言の葉花壇

何度聞いても美しい日本語に、今日もマナ女とカナ女がにぎやかに呟きます。ぜひお気に入りを見つけてください。

暗きより

2022年07月26日 | 拾遺和歌集

#暗きより……★☆ 暗きより 暗き道にぞ 入りぬべき はるかに照せ 山の端の月: 和泉式部 : 歌意:暗闇から暗闇の煩悩の道へと迷い込んでしまいそうです。月の光よ、私たちの進む道を遥か先まで照らしてください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #拾遺和歌集 第二十巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

くらきより くらきみちにぞ いりぬべき はるかにてらせ やまのはのつき

みなさん、お元気?

拾遺和歌集では雅致女式部作となってるわね。

雅致女式部」とは和泉式部の事よ。

和泉式部の父は越前守 大江雅致(おおえのまさむね)、母は平保衡女(たいらのやすひらのむすめ)

橘道貞(たちばなのみちさだ)と結婚して、道貞が和泉守に任ぜられた時に、ともに下向したので、 父の官職名「式部」と合わせして 「和泉式部」と呼ばれたのよ。

この歌は一条天皇の皇后である上東門院彰子(じょうとうもんいんしょうし)が、 播磨国(今の兵庫県)の書写山圓教寺の、性空上人(しょうくうしょうにん)に教えを乞いたいと思い、 和泉式部を伴って都からはるばるやってきたのだけれど、 俗世間との交わりを嫌がった性空上人は、居留守を使って一行を帰してしまうんやね。

そこで、和泉式部は短冊にこの歌を書いて、上人に取り次いでくれるよう応対の僧に託したところ、上人は大変感銘を受けて

日は入りて 月まだ出でぬ たそがれに かかげて照らす 法のともしび

と返歌して、一行を呼び戻して仏道を説いたと伝わっているのよ。

性空上人のこの歌の意味は?

これはね、「私は未だ、月の明るさにに例えられるほどの徳を得てはいません。 しかし、たそがれに進むあなたたちの道を照らす灯火となるのでしたら、 喜んで仏様の教えを説いてお力添えをいたしましょう。」

これを聞いた皇后 彰子は非常に喜んで、ありがたいお話を聞いたと伝えてるわね。

そっかぁ~!

賢い和泉式部の咄嗟の機転のおかげや。

ウチもこんな風に機転の利く女性になりたいわぁ~。

そうね。頑張ればきっとなれるわよ。

 


落ちたぎつ

2022年07月24日 | 万葉集

#落ちたぎつ……★☆ 泊瀬川 白木綿花に 落ちたぎつ 瀬をさやけみと 見に来し我れを: 詠み人知らず : 歌意:泊瀬川の白い木綿の花が咲いたように流れ落ちる激しい川の瀬の景色がよいというので見にやってきた私です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第七巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

アッツいなぁ~

読み方やでぇ~

はつせがは しらゆふはなに おちたぎつ せをさやけみと みにこしわれを

さやけみ=は明るくはっきりしていることやで。

泊瀬川(はつせがわ)=は奈良県桜井市の初瀬川渓谷のことやで。

三重県の松坂まで行く街道があって、別名、初瀬街道というんやで。

渓谷を流れる川、しかも、流れが速いところとかもあって、ミストパワー全開や。

暑いからこんな場所きっと涼しいんや。

昔の人も涼みに行ってたんや。

天然のエアコンや!


うつろふ色と

2022年07月18日 | 万葉集

#うつろふ色と……★☆ 月草に 衣色どり 摺らめども うつろふ色と 言ふが苦しさ: 詠み人知らず : 歌意:露草で衣を青に染めて摺りたい思うけれど、すぐに色が変わりやすいと言われたので心が苦しい。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第七巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

つきくさに ころもいろどり すらめども うつろふいろと いふがくるしさ

月草ってどんな植物?

