パールハーバー

Weblog / 2010年08月19日

先月アリゾナ記念館と戦艦ミズーリーを見学しました。有名なパールハーバーですね。湾岸向こうに見える陸地はフォード島です。画像下の白く丸い物体は超高性能レーダーで、なんと６５００ｋｍ先のゴルフボール大の物体を確認出来るほどらしくアメリカの底力を感じます。このフォード島はかつて米軍最前線基地でしたが、現在はそれほど軍事的重要性もなく軍保養施設になっています。

さてこのパールハーバーは御存知真珠湾攻撃のあった場所ですが、せっかくハワイへ来たので是非観ようと思っていた場所です。現在はアリゾナ（真珠湾攻撃で大破したアメリカの旗艦）記念館と退役した戦艦ミズーリが公開されております。日本人のガイドさんがいてくれたおかげで色んな話が聞けました。

ホノルルは今でこそ日本人の観光名所になっていますが、ここ真珠湾の辺りは今でも真珠湾攻撃で戦死した米兵の御遺族が住んでおられ、日本人に対して感情的に敏感な方も少なからずおられるとのことでした。あまり大きな声で（特に子供のはしゃぐ声）に神経質になるようです。真珠湾攻撃から６０年以上も経っているのにです。まあ仕方ないことですがお互い様なのですけどね。

ただいっしょにツアーに参加された子供連れの御家族（勿論日本人です）がいまして、母親が子供に「戦争はかならず宣戦布告してから戦わないといけないのに日本は奇襲攻撃をしたから悪い」と教えてました。卑怯なことをするなと子供に教えたいのでしょうが、こと戦争の話になると子供同士の小さい枠の社会での卑怯とはレベルも違えば、そもそも善悪明快に区別もつけられないので違和感を感じました。

アリゾナ記念館までは発券場でチケットを購入しボートで向かいます。

勿論真珠湾攻撃で無くなったアメリカの方々には哀悼の意をささげたいと思います。アリゾナ記念館には、今も海底から引き上げられずに船とともに沈んだままの１０００名近くの戦死者の名前が飾られています。

海面には６０年前の重油が今なお浮遊していました。

アリゾナが沈んでいる状態が分かります。船体を横断するような長方形の物体がアリゾナ記念館です。

軍艦ミズーリです。この軍艦ミズーリは日本にとっても馴染み深い船です。戦争終結時に浦賀沖で日本とアメリカの終戦協定が行われた場所が何を隠そうこのミズーリの甲板なのです。

終戦協定時の調書（コピー）が飾られてました。マッカーサーは幕末のペリーに倣ってミズーリ停泊先を浦賀にしたそうです。憎らしい真似をするもんです。

涙が出そうになったのが、ミズーリに残るカミカゼアタックの痕跡でした。

目を凝らしてじっと見て下さい。写真左上部分にゼロ戦が確認出来ます。激突する瞬間の貴重な写真です。戦争末期、神風特攻隊の攻撃も米軍にとっては余裕だったのでしょうか？乗組員にそれほど緊迫した様子も見られず、あまつさえ写真まで撮られているのです。このゼロ戦、不運にも激突する前に海上で大破し右翼だけが甲板に乗り上げました。その際にかなりの火災が発生したのですが、その火災を消し止めると、なんと神風特攻隊のパイロットの上半身だけの死体が転がっていたのです。

米兵はその死体を踏んだり蹴ったりしたそうですが、時のミズーリ艦長が静止し、兵隊たちに丁重に扱い軍のしきたりに従い海へ埋葬するように命じたそうです。かなり兵隊達の間で不満が漏れたらしいのですが、艦長は「このパイロットは確かに敵ではあるが、しかし、彼は祖国のために勇敢に戦った英雄である。」と窘めたのだそうです。

これが海葬の写真です。一夜で作り上げた日本国旗に死体を包んで埋葬されました。このパイロットは現在身元が分かっており岡山県の石野節雄さんという方だそうです。石野さんの遺影もミズーリ内で掲示されていました。

今我々がこうして平和でいられるのも多大な犠牲の上にあるのだと思うと日々精一杯生きていかねばと痛感します。

今日も元気に頑張ろう！のスナップオン！