録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

「録画録音補償金から複製補償金へ」の理屈を見直してみる

2013-11-15 16:07:54 | 次世代ビデオへの懸念
機能はざっとしたニュースしか参考として見なかったので書き殴りになりましたが、InternetWATCHのほうでもっと詳しい記者会見の内容が掲載されていましたので、そちらでもう一度読み直してみましょう。

「複製機能」を私的録音録画補償金の対象に、権利者団体が提言

従来との変更点は二点

1.複製に使えれば機器・媒体・サービスは一切問わず課金の対象にしたい
2.補償金の支払い義務をユーザーから業者へ移行する。

2は言うまでもありません。東芝との裁判で「すでに多くのユーザーに販売しており、今更補償金を集めることなど出来ない」という反論が東芝よりあったため、同様の裁判が発生したときに、同様の反論を封じ、「集めなかったお前らが悪いんだから払え」というふんだくり権を寄越せと言うためのものです。同時に過去一例だけあった個人の補償金返還請求も、これによって一切行えなくなると言う効果も生じます。昨日書いた1の権利と合わせ、昨年出た判決を無に返し、かつ前以上に無制限のお金を徴収出来、さらには変換請求にも応じなくて良いという権利を要求しているのです。文科省に提案したのは判決を踏み倒すには法律化が必要という判断なのでしょう。最高権力の一つである司法を超えさせろと言っているわけですから、どこまでずうずうしいのでしょうか。

その根拠(?)として出してきた補償金収入の内訳がこちら

"以前には最大で年間25億円程度あった私的録画補償金の徴収額は、2013年上半期には0円になったという。また、私的録音補償金についても、音楽用CD-Rなどからの補償金があるものの、2013年上半期では9400万円と、ピーク時の4~5%程度に激減しているという。"

これは全く当たり前の話です。そもそも補償金とは"デジタル録音・録画による複製によって、権利者が被る経済的不利益を補償する目的で、録音・録画機器やCD-Rのような媒体などに補償金を課し、権利者に還元する制度"なのですから、複製などまともに出来ない現状では「権利者が被る経済的不利益」など発生しないため、補償金収入は減るのです。つまり、これは権利者にとっていいことではありませんか。この資料からなぜ補償金の拡大を求めることになるのか、全く分かりません。
ただし、このデータは明らかにウソです。レコーダーが全て規制下でしか発売出来ない現状では、東芝裁判で判決が出た以上当然全てのレコーダーメーカーは倣うでしょうから「レコーダーからの収入はゼロ」になるのは当然です。が、まだ録画補償金の対象としてはDVDやBDが存在します。規制のひどさにあきれて多くのユーザーが逃げ出し、手軽なテレビ+USB-HDDを使う人が大半になってメディアの売れ行きが激減したことは考えられますが、日本全国で一枚も売れなかったというのは絶対に有り得ません、わたしも一時のように年間数十枚ということはなくなりましたが数枚なら買いましたから、少なくとも音楽用CD-Rから上がる収入よりははるかに多いはずです。つまり、レコーダーからの補償金がゼロになったことだけを資料として公開し、あたかも録画補償金全部の収入がゼロになったかのように見せかけているのです。相変わらずの「自分たちだけが被害者、自分たちだけがかわいそう、だから法律で保護してお金をもらう権利を寄越せ」の被害者妄想思考全開ですね。

まぁそれでも激減したことに代わりはないでしょうが、それで普通の音楽ソフトや映像ソフトから上がる収入が上がらなかった~むしろ下がった~としたら、それは録画録音補償金という制度の前提がそもそも間違っていたのでは?という話を行うべき問題であり、以前と同等以上の補償金収入を寄越せという話にならないのが普通の人の考え方です。これでは「文化を名乗った者は何もしなくても自動的にお金をもらえるが当然。そして文化を名乗る権利は映像と音の著作権者となれる自分たちだけ」と宣言しているようなものです。「何様のつもり」なのでしょうか。著作権者様でしょうか?

おそらくこんなことを言い出したのは
・売り上げや活動と関係なく莫大な収入を上げられた時代の旨味が忘れられない
・違法ダウンロード罰則化を成功させたことによって味を占めたと同時にロビー活動に自信を持った
・消費税増税に合わせて補償金を上乗せすれば、物品値上げの苦情の矛先は消費税増税やお店に集中するため、補償金への批判を減らす事が出来る
こんなところでしょうか。そりゃ彼らだって収入が減って大変だろうし、安定した収入を得たいでしょう。でも、それはどんな業種だって同じ事であり、出来ることなら法律で保護してどこかの流通から中間窃取できて永久に安定した収入を保証されたいという気持ちはわたしだってありますよ。でも、だからと言って「わたしらは文化だ、保護して補償金寄越せ」なんてことは口が裂けても本気で言えません。「自分たちだけが特別だ」と言い続ける著作権業者が、どれだけ著作権という言葉の品位を落としているのか、彼らにその自覚はあるのでしょうか?

