録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

"日本版"スマートテレビ第一段、Hybridcastが9月から

2013-08-21 23:16:32 | 次世代ビデオへの懸念
"オールジャパン"を最初から決めていて独自性を許さない談合体制と、"日本版"がつくうさんくささ("日本版フェアユース"でこりごり)もあって、個人的にはマイナスの印象しかない日本版スマートテレビですが、準備だけはちゃくちゃくと進んでいる印象があります。

NHK、放送/通信連携サービス「Hybridcast」を9月2日開始
放送画面に通信ニュース表示。タブレット連携も予定


この「Hybridcast」がその第一段階となるようです。リンク先の、テレビ番組の中に番組と連携はするものの直接関係ないニュースや情報の表示・・・。記憶に新しい、テレビ局からCMを拒否されたパナソニックのテレビを思い出します。パナのものはテレビ番組がフルスクリーンでない代わりに広告やリンクがテレビ番組の上に重ならず、全部見えるようになっているなど違いも多いですが、発想の原点は同じです。もちろんCMを拒否したのは民放であって日本放送協会は関係ないのですが、「オールジャパンの日本版スマートテレビ」の一環である以上、他放送局も追随する可能性は非常に高いでしょう。穿った見方をすれば、CM拒否はテレビ局総意の方式を推進するために独自方式の排除に走ったため、という考えを拭い去ることは出来ません。ちょうどこれと前後してパナソニックのテレビ宣伝の大幅削除、なんて話も出てきましたし。当然テレビメーカーであるパナソニックは我々などよりはるかに早く情報に触れているわけですから、"日本版スマートテレビ"への反発もこれらの理由の一部になった可能性もあるわけです。想像でしかありませんが。

パナソニックテレビが民放に拒否され、Hybridcastなら良いということは、拒否理由から推測するにHybridcastは最初にテレビを点けた直後には画面に登場せず、なにかしらリモコンなどで操作をして初めてあの画面になることを示しています。視聴者はテレビ、特に地上波放送に対してそんな複雑なことをしたくないですよ。テレビ局だって「マジメにテレビを見る人向けに番組を作っていない」ようですし。

メディアの退蔵益-この半年でいちばんショックを受けたテレビの話

いつまでたってもやめない(さすがに一時ほど露骨なのは減ってきた感はありますが)視聴者の思考をCMでぶった切るイライラCM入れ、番組のタイトルやテーマに釣られて視聴してみたら半分以上タレントのトークばかりでテロップと繰り返しによる強調と言った演出はあきらかに「番組をマジメに見る気のない」点けっぱなしの人たちをターゲットにしたもので、わざわざ上のリンク先のようにテレビ局関係者の証言の形を取らなくても、本当にテレビが見たい人のことを考えて番組を作っていないことは明らかでした。が、とうとう文章になったところを見ると、そのやり方を改める気は地上波民放には全くないということなんでしょう。

正直もう広告収入に頼る地上波テレビのやり方は限界なんです。あんなところがいつまでももっとも影響力のあるマスコミとして君臨し続け、かつ時代の流れに逆らうために場合によっては法律まで変えさせる力すら持っている。ありえない話です。だから、わたしは衛星の有料放送に本当に期待していました。が、WOWOWがHD3局体制になったその日から常時ロゴ入れを受け入れたことによってその期待も吹き飛びました。有料放送もしょせん、「オールジャパン」の一角に過ぎない、裏の思惑でいくらでもコントロールできる存在でしかないことを証明したからです。「オールジャパン」は視聴率主義を残すため、コマーシャルを見せることを至上主義とした前世紀の遺物を続けるため、全力を尽くすのでしょう。先日の「バルス祭り」に企業が参加して煽ったのも、「録画せずに生で見る」ことのアピールに一役買いたかったからに見えてなりません。そういう思惑の集合体である日本版スマートテレビもどうにもこうにも。最初のリンク先を見ると予定しているのは「有料オンデマンドへのリンク」だの「双方向クイズ番組などをはじめとする視聴者参加型サービス」だの、デジタル放送開始以前から空回りに終わっているサービスの復活を狙ったものばかりじゃないですか。リモコンでやるか、タブレットでやるかの違いだけでしょう。一度死んだサービスが、形を変えれば蘇るとも思えませんが、なんとかして復活をもくろんでいるところを見ると、成功への手がかりは見えずとも成功した後の儲かる計画を思い描いている人間はたくさんいるってことなんでしょう。

