私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

頌歌 ―不死なる幼きころに 第七連②

2013-12-05 15:27:43 | 英詩・訳の途中経過
Ode:
Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood

William Wordsworth

VII [ll.91-99]

See, at this feet, some little plan or chart,
Some fragment from his dream of human life,
Shaped by himself with newly-learned art;
A wedding or a festival,
A mourning or a funeral;
And this hath now his heart,
And unto this he frames his song;
Then will he fit his tongue
To dialogues of business, love, or strife;



頌歌 ―不死なる幼きころに

ウィリアム・ワーズワース

VII[91-99行目]
 
足もとに 地図や海図をちらばして
人らしい 生への夢のきれはしを
おのれみずから凝らせる あらたにまねぶ技により
よばいやまつりや
とむらいや なげきを
今は胸にだき
夢へと唄をこしらえて
やがては舌をなじませる
なりわいや 愛や不和との語らいに 



 ※原文ですと94から98行目の文頭がずれているため気づきませんでしたが、この部分、SとAとTとが頭韻を踏んでいたようです。

 押韻はさておき、最近自分の韻律の傾向に気づきました。原文が弱強格(アクセントを強調すると「ッタッタ」という感じ?)ですと五七調、強弱格(=「タッタッ」?)ですと七五調に訳しがちだったようです。今回の「頌歌」はそれがなぜかみな逆になってしまいました。五連目冒頭「生まれてくるとは眠ること」や七連目の「幼きものをしかと見よ」が、自分の中で今一つしっくりこないのは、所謂「ますらおぶり」的な強さをもつ弱強格を滑らかすぎる七五で訳してしまったため……かもしれない。しかし、こういうのは迂闊に意識しすぎるといけない気もします。訳でも創作でも、一番しっくりくる言葉は無意識がもたらしてくれる気がするのです。

 訳より長い戯言をすみません。
 訓練がてら、ちょっと七連目冒頭の書き直しメモを下に。

  しかと見よ 生のはじめのことほぎの さなかにいます幼子を

 ……やはりこのほうがいいか? 
 
  

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