治家とは、果たして誰なんだ…。(第3回へ続く)