録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

HD DVDレコーダーに見える東芝の虚勢

2006-06-24 15:23:44 | 次世代ビデオへの懸念
最近バタバタして記事にするにはいささか古くなったが、東芝のHD DVDレコーダーが
7月14日に発売されることになったので、勝手な視点からHD DVDレコーダーの感想を
書いて見たいと思う。もちろん、わたしはいまだ実物を見ていないので画質や勝手の
面では想像の域を出ないのだが、記事から分かる面だけで推測してみよう。

http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20060622/toshiba2.htm

こちらに「周囲の皆から"100万円でもおかしくない"と言われている」との発言がある
が、これはもちろん文字通りに受け取るわけにはいかない。398000円という価格が
消費者が手を出すには決して安いものではない、ということを踏まえたうえでの
ごまかし発言だろう。本当はもっと安くしないと・・・わたしの考えでは、せいぜい
150000円くらいでも買えるようにしないと・・・普及しないと思っているからこそ、
それまでRD-A1にフラグシップでいて欲しいはずだ。それだけの価値があると思って
欲しい、と言う苦悩を含んだうえでの発言だろう。
また、「HD DVDを積んだHDDレコーダーである」という発言もなされているが、これは
逆に文字通りに捉えるべきだろう。もちろん、BDへの牽制の意味が込められてい
る。
日本人はどうしても大企業やその結成したグループの権威に弱い。だから、次世代
DVDは松下とソニーが両方参加しているBDでもう決まっている、と考えている人
は少なくないはずだ。だが、「あくまでHDDがメイン。移動先は、むしろオマケ」と
いう考え方が普及してくれば、遅れているBDが出る前に、HD DVDがある程度普及
する可能性はある。BD陣営の圧倒的な物量に勝つには、HD DVDは先行逃げ切りしか
ない。本当はHD DVDを活用して欲しいはずだが、HDD録画がメインだ、とある種の
虚勢をはることにより、BDでなくても大丈夫、という考えを普及させたいのだろ
う。他のメーカーが言うなら単なる負け惜しみだが、DVDレコーダーにHDDを初めて
搭載させ、その便利さでVHSを駆逐した東芝だからこそ、この発言に説得力がある
ように聞こえる。が、やっぱりマニアとしてやりたいのはメディアへの保存だ。
その、肝心のレコーダーであるRD-A1の性能にも、そこら辺の思惑が伺える。上記の
記事では性能に関してはほとんど触れられていないので、以下の記事を参考にした。

http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0606/22/news066.html

これで驚くのが、「アナログはWチューナーであるのに、デジタルはシングルである」
という点だ。普通に考えたら、HD DVDはHDのデジタル放送を保存するためのメディア
であり、SDのアナログ放送が本命であるはずがない。なぜだろうか? RD-T1をその
まま流用したため、考えることも出来るが、そこまでRD開発チームが単純だとも思え
ない。
わたしはRD開発チームはデジタル放送が嫌いだ、と思っている。それは、少なくとも
東京ではすでにデジタル放送が始まり、東芝本社としてはデジタル放送対応機種を
出すべきと考えてただろう時期に、旧世代のスカパー連動機能付きレコーダーを発売
したことにある。しかも、東芝はすでにスカパーチューナーから撤退しており、
カタログに推奨品として自社製チューナーを書くことすら出来ない。にも関わらず
開発・販売したところに「自分たちの欲しいものを作る」というRD開発チームの気骨
を感じる。しかも、RD-A1ですらこのスカパー連動機能、搭載されているのである。
記事にはないが、背面写真にしっかりスカパー連動機能コネクタの存在が伺える。
もちろん、製品版ではカットされる可能性もあるが、少なくともRD-A1はスカパー
連動機能付きで開発された製品、ということになる。
大胆に予想してしまえば、RD-A1はデジタル放送専用の皮を被った、究極のアナログ
放送用レコーダーなのだ。HD DVDは、いわば「これも出来ますよ」という飾り。本当
は再生専用にしたかったくらいなのかも知れない。
放送局側も本音ではメディアに番組を保存するのではなく、観て捨てるだけ、保存
は市販ソフトを買ってくれ、という風にしたいはずである。
デジタル放送は基本的に何も出来ない。東芝のRDシリーズは、高い編集機能や
詳細な画質設定機能がウリのシリーズだ。デジタル放送ではそれが潰されてしまって
いる。だからこそ、アナログにこだわって作り、デジタル放送に対しても可能な限り
対応し、「現行できないことはない」ように作ったのが、RD-A1であり、決して単なる
HD DVDレコーダーとして作ったのではない、かと思う。その真の役割は、DVD-Video
からHD DVD-Videoへのスムーズな橋渡しだ。
正直、その道は険しい。特に、日本製アニメソフトは、その凶悪なまでに強固なプロ
テクトの使えるBDしか当面発売されないことが予想される。だが、旧型を切り捨
て、本命は二転三転して遅れに遅れ、PC用にたっては何のために発売されたのかわ
からないBDより、HD DVDの方が幾分かマシな展開をしているように見える。
RD-A1も、これでD3入力があれば本当にいいレコーダーなのだが(無理だと分かってい
てもそう思わずにはいられない)、今の値段では、分かっていても高い。正直わたし
の買える値段ではない。
BDの悪口を書いたが、BDレコーダーの本命はいまだ姿を見せていないのだから、
これ以上勝手なことを書くことも出来ない。はたしてBDレコーダー(企業が売りた
がっているのがソフトであっても、消費者としての本命はあくまでレコーダー)は
どのような形で反撃に出るのか、見ものである。

・・・で、やっぱりこのまま旧BDって見捨てられるのだろうか? それこそ大企業の
エゴだと思うんだけど。

訂正:アナログチューナーがシングルに変更されたらしい。なんか、ヘンな横槍の
   影を感じるんだけど。

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