ここまで放送にこだわるのは、やはり3Dテレビが失敗したのは放送が遅れてBDソフトしか3Dがなかったから、と考えているのでしょうか。何かやるなら放送前提でないとダメという意見も分からなくはないですが、そもそも今の3Dは「あたかもその場にある」ような映像を表現するに至っていないものですから、こだわる人間から見れば未完成な技術でしかないので、今すぐ人に薦めたくなるようなものではなかったんです。熟成する前に投げ出してしまったのですからどうしようもありません。わたしらは最悪テレビ放送を投げ出して、ただの映像モニターとして使えばいい道が残っていますが、4Kもその域に達する前に投げ出されたりしないのかが非常に不安です。
と、わたしは苦言ばかり書いていますが、日本版スマートテレビ・スマテが成功してみんなタブレットと連動してテレビをリアルタイム視聴するようになり、視聴率グングン上昇、録画を誰もが忘れて島手代わりに有料オンデマンド売れまくり、あらゆる映像視聴中に効率よくコマシャルを見せるなんていう状況が世間では望まれていて、そっちに動くかも知れません。どう転ぶのかはまだ分からないのです。

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11 コメント

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Unknown (emanon)
2013-08-22 22:59:12
 音楽も色々高音質規格を生み出しはしましたが一般に広くとなるとなかなか広がらないのと似てますね 3Dもまだまだ満足のいく物が簡単には作れなかった、日本版スマートテレビはどうなるのかお手並み拝見   自分たちで決めた自由のない放送で成功できるかやれば判るでしょうし  
 テレビ画面と重ねて試聴出来るスマートメガネとかすぐ出てきそう そしてスマホなどと連動して画像認識でカロリー計算 疲労度の測定 体脂肪と肉体年齢  一日の運動量など家族に秘密でw

見えないくらい画素が細かい4kで擬似3D辺りならどうなる?  どの方式でもHD画質に落してなら出来るでしょうか3D DVDのような感じで・・・ 
4kが一般化する頃には3Dなんて必要ないくらい4kは高画質で立体に見えるだろうか 楽しみ
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Unknown (arpus)
2013-08-23 00:39:57
家庭もフルHDに変わったばかりだけどテレビ局もようやく上から下までフルHDに変わったばかり。
4Kで放送ならただ撮るだけに思えるスポーツ中継だって数台のカメラ、編集機、スイッチャ、テロップ装置、収録機、送出機、局内インフラのすべてを揃えないといけなくなります。

ちなみに局内だと映像と音声をHD-SDIという1.5Gbpsのデジタル線を使っているのですが、4K60pだと単純計算でDualLink 6G-SDIが必要になりますが肝心の6G-SDIがようやく昨年あたり出てきているような状況のようです。あと何年かかることやら・・・

一番楽なのは映画などをそのまま流す放送することで、これなら送出装置だけでほぼ済み、こういったのはBSやCSやケーブル局なら動きやすいでしょうね。
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Unknown (krmmk3)
2013-08-23 00:51:14
>emanonさん
いまだにCDですからね。もう30年近くたってるでしょうか。ほとんどの人は音質よりも使い勝手を重視しているのに、「音質を上げて使い勝手を悪くする」規格ばかり作ってきましたから普及しないのは当然でしょう。
4Kはまだ3Dの入り込む余地はあると考えています。が、「不気味の谷を越える」8Kが仮に一般家庭に入ったとしたら、3Dは完全消滅でしょうね。

