地球温暖化、原発事故の懸念から太陽光や風による再生エネルギーは極めて重要である。
その再生エネルギーの主役として躍り出たメガソーラーには期待もされるが、景観や自然をそれが損ねるものであってはならないし、また災害を想定させるような開発であってはならない。
メガソーラーの開発には、そのトラブル、課題から遅れていた法や条例が、ようやくここに来て整備の段階に入った。後は開発業者、発電会社が、地域社会との共存で、それをいかに遵守するかである。
ところで阿蘇外輪山において、九州最大のメガソーラー(東京ドーム約41個分)を稼働させるジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE・竹内一弘社長・東京都港区)、また同施工中の日本コムシス㈱(加賀谷卓社長・東京都品川区)には、この点で不安が残る。詳細は今後、別の形からも予想されるが、問題は企業姿勢。
米国の投資銀行(ゴールドマン・サックス)傘下にある発電会社が、NTTグループの発電施工会社に施工を任せた。それが表の顔で、それ以上の評もなく、日本コムシスに至っては「これが二部上場企業か」と、怪訝する声さえ出る。
山都高森発電所・高森阿蘇発電所のこれまでの経由
平成25年 九州電力と売電接続契約
平成26年 M社が土地購入開始(山都町)
平成28年 M社からY社へ同地譲渡
同年 山都町農業委員会が非農地証明提出
平成29年 同地をY社からJRE山都高森へ譲渡
平成29年 U社が高森町側を購入
平成30年 同地をA社へ譲渡
平成31年 同地をY社へ譲渡
令和 1年 同地をJRE高森阿蘇へ譲渡
同年 高森町農業委員会が非農地証明提出
上記の通り計画経過を時系列で並べたが、果たして「故園田博之代議士(平成30年死去)が森ビル(JRE)から頼まれた」(坂本哲史代議士談)は事実であったかどうか。
故園田代議士の東京事務所元秘書も「聞いたこと(関与)がない」と応えるが、『森ビルからの依頼』ではなく、週刊誌で二度ほど話題にもなった故園田代議士で、関与が在ったとすると、その交遊の広さから、それ以前での依頼だったとも想定される。
それでは『森ビルとの関与』だが、故園田事務所から坂本事務所へ移ったS秘書が単独で動いたとは考えられず、特に高森町側の場合、高森町農業委員会の非農地証明を含めて、坂本大臣が「全く知らなかった」は通らなくなる。
再び週刊誌で取り上げられた「別腹問題」での少子化対策担当と併せて、この「阿蘇外輪山での大規模開発」は、地方創生担当大臣として注目される案件。
さて、ここまでは週刊誌風の内容だが、ここからは全国向けのメディアの話題。
農業委員会は「農地の番人」(九州農政局)と言われるが、その番人が「4ヘクタール以上の農地転用は国(農水省)と県との協議の上で知事が許可する」というルールを避け、開発業者からの申し出を受けて、それを「非農地化」として、その証明書を提出。
勿論、農地法制定の昭和27年以前から農耕不能な土地であったとか、災害に遭遇した災害地で、農地への復旧は困難と結論される農地など、同要件を満たす場合は非農地化も可能だが、同地は地目的には原野であっても、その1年前までは農振を被っていたり、またパイロット整備(基盤整備)等で補助金絡みの牧草地で、両町の農地台帳にもハッキリと明記された農地。
「農地の番人が農地を売った」(農政局)
確かに前代未聞の自治行政。
その代償とはなんだったのかとなると下衆の勘ぐりとなるが、農地転用の許可を避けた理由は、明らかに焦点。
また林地開発の許可にあっても、種々の理由から網の目許可となっていて、「売買契約の終わっていない土地まで開発」という想定し難い噂も含めて、マスメディアの検証結果が待たれる。
伊豆では土砂崩れの二次災害を発生させ、岡山では反対運動に開発のストップを掛けられたようなJRE。30メートル幅の緑化ベルトを求める林野庁の規制の前で、この阿蘇外輪山のメガソーラー開発では、まだ一波乱も予想される…。