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21 コメント

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Unknown (emanon)
2013-11-15 19:43:24
 そうですね 機器も販売量が激減 メディアの売れも激減 
でもゼロになることは有り得ないゼロ同然になっているとしたら残念ながらテレビ放送そのものが行き渡った事となる  一人一台だとか昭和な想定からして最初から壊れた試算だとこれ以上ないくらい現れた結果ですよ 助け舟を出す言葉もさすがに思い浮かばなくなってしまった  

テレビとラジオ これだけでもただ流れてくる物を消費しきれない残してもそう観る時間があるわけではない 学校にも行かず仕事もせず黙々と? さすがに疲れますよね スマホがあれば解決できる訳でもない 

まあ ラジオ位なら何かしながらでも聞けますけどね仕事中・運転中に録画した物は楽しめませんよ
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Unknown (なんだかなぁ)
2013-11-15 20:14:01
ここまでくると呆れるやら情けないやら、これが同じ日本人の発想だとは俄に信じがたいくらいふざけている。
某国人の考えだといわれたほうがまだマシだ。

複製できるものはなんでも対象って、保証金必要のない内容の方が圧倒的に多くなりますよ。
それに対する返金受付るだけの人員なんて雇う気もないくせに、いけしゃあしゃあと何をホザいているのやら。
これ法の専門家はどう考えているのか是非とも聞きたいところですね。
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Unknown (Unknown)
2013-11-15 21:19:28

もしかすると録画補償金はレコーダーの売り上げ、録音補償金はDVD、BD、CDなどのメディアという程度の区別なのかも知れませんね。少なくとも私の行動範囲の中では音楽用CD-Rはほとんど目にすることが有りませんので。

なんというどんぶり勘定。

さて、ところで複製に使える機器に課金と言うけれど、何を複製するのでしょうね。
現状では音楽CDぐらいしか思いつかないのですが。

そりゃ技術的にはDVDも複製できますが、法律がアレですから。違法行為を前提とした課金はスジが通らないでしょう。

極端なたとえですが、法律で禁止されているけど、実際のところ万引きが可能なのだから、全ての来店者は万引きの補償金を支払えなんて店舗があったらおかしいでしょ?

先日、一方的に通知して2週間がたてば契約成立などという非常識な裁判結果が出てきた某協会といい、利権業界は世間とどこかずれていますね。
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Unknown (emanon)
2013-11-15 21:41:09
 これですね これでは西側の考えではないかと  あ・・・ 開発するから立ち退けと口で言っても聞き入れないからマフィアを差し向け家を取り壊し海外に売却したあれと良く似ているような 

NHK受信契約「高裁判決」に疑問あり! 「拒否しても2週間で契約成立」の根拠は?
http://www.bengo4.com/topics/943/
http://www.huffingtonpost.jp/2013/11/12/nhk-license-fee_n_4258304.html
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Unknown (なんだかなぁ)
2013-11-15 21:59:05
どいつもこいつも自分勝手なことばかりよくもここまで・・・
これはイカンですよ。このまま黙ってる場合じゃないですね。
何か有効な策を練らなければ・・・
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Unknown (Beep)
2013-11-15 22:26:54
USBメモリやHDD、メモリカードに上乗せして、徴収額が上がらなければ、「人は記憶することが出来る!」とかって(ry
BDなんてデータメディアの方が高いので録画メディアしか買っていませんけどねぇ。
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Unknown (krmmk3)
2013-11-15 23:49:12
>emanonさん
運転はしないのでその最中に見たり聞いたりする必要はないですが、Radikoを経由して一部ラジオ放送は流し聞きすることもあります。あれも規制ガチガチですよねぇ、他県はもちろん全国放送すら聴けやしない。
まぁ放送協会に関してはそれを直接視聴するか否かより日本の映像サービスや開発全体に対する投資くらいに考えるべきではないかと思ってます。放送はそのサービスの一つに過ぎないですよ。

>なんだかなぁさん
補償金の必要の無いものにも掛けるから、永久に金を得続けることが出来る、たとえ録画録音する人間も音楽ソフトを買う人間も一人もいなくなっても必ず多額の収入を安定して得ることが出来る。そこが最大の狙いでしょうね。ある意味業界の斜陽が分かっているからこそめちゃくちゃでも話を持ち上げたんですよ。
そもそも出たばかりの司法判断を無に返そうとしているあたり、専門家が聞く耳持つわけが無いですが、直接文化庁と交渉とかするようだと、あっさり認めるだろうし手の打ち様がないです。せいぜい、こうして会見や公開された情報の矛盾点を指摘して発言の正当性を奪い、意見募集の機会をうかがうくらいですね。

>2013-11-15 21:19:28さん
それはわたしも書いていて考えました。ですが、録画用DVDのパッケージにははっきりと「私的録画補償金が含まれております」と記載されていますし、そもそも法律や一般国民の生活を変えさせようという提案なら公開する情報は正確でなければならない責任があるわけですし、もう話にもならないと。
著作権団体の考え方は「規制の範囲内であっても複製と判断できるものは複製」なんです。かの「こぴぃわんす」ですら複製扱いですから。

>Beepさん
BDのデータメディアは誰も買いませんからね、高いのも仕方ないような。
個人用法人用を問わずパソコンやタブレット、スマートフォンまで補償金のターゲットに含め、これから新しく出現する新分野の機器も自動的にターゲットに出来る権利を会得すれば、人課金しなくても大金を摂取でき続けるでしょう。実際そういう要求をしてるんですよ、CultureFirstは。
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Unknown (Unknown)
2013-11-16 06:06:27
これは…ショバ代寄越せって暴れるのと同レベルですね。
技術を食い荒らす害虫にしか見えません。

こいつらのせいでHDDとかに補償金上乗せされたらやだなあ。
店に行ったら「バルク品は販売できなくなりました」とか。
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Unknown (Unknown)
2013-11-16 08:07:09
CultureFirst→MoneyFirst

文化など関係ない。
金が欲しいんだ。

いい加減に団体名を正していただかないと、看板に偽りありです。
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Unknown (たん)
2013-11-16 16:24:50
ここまで来ると、録音機録画機に限らず
ありとあらゆるデジタルデバイスに補償金を徴収しようとする姿勢が見え見えですね。
というか利用者から徹底的に搾取と言った所でしょうか。
それ以前に補償金の行き先が不透明です。
誰にどういう支払い根拠があってどれくらい支払いが
なされたかというのが全く分かりません。
これで文化第一といわれたらたまったもんじゃありません。
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