>arpusさん
日本放送協会以外はSHVまで回すお金はないでしょうし、日本放送協会はあっちで4K飛ばして8Kにしたがっているし、結局4K普及しないかも・・・。
正直映画とか流すだけでいいとわたしなんかは思うのですよ。情報番組も報道も、もちろんバラエティもフルHDですらオーバーですし。
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Unknown (emanon)
2013-08-23 21:06:26
 >「不気味の谷を越える」
慣れるまで最初は大変でしょうね 超えたら超えたで画面に向かって子供が何か投げたり衝突防止が必要になるのでしょうね
  画面の向こうはライヴ会場かそれとも異世界地獄の底か  閣下 閣下 閣下 最近は河童になってもCD買うよ 
 

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Unknown (krmmk3)
2013-08-23 22:49:28
>emanonさん
ありそうです。VHSの映像しか見たことない人がいきなり見ると、パネルの向こうに異世界があるようにしか見えないですからね。
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Unknown (なんだかなぁ)
2013-08-23 23:13:18
なんですか、そのリュミエール兄弟が蒸気機関車の映像を世界初上映したときのような反応は(笑)
3Dは現状のフラットディスプレイで無理矢理やる方式は、さらに進化しないと市民権は得られないでしょうね。
ただ、4Kが標準化してくる頃には事情は変わるかも。
1280×720の縦横3倍、1920×1080の縦横2倍、画素数約800万は今どきのデジカメの保存サイズにもよさげで、
720(もしくは708)×480を1920×1080へ変換するより、3840×2160へダイレクト変換するほうが誤差も少なく、800万画素ともなればフラットディスプレイで3Dをやるために
走査線を半分ずつにしても充分クオリティはキープ可能と、何かと落としどころがいい。
そうなるとSD素材のレターボックス収録作品を引き伸ばして保存したり、オリジナルが1280×720で制作されているアニメは、下手に1920×1080にせず1280×720で保存しておいたほうが無難だなぁなどとも思う。
Panasonicがアニメモードでやってる発想が4K時代にさらに効力発揮。
保存サイズも減るし、1280×720、侮れない。
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Unknown (krmmk3)
2013-08-24 00:59:06
>なんだかなぁさん
イメージとしてはコナン・ドイルが「死後の世界の証拠だ」とか言って"ロスト・ワールド"の恐竜映像を見せたときのもので。
拡大を考えると、アップコンバート映像をそのまま保存するより、リサイズエンコードしておいたもののほうが有利だってケースの方が多そうですね。それを含めてやっぱり4Kが限界かなぁと思うのです。
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Unknown (なんだかなぁ)
2013-08-24 20:08:06
4Kモニターで実際に試さないと最終的な児とはなんとも言えませんが、地デジやスカパー!程度の解像力ならば1280×720pに変換して、それを4Kモニターで見るのと、
1440×1080iを見るのも、おそらくそんなに大きな差は出ないでしょうから、ダウンコンバートの品質の高い方法を久々に研究しようかと検討中。
インターレース解除も4Kのようなプログレッシブ主体になると、今後解除品質が落ちる可能性が高くなってくるので、今のうちに手を打っておいて損はないかも。
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Unknown (krmmk3)
2013-08-24 23:17:33
>なんだかなぁさん
それだけに弟に4K買わせたかったんですけどね(^^;)
今までのテレビの補正を前提とした映像は4Kテレビだと厳しい映像しか出せない可能性がありますね。超解像処理かけてエンコードしたおくべきですかねぇ。
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Unknown (なんだかなぁ)
2013-08-24 23:39:09
超解像は今後も伸びる余地がありますから、シャープネス含め下手に手を出さず、輪郭強調の低減やインターレース解除、最低限度のサイズ変更に止め、
あとの処理は今後の技術革新に期待するのがよいかと。
それをやるためにも素材の送り出し用にPanasonicがさっさとBDプレーヤーの新型を出してほしいのですが、動きが鈍い。
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