持続する夢

つれづれにふと気づいたことなど書き留めてみようかと
・観劇生活はえきさいてぃんぐに・日常生活はゆるゆると

ヴァンパイア・レジェンド

2006-04-08 02:36:18 | 演劇:2006年観劇感想編
Studio Life公演 『ヴァンパイア・レジェンド』 Vice Version
劇場:シアター・ドラマシティ (2時間10分)
原作:ジョセフ・シェリダン・レ・ファーニュ 『カミーラ』
脚本/演出:倉田淳
出演:及川健,山本芳樹,林勇輔,舟見和利,青木隆敏,石飛幸治 他


清楚な佇まいで、静かに語り始めたのは。中世のヨーロッパ、田舎の城に住まうジョージ。母と数名の従者と、ひっそり暮らす18歳の青年は、まだ少年というほどの幼さを残す。この長閑(のどか)な生活に飛び込んできたのは、旅の途中の事故で意識を失ったゼーリヒ。初めてできた同い年の友人は、得がたいもので。彼の妖しい色香に、心が乱れはじめる。

舞台美術の、あまりの質素さに驚く。背後に、城壁のような装置があるのみで。寝室を表わすときには、ベッドが出現し。居間を表わすときには、クッションやワゴンが出てくる。人の手で易々と運べるものだけで成り立つ、シンプルな舞台は好き(←豪華なのも好きなくせに:笑)。セリフの一言の余白に、いろいろな情景が想像できるところが好き。

吸血鬼・ゼーリヒは。生き生きと動けば、年若い青年なのに。遥か昔の記憶を語れば、老獪ともいえる表情を浮かべ。性別にすら捉われることのなくなった、長い長い生命を見せてくる。闇の中での目撃者に、幽霊のようだと称される姿は軽やかで。魅惑的で、吸引される。ジョージは、彼の謎めいた部分を不快に思い、とまどいを見せつつも惹かれていく。
ゼーリヒ役をこなされる及川氏の演技は、外部公演で何度か観たけれど。ジョージ役の山本氏とのバランスが、とても良くて。あぁ、やっぱり劇団員さんなのだなぁ。年齢層がこんなに幅広だとは、つゆ知らず。楚々としたエリザベート奥様、ちょっと惚れる(笑)。

ドラキュラは、獲物を誘惑する。純朴なジョージを魅了するなど、お手のもの。ただ、いつもと違うのは。ゼーリヒが、ジョージに惹かれてしまうこと。純粋な好意だけを、与えてくれる彼。短かければ1週間、長くても2週間。ドラキュラが、初めて毒牙にかけてから、人が亡くなるまでの期間。なのにジョージは、3週間たっても生きている。

母の行動力が、息子を救う。けれど。。ラストシーンを隠します。反転にて→愛しく想うゼーリヒの最期を語り終えたジョージが、ひとつにまとめていた長髪をほぐす。ここにいるのは、もう、ただの好青年ではなく。その仕草は色香に満ちて。振り返る場所には、待ちかねたゼーリヒがいて。彼を、そっと迎え入れる。ほの蒼い月明かりの下で、互いの髪に指を挿し入れて、強く抱きあって、幾度も交わされる濃密なキスに。ふたりの愛の、永続を想う。

カーテンコール。いきなり始まる、写真撮影。見渡せば、周りのお嬢さんたちは、当然の完全装備で。フラッシュが華やかやぁ、、とかぼけっとしてる場合ではないな。とりあえず、ケータイを取り出してみる(←カメラがついてて良かった)。今回、なんのラッキーなんだかの最前列。いや、ほんと申し訳ない気分。。慌てて撮った画像はね、明らかに慣れへんことをしたってカンジで。ボケボケやったわぁ(←なんの報告?)。