言の葉花壇

何度聞いても美しい日本語に、今日もマナ女とカナ女がにぎやかに呟きます。ぜひお気に入りを見つけてください。

御祓ぞ夏の

2021年06月30日 | その他

#御祓ぞ夏の……★☆ 風そよぐ ならの小河の 夕暮は 御祓ぞ夏の 志るしなりける: 藤原家隆 : 歌意:風が涼しくそよいでいる御手洗川の夕暮れで禊が行われているのは夏であることのしるしでです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #新勅撰和歌集 第三巻より■□■

#皆つきねとて……★☆ 思ふ事 皆つきねとて 麻の葉を きりにきりても 祓へつる哉: 和泉式部 : 歌意:思うことや悩み事はみんなつきて無くなってしまえと麻の葉を切り刻んでお祓いをしました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #後拾遺和歌集 第二十巻より■□■

 みんなぁ、元気ぃ~?

6月30日は「夏越しの祓え」ちゅうて、1月から6月までの半年間の罪と穢れを祓い、残り半年の幸せを祈る日ぃやでぇ。

まぁ、ゆーてみたら、大晦日の夏バージョンや。

「茅の輪」と言う、茅で作ったわっかを健康と幸せを祈りながら八の字にくぐるんやでぇ。

読み方やでぇ~

かぜそよぐ ならのをがはの ゆふぐれは  みそぎそなつの しるしなりける

ならの小川は下賀茂神社の中を流れる「楢の小川」のことで、奈良県にある小川とはちゃうでぇ。

百人一首でも有名やろ。

上賀茂神社と下賀茂神社ではいろんな夏の神事があるんやでぇ。

次の読み方やでぇ~

おもふこと みなつきねとて あさのはを きりにきりても はらへつるかな

これは「夏越の祓」でお祓いをする時、麻の葉を切ってお供えにして願い事を叶えてもらうんや。

和泉式部も悩み事が多かったから、麻の葉っぱもいっぱい切らなあかんかったんや。

みんなも6月30日はこんな昔からの神事にふれてみてやぁ~

ウチはみんなの幸せ祈りながら茅の輪をくぐったでぇ。

   


あぢさゐの

2021年06月29日 | その他

#あぢさゐの……★☆ あぢさゐの 下葉にすだく 蛍をば 四ひらの数の 添ふかとぞ見る: 藤原定家 : 歌意:紫陽花の下葉に集まる蛍は四枚の花びらに添うように光るので花が数を増したかと見える。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #拾遺愚草 皇后宮大輔百首より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

鬱陶しい梅雨真っ最中やけど、ウチは元気やでぇ~

読み方やでぇ~

あちさゐの したはにすたく ほたるをは よひらのかすの そふかとそみる

雨が止んで日が暮れるころ紫陽花の花の間を蛍が飛び交って光ると、紫陽花の花びら(ホンマはガクやで)が光って増えたように見えるんや。

すたく(すだく)=群れをなして集まるとかむらがるちゅう意味があるんや。

四ひら(よひら)=紫陽花の別名やで。

紫陽花は昔から日本にある花やけど、昔の歌の中では植えた土によって、色が変わるのであんまり好んで詠まれてないんや。

「拾遺愚草」も藤原定家のプライベート家集や。

でも、梅雨の晴れ間の紫陽花と蛍の組み合わせ。

この時期だけの最強タッグやで。

ちなみにハート形の紫陽花見つけたら幸せになるそうや。

ウチは見つけたでぇ。

もうすぐ幸せが来るでぇ~


入相の鐘の

2021年06月10日 | 拾遺和歌集

#入相の鐘の……★☆ 山寺の 入相の鐘の 聲ごとに けふもくれぬと 聞くぞ悲しき: 詠み人知らず : 歌意:山寺の入相の鐘の音があちこちで響くたびに今日もまた暮れてしまったと聞くのが悲しい。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #拾遺和歌集 第二十巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

やまでらの いりあいのかねの こえごとに けふも. くれぬと きくぞかなしき

今日、6月10日は「時の記念日」やでぇ

入相の鐘=晩鐘、日暮れにお寺でつく鐘ことやで。

昔は、お寺が鐘をついて人々に時間を知らせたんや。

『晩鐘』と言えば、フランスの画家ミレーが、野良仕事が終って夕方の鐘の音に、一日の感謝の気持ちを一生懸命祈る夫婦の姿を描いた有名な絵があるやろ。

日本の昔の人も、日暮れのお寺の鐘の音を聞いて「あ~、今日も無事に暮れたなぁ。充実してたかなぁ、ちょっとだけ、後悔するなぁ、反省と感謝をしよ!」って思ったんや。

みんなも「時の記念日」の今日だけやなくて、毎日の時間を大事に過ごそや~


立つ虹の

2021年06月09日 | 万葉集

#立つ虹の……★☆ 伊香保ろの やさかのゐでに 立つ虹の 現はろまでも さ寝をさ寝てば: 詠み人知らず : 歌意:伊香保の高い堰に立っている虹ではないが、あのように人目について現れるまでも満足するほど寝たならば、もう、見つかってもかまわない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十四巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

いかほろの やさかのゐでに たつのじの あらはろまでも さねをさねてば

伊香保ろ=今の群馬県の伊香保町やで。

やさかのゐで(八尺堰塞)八尺(やさか)大きいこと。長いこと。堰塞(ゐで)は堰堤、ダムのことやで。

ぬじ(努自)=これが虹(にじ)のことやで。万葉仮名で書いたら「努自」と書くんや。

現はろまでもあらはろあらはるの東国訛りなんや。

さ寝をさ寝てば=幾夜も続けて寝ること。

この歌は万葉集の巻14の東歌に収められている歌で、東国地方の人が詠んだので、「にじ」も「ぬじ」になってるんや。

万葉集の中で虹が出てくる歌はこれ1首だけなんやで。

ウチ等が、今見る虹の原理は解って見てるから何とも思わへんけど、昔の人にとって虹は天変地異、見えたら不安材料やったんやで。

高い位置から大勢の人が見える虹のように、自分たちの仲も知れ渡るんやったらそんでええわ、って、結構やけくそやけれど、知れ渡った後が不安やみたいな意味に使われてるんや。

みんなも、小っちゃい秘密でばれたらエヘッて言うようなことある~?

ウチはダイエット中にチョコレートをひとつしか食べたらアカンのに、ふ、ふたつ・・・

アカンわ!しゃべったら・・・


雨やまぬ

2021年06月07日 | 後撰集

#雨やまぬ……★☆ 雨やまぬ 軒の玉水 數しらず 戀しきことの まさるころかな: 平兼盛 : 歌意:雨のやまない軒先から真珠のような水滴が落ちてくるのを数えられないように、限りなく恋しさが増して数えられないこの頃だ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #後撰集 第九巻より■□■

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

あめやまぬ のきのたまみつ かすしらす こひしきことの まさるころかな

雨が降って鬱陶しい日々やなぁ。

そんな日ぃでも軒先から雫がぎょうさん落ちてくるのを見てたら、この雫の数に負けてへんくらい想ってるでぇ~っていうこっちゃ!

そしたら、こんな雨の日ぃも恋しい人のことばっかり考えて楽しいわ。

みんなも、憂鬱にならんと、雨の日も楽しいこと考えよなぁ。