原文では鴨頭草って書くけれど「つゆくさ(露草)」の古い呼び方よ。

夏場によく見かけるわね。

昔は青色の着物を染めるのにこのつゆ草を使ったけれど、色がすぐにあせてしまうのが難点やったみたい。

自分が心を寄せる人のことを、あのひとは最初は良くてもすぐに心変わりをするよと、 周りに言われて思い悩んでいる女の子の歌やね。

う~ん、相手の人はモテモテやったんかなぁ~。

でも、わかるわぁ~。

すぐにあちこちの女の子に心変わりする、ちょい悪がカッコよく見えて、その人がほかの人より自分のことだけ好きになってくれたらいいのにっていう乙女心。

私にもそういう人が現れたらと妄想するわぁ

・・・なるほど、妄想ね・・・

暑い日が続くから妄想もほどほどにね。


ここだ愛しき

2022年07月14日 | 万葉集

#ここだ愛しき……★☆ 多摩川に さらす手作り さらさらに なにぞこの子の ここだ愛しき: 詠み人知らず : 歌意:多摩川で手織りの布をさらさらとさらしている。更に更にどうしてこの子はこれほど愛しいく可愛いんだろう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十四巻より■□■

 

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

たまがはに さらすてづくり さらさらに なにぞこのこの ここだかなしき

みなさん、お元気?

昔、多摩川の河畔流域では、手織りの麻布をとして朝廷に収めていたのよ。

現在の調布という市の名称は昔の税金を意味する調(その土地の特産物を納める)で、布を納めていた場所なのでついた名前だそうよ。

調布市内には布田(ふだ)、とか染地(そめち)など布にかかわる地名があるのはそんな理由からかもしれないね。

このころの税法は中国から取り入れた方法で、『租庸調』といって、租(そ)は穀物、庸(よう)は兵役、調(ちょう)は地域の特産物を国家に収めていたんやろ。

あら~、よく知ってるわね。

えへへへ

均田法』(きんでんほう)といって土地は国家の持ち物でそれを人々に貸して、そこで取れた物を徴収していたのよ。

そんな昔から庶民は税金を納めていたんやなぁ。

そうやね。

この歌はどちらかというと男性が女性を恋しいと思う気持ちよりも、苦労して作った麻布を愛しい、可愛いと思い、兵役で男性がいない家や村を守っていた女性たちが、税として麻布を手放すことを自分たちに見立てて「どうしてこんなに愛しくて可愛いのか」と歌っているような気がするわね。

税金として納める大切な大切な布を思って「ここだかなしき」なんやね。

今も昔も一生懸命働いて収める税金やから、国に大事に使ってほしいと思う気持ちは変わらへんのやなぁ。


螢なりけり

2022年07月10日 | 後拾遺和歌集

#螢なりけり……★☆ 澤水に 空なる星の うつるかと みゆるはよはの 螢なりけり: 藤原良経 : 歌意:沢の水面に星が映っているかと思ったけどよく見たら夜半に飛び交う蛍だった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #後拾遺和歌集 第三巻より■□■

 みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

さわみずに そらなるほしの うつるかと みゆるはよわの ほたるなりけり

川辺に蛍が飛び交って涼しそうやろ。

暑い日でもこんな涼しそうな歌、考えられるんやなぁ。

今はエアコンや扇風機あるから便利やけど、それにしても暑っいなぁ~。

しっかり水分補給して気ぃつけよな。


七夕のこころに添えて2首 行き帰るに・仰ぎて待たむ

2022年07月07日 | 万葉集

#行き帰るに……★☆ 霞立つ 天の川原に 君待つと い行き帰るに 裳の裾濡れぬ: 山上憶良 : 歌意:霞が立つ天の川原であなたが来るのを待ちながら、行ったり来たりしていると、裳のすそが濡れてしまいました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第八巻より■□■

#仰ぎて待たむ……★☆ 夕星も 通ふ天道を いつまでか 仰ぎて待たむ 月人壮士: 詠み人知らず : 歌意:宵の明星が行き交う天の道をいつまで振り仰いで待っていようとするのか月のように美しい若者は。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十巻より■□■

 

みんなぁ、元気ぃ~?

今夜は七夕やでぇ~

読み方やでぇ~

かすみたつ あまのかはらに きみまつと いゆきかへるに ものぬれぬ

ゆふつづも かよふあまぢを いつまでか あふぎてまたむ つきひとをとこ

みなさん、お元気?

行き帰る(いゆきかへる)=は行き来する、行ったり来たりよ。

夕星(ゆふつづ)=は宵の明星のことよ。

月人壮士(つきひとをとこ)=は月を擬人化して、若くて素敵な男の人の表現しているのよ。

彦星はきっと月のように美しい若者やと、昔の人は思ってたんやね。

織姫も彦星も待ちに待った7月7日やわ。

みんなぁ~、今夜は雨が降れへんこと祈ってや。

この他にも七夕を詠んだ和歌はいっぱいあるのよ。

みんなもお気に入りの七夕の歌探してやぁ~