言の葉花壇

何度聞いても美しい日本語に、今日もマナ女とカナ女がにぎやかに呟きます。ぜひお気に入りを見つけてください。

堅香子の花

2021年03月14日 | 万葉集

#堅香子の花……★☆ もののふの 八十娘子らが 汲み乱ふ 寺井の上の 堅香子の花 : 大伴家持 :  歌意:大勢の乙女たちがさざめき入り乱れて水を汲んでいる。そのお寺に湧いている泉の上方に咲いている可憐なカタクリの花よ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十九巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

もののふの やそをとめらが くみまがふ てらゐのうへの かたかごのはな

もののふ=「朝廷に仕えた文武百官」で八十の枕詞やで。

汲み乱ふ(くみまがふ)=入り乱れて汲む

寺井=寺に湧く水

堅香子の花(かたかごのはな)=カタクリの花のことやでぇ~

宮中の女官たちが暖かくなって、お寺の泉に水を汲みに来てワイワイ、ガヤガヤにぎやかに作業してるところに、可憐なカタクリの花も咲いて、あ~~、あったかなったんや、春になったんやっていうのがよーわかるやろ。

万葉集でいっぱい花の歌はあるんやけれど、春の初めに咲くカタクリの花の歌は唯一、この歌一首だけなんやでぇ。


東日本大震災に寄せて

2021年03月11日 | 万葉集

#愛し母に……★☆ 天地の いづれの神を 祈らばか 愛し母に また言問はむ: 大伴部麻与佐 : 歌意:天の神、地の神、いったいどの神様に祈ったら恋しい母とまた話ができるだろう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第二十巻より■□■


#八度袖振る……★☆ 白波の 寄そる浜辺に 別れなば いともすべなみ 八度袖振る: 大舎人部祢麻呂 : 歌意:白波が寄せるこの故郷の浜辺で別れたならば、たまらなくなり幾度も幾度も袖を振る。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第二十巻より■□■


#星離り行き……★☆ 北山に たなびく雲の 青雲の 星離り行き 月を離りて: 持統天皇 : 歌意:北山にたなびいている青雲が遠くへ離れていってしまった。星たちからも離れ、月からも離れていくように。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第二巻より■□■

2011年3月11日

午後2時46分

東日本一帯に大きな地震がありました


桃の花

2021年03月03日 | 万葉集

#桃の花……★☆ 春の園 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ娘子: 大友家持 : 歌意:春の園にくれない色に映える桃の花が輝き下を照らすような道にたたずむ乙女よ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十九巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

はるのその くれなゐにほふ もものはな したでるみちに いでたつをとめ

今日は3月3日、桃のお節句やでぇ。

「くれなゐにほふ」は赤い色に咲き映はえていること

「した照る道」は美しく咲いてる桃の花の樹の下の陰まで照りかがやくように見える道のことやで。

みなさん、お元気?

この歌は

天平勝宝二年三月一日の暮に、春苑の桃李の花を見て此歌を作った

と、枕詞にあるわね。

ほんま!桃のお節句にぴったしの絵のようにきれいな歌や。

家持さんはどんな美人が桃の木の下にたたずんでるのを見たんやろかな。

それはきっと桃の樹の妖精やったかもね。


桃のさかりに

2021年03月02日 | その他

#桃のさかりに……★☆ この里の 桃のさかりに 來て見れば 流にうつる 花のくれなゐ: 良寛 : 歌意:この里の桃の花ざかりに来て見れば川の流れの中に花の紅色が美しく映っている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #良寛歌集 より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

3月3日、桃の節句やでぇ。

この里=新飯田地域、今の新潟市のことやでぇ。

流れにうつる=信濃川の流れやで。

良寛さんは舟に乗って新飯田に住む尊敬する有願(うがん)和尚に会いに行ったら、あたり一面が桃の花満開で、その光景が素晴らしかったから船の中でこの歌よんだそうや。

有願(うがん)和尚は江戸時代のお坊さまで良寛さんはお父さんのように慕って、良寛さんの生き方にも、ものすごい影響を与えたんやで。