私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

林檎つみのあとに 9~10行目

2015-01-24 17:10:08 | 英詩・訳の途中経過
After Apple-Picking

       Robert Frost

I cannt rub the strangeness from my sight
I got from looking through a pane of glass
I skimmed this morning from the drinking trough
And held against the world of hoary grass.


林檎つみのあとに

      ロバート・フロスト


まみからぬぐいされぬのは
透かしまみえたいぶかしさ
うすらごおりを今朝がたに 水の桶からすくいあげ
褪せる草葉のうつし世に むかいかかげるときにみた




 ※一月ぶりに訳を再開いたしました。年末年始はどうにもあわただしい。……というのは半ば言い訳です。単に難しすぎまして、おそらく以後も相当に停滞すると思います。言わんとしていることは、なんとなく分かるような気もするのですが…


林檎つみのあとに 7~8行目

2014-12-20 23:25:28 | 英詩・訳の途中経過
After Apple-Picking

       Robert Frost

Essence of winter sleep is on the night,
The scent of apples: I am drowsing off.



林檎つみのあとに

       ロバート・フロスト

冬の眠りを凝らせて夜にやどった
林檎の香 おれはまどろみかけている



 ※8行目の訳は、じつはまだ迷っています。日本語での一人称はできるかぎり用いたくないのです…



林檎つみのあとに 1~5行目

2014-12-13 18:09:31 | 英詩・訳の途中経過
After Apple-Picking

Robert Frost

My long tow-pointed ladder’s sticking through a tree
Toward heaven still,
And there's a barrel that I didin't fill
Beside it, and there may be tow or three
Apples I didin't pick upon some bought.
But I am done with apple-picking now.


林檎つみのあとに

       ロバート・フロスト

ながほそい ふたつのとがった梯子の先は樹を貫き
天を向いたまま
かたえの樽はみちきらず
ふたつみっつの摘まぬ実が
枝にのこっていようけど
これで摘むのはおしまいだ



 ※またロバート・フロストを試みてみます。私には珍しくアメリカの詩人…と、思いかけましたが、よく考えたらT・S・エリオットはアメリカ人でした。
しかし、これはこの先手を焼きそうです。散文調は何よりむずかしい…。〔1行目「貫き」は「ヌき」とお読みください。完全な散文詩は私の手にはあまるため、基本は7・5の変形でいきます。)


砂州をこえて 最終連

2014-12-05 23:59:42 | 英詩・訳の途中経過
Crossing the Bar

        Alfred Tennyson

For tho' from out our bourne of Time and place
The flood may bear me far,
I hope to see my Pilot face to face
When I have crost the bar.


砂州をこえて

      アルフレッド・テニスン

有為のさかいの彼方から
あふれる水にながされて はるかにさかりゆくにせよ
ねがわくば みちびくかたとあいみたい
砂州をこえきるそのときは




 ※ようやく最終連に至りました。1行目「有為」は「ウイ」とお読みください。ちなみに意味は↓

   有為〔仏〕
   さまざまの因縁によって生じた現象、またその存在。
   絶えず消滅して無常なことを特色とする(『広辞苑』)

   …だそうです。Time and Placeの訳として強引にひねりだしました。そして、同じく1行目「彼方」は「アナタ」とお読みください。これは、じつはまだ漢字にするかひらがなにするか迷っております。さらに、2行目の「はるかに/ゆくに」の二重の「に」がやや気に食わないため、もしかしたら再編集がてら修正するかもしれません。


砂州をこえて 三連目

2014-11-28 22:28:47 | 英詩・訳の途中経過
Crossing the bar

Alfred Tennyson

Twilight and evening bell,
And after that the dark!
And may there be no sadness of farewell,
When I embark;


砂州をこえて

     アルフレッド・テニスン

たそがれ夕の鐘がなり
あとには闇があるばかり
去るに嘆きのないことを
ついに旅立つそのときは