録画人間の末路 -

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コマ撮り恐竜最後の華 「恐竜の惑星」

2021-06-08 15:51:04 | 特撮・モンスター映画
少しずつ暑くなってまいりました。予想通り、今年も猛暑になっていくんでしょうかね。ちなみにわたしの部屋のエアコンはなんか調子悪いです。今年は熱で倒れるかもしれん、本気で。調子悪いんなら修理するか買い替えろ、と当然思うところですが、そのためにはエアコン下の荷物を全部一度部屋の外へ追いやって部屋の模様替えをしないと修理も工事もできやしない(笑)と大ピンチであります。寝るだけならリビングに逃げりゃいいんですが、やはり普段は部屋でいろいろやりたいし。

そのやりたいことの一つと言えば当然B級映画鑑賞。今回購入しましたのは「恐竜の惑星」という映画。映画と言っても4対3の画角や雰囲気からテレビ放送向け映画なのかもしれません。登場人物は少なく、映像の作りも工夫がなく、いかにも低予算という印象の強いもので、正直ドラマパートは退屈そのものです。

 
ただし、特撮は別です。本作はタイトル通り恐竜が登場しますが、それは宇宙船の乗組員である登場人物たちが事故のため、緊急着陸した居住可能な惑星にたまたま地球の恐竜そっくりの生物が多数いた、という設定のため、厳密にいえば恐竜ではないのかもしれません。それを免罪符に、本作には恐竜の生息時代を無視した複数の恐竜が登場します。アパトサウルス・ステゴサウルス・スティラコサウルス・アロサウルス・ティラノサウルス・オルニトミムス(推測)、それに加えてクモと謎の巨大トカゲ、と、全体的に漂う低予算感には合わないほど多くの生物登場します。パッケージにはトリケラトプスが描いてありますが、こいつは出てきませんでしたね、残念。これらがすべてコマ撮りの人形アニメ、それも秒間24コマのフルアニメートで表現されているのです。低予算なら秒間数コマしか動かない、いかにもカクカクとした動きになって当たり前ですが、本作は全部のモンスターがフルアニメートなため、動きはスムーズで大作にも引けを取らないものです。造形に関しては、作りは悪くないのですがどれもこれも淡色、恐竜ごとに色は違うのですが一体一色という感じで、色の塗分けがなされていないところに低予算を感じます。塗分けられているのはティラノサウルスの口の中くらいです。確かに細かい彩色はいらないといえばいらない恐竜も多いのですが、さすがにステゴサウルスがボディも背中の板もしっぽのスパイクも同じ茶色というのはいただけません。ここら辺はやはり予算の限界があったのでしょうか。それでもアニメートそのものは手抜きなしでやろうという職人の意地を感じます。

本作はマニアの間では「原子怪獣現わる」に登場したリドサウルスが出演する作品である、として知られています。先に書いた謎の巨大トカゲというのがそれです。両者を比べてみますと、確かに造形は似ています。特にやや腹ばいになっている足の着き方や、頭部から尾の先まで続いている連続したヒレなどは似ており、まぁリドサウルスっぽいな、というのは間違いありません。が、「恐竜の惑星」の巨大トカゲは舌を蛇のようにチョロチョロさせる表現が使われているのです。「原子怪獣現わる」のリドサウルスはそういう舌使いはしません。ただ、ヒレの表現や腹ばいになっている姿を見ればこれに近い姿をしている恐竜は多分いないため、リドサウルスを何かしらを意識して造形したとは思います。このシーンだけレイ・ハリーハウゼン(原子怪獣現わる」の特撮担当者)がやった、などという話もどこかに出ていましたが、さすがにそれはないでしょうね。本人がやったのならあの舌はやらないでしょうし。舌を出すといかにも小物臭くなり、風格がなくなってします。

低予算とは言え、伝統的なコマ撮りで多数の恐竜が登場した映画、というのは1978年製作のこの作品がほとんど最後の部類ではないでしょうか。1981年製「おかしなおかしな石器人」にもコマ撮り恐竜は登場しますが、コメディ映画のため太目のティラノサウルスや古典イグアノドン似のトカゲが目立つくらいで恐竜映画とは言い難いものでしたし。そういう意味では貴重な作品です。

ちなみにわたし、この映画の輸入盤のDVDを、持っています。それと比較すると日本語パッケージはイラストがややトリミングされており、輸入盤のパッケージタイトル部分にいた翼竜(もちろん本編には出てこない)がカットされていて残念に思います。日本語タイトルを入れるためにやむを得ず、というところなんでしょうね。まぁそれはまだ許しますが、DVD本編において、輸入盤には存在したオープニング部分が日本語盤ではまるまるカットです。本来は登場モンスターのイラストとともにスタッフが、不安感を感じる音楽とともに紹介されるオープニングが入っているのですが、その部分は削除されて本編に無理やり字幕でタイトルを入れただけになってしまっています。なぜかメニュー画面のサムネ動画に半分ほどが使われていますが・・・。これはミスなんじゃないでしょうか。だとしたらさすがに許しがたいのですが。

先にも書きました通り、本作の舞台は地球ではなく、他の惑星にやってきたら地球の恐竜そっくりの生物がいた、という設定になっています。実はほぼ同じ設定の映画が別に存在します。その映画は「恐竜王」。わたしが敬愛するバート・I・ゴードンの監督デビュー作であり、国内DVD未販売最後のトカゲ特撮作品でもあります。わたしも待ちわびていたんですが、これが7月についに発売されます。

 
検索のされやすさを意識したのかも知れませんが、わざわざ「バート・I・ゴードンの」とタイトルにつけているところが素晴らしい。まだまだ楽しみは続きそうです。
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