熊本レポート

文字の裏に事件あり

阿蘇のメガソーラーを無理強いして設置させた農家群と嘆く農家の千日之菊

2024-10-04 | ブログ
●阿蘇の外輪山が黒いパレットで埋め尽くされたが、その視界全体に広がるメガソーラーを見下ろし、「あれは何だ」と驚きの声を上げる乗客も居なくなったとCA。そこに1年程前、2人の酪農家が訪れ「驚愕の一面」とユーチューブで問題提起したが、それに同意はしても価値的にはやはり千日之菊。更に返せば、この愕然とするメガソーラーを無理強いして設置させたのは同じ酪農家、農家群だという点。即ち、立ち位置次第では、相対関係が逆という可能性も十分あるという見解。



●2020年5月、熊本県山都町(大字長谷宇土2168)、同県高森町(大字中字竹ノ迫2454)に跨り、合わせて192ヘクタールのメガソーラー建設現場を訪ねたが、それは一般市民が愕然とする実態を現す2年前であった。国立公園の隣接地ながら環境省阿蘇事務所には「初耳」で、公的見解の発表で動く新聞、テレビが蚊帳の外だったというのは当然。同建設を把握していたのは山都町、高森町の担当課と開発許可権を有する熊本県農林水産部の一部担当課。





●勿論、熊本県の現場に在りながら異様な大分ナンバー(土地収用者による利権)のダンプカーが上り下りする光景に接する該当住民、そして同地の元地権者らも既知は確か。
●最近になって受注していたNTTグループの某幹部から同事業において、「絡んでいた(利権)政治家は10人以上」と愚痴も飛び出ているが、森ビルで走り出した政治家の半数を承知していると見ているのは、坂本哲志代議士事務所のS秘書。彼は故園田博之事務所から故荒木前嘉島町長の紹介で、先の坂本事務所に移ったが、彼の山都町、高森町での使い走りを園田、坂本両事務所が否定している以上、その主は誰で在ったかで、暇な人には解明への糸口。 土地収用の過程では、山口組直参組長夫人にも金が流れた。



●足を踏み入れた020年5月に話を戻すと、工事施行中の状況から林地開発許可は前年(019年)7月に下りたと知ったが、県の同担当課から「無許可の地番まで開発を進めており、この点から工事ストップを掛ける」と、怒りの強い決意も聞かされ、この時、「大きな政治力」を実感したのは確か。これは仕事に成果を求める県庁職員ほど、この論理は承知。





●しかし、現場施工の最中にあっても、また意外な地籍調査(地籍再編)が急に現地に入っても「開発阻止」への甘い自信が、それでも在った。物が出来上がって、これは困ると「問題提起」では千日之菊。最後は国だと、九州農政局の戸を叩いたのである。
●後で述べる理由を上げて、この「開発不許可」を訴えると、「問題点を確認」、いや「同意」と九州農政局の担当課長。
●4万ヘクタール以上の農地開発(農地転用)は知事の代行許可だが、その協議には国(農政局)も関与で、これに賭けた訳だ。
●同時に経済団体の「水を守る会」にも問題点を訴え、新聞各紙の記者にも情報を提供。だが彼らは形式的な返事で、予想通り動かなかった。出来上がった物で周知させる、説得という手法は理解するが、メガソーラーが山並みに出現し、そこで「驚愕の山地変形」と航空写真をスクープとして新聞が報道した時、「クソか」と思わず差別用語が出た。
●不幸にも該当メガソーラーが住民に被害をもたらした場合、その責任は該当町議員、マスコミにも在るというのが、この理由。
●だが最後の頼りの綱として賭けた国の関与も、意外な理由で崩れた。冒頭に述べた該当地の農業委員会が、「該当地に農地は不存在」と決議、結論。農地が存在しないとなると、九州農政局(国)の関与への道は閉ざされる訳だ。
「農家は素朴、純粋」
と言うが、そうではない。



●情報、社会認識に疎い農家として情弱の農民と語られるが、俯瞰の機能を働かされないどころか、これは常識的な問題。
●政治力が悪知恵を与えたにしても農業振興地説はともかく、パイロット基盤整備(助成金絡み)の噂も出た農地、そもそも謄本に農地(草原)と記されているにも拘らず、それを「農地ではない」と決議した山都町、高森町農業委員会。素朴な農業人どころか、鬼も嫌がる大嘘つき。結局、この大嘘がメガソーラー開発の決め手となった訳で、阿蘇のメガソーラーは農家群の無理強いで誕生したのは確か。
●ここで断っておくが、出資参入を含めて外国資本のメガソーラーには安保上から反対でも(ジャパン・リニアール・エナジー㈱は米国投資銀行系)、全ての再エネルギー施設に反対するものではない。だが、阿蘇のメガソーラーは古墳を取り囲んだメガソーラーと同様、国立公園外ながら隣接地として文化的な大きな問題が存在する。
●そして最大の問題は、熊本市70万人を中心とする約90万人が命の源として阿蘇の伏流水を頼っている点。これは該当の開発工事で、除草不要として石灰石が地表強化として敷かれた点から最悪。192ヘクタールの涵養、保水力は懸念される訳で、それによる水害、命の水不足は十分に想定される。そんなメガソーラーを設置させた山都町、高森町の農家群には大きな責任が存在するが、このメガソーラーを批判する者、また後に被害を訴える者にも止められなかった筆者を含めて、その責任は共有して存在するという覚悟は必要…。