ここで述べる熊本市長選挙は、「政令指定都市に相応しい熊本市長」とは誰か、といった理想論の話ではなく、それなりの候補者三人の中で誰が当選するかという力学上の予想。
当初、面白いと観た想定は、大西候補の自民党推薦を確認してから出馬表明し、人気の細川夫人を陣営に取り込み、県外から選挙参謀を呼び込むなど、戦力の「大西候補」に対して重なり合う市民層へ向けた「戦術の石原候補」であった。
そもそも現市政の「MICE計画」は、その善し悪しはともかく下川候補の主張が最も理解しやすい「執行部の計画を議会が承認してスタート」の状態で、そこには同候補の一部修正か、「維持費負担をいかにカバーするか」(大西候補)という「MICE容認の施策」が現実。
維持費負担を意識するどころか、メジャーなアーチストが熊本にやって来ると顔を上げさせれば、素早くそちら
に走る若い世代、それに全体的にも反対30%という世論の中にあって、クーデターを起こせとまではいわないが、石原陣営がどんな命懸けの戦術を見せるか期待したのは事実。
ところが反対50%くらいまで「燃える選挙」で浸透、支持を拡大させたかというと、その状況、結果が全く見えない
基礎票を7、5、4とすると、投票率45%なら残り約9もあって、戦術次第では逆転の可能性もあると当初は想定したが、「戦力候補を脅かすほどの活気がない」となると投票率は35%前後まで落ちると予測して、残り3の争奪となると、細かな理由抜きで勝ち馬に乗るのが大衆心理。結局、次位、3位に3以上、場合によっては5以上の差をつけての当選というのが今回の市長選で想定した結論。
民主政治における選挙は、表現は悪いが馬の一票と豚の一票に価値の違い
はないとする証明の舞台。討論でノーをイエスに変えるには大きなエネルギーを要するが、平等な価値の分捕り合戦となると戦術次第で実に面白い結果も生まれる。
今回、その面白い結果が見られそうにないが、実のところ民主政治は戦術において都合の良い舞台。
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