言の葉花壇

何度聞いても美しい日本語に、今日もマナ女とカナ女がにぎやかに呟きます。ぜひお気に入りを見つけてください。

忘らえず

2017年12月17日 | 万葉集
第 3290
◆ ◆ 反歌
いにしへの 神の時より 逢ひけらし 今の心も常 忘らえず 
詠み人知らず ◆ ◆
     
万葉集 第十三巻 より

::: 読み :::

いにしへの かみのときより あひけらし いまのこころも つねわすらえず

::: 意訳 :::

ずっと遠い昔の神々の時代から私たちは出会っていたらしいのです。 だから今の心も貴方をいつも忘れられないでいるのです。

::: 備考 :::
 

これはもう運命の人!っていう恋人たちや 
そうやね。
あ~~~、私もデートのあとにこんな情熱的なことを 言ってくれる人が早く現れへんかなぁ…
フフフ、ほんまにマナちゃんは恋に憧れる乙女やね。
そうや!ロマンチック大好きやもん 

 


忘らえぬかも

2017年12月16日 | 万葉集
第 0149
◆ ◆ 天皇のかむあがりませる時、倭大后のよみませる御歌一首
人はよし 思ひやむとも 玉葛 影に見えつつ 忘らえぬかも
倭姫皇后 ◆ ◆
     
万葉集 第二巻 より

::: 読み :::

ひとはよし おもひやむとも たまかづら かげにみえつつ わすらえぬかも

::: 意訳 :::

他の人はたとえおかくれになった天皇を思い慕うのをやめてしまっても、 私には天皇の面影がいつも見えているので、忘れようとしても忘れられません。

天智天皇が崩御した時に皇后の倭姫王(やまとのひめみこ)が悲しんで詠んだ歌やね。
「十二月の癸亥の朔乙丑に、天皇、近江宮に崩りましぬ。」 と日本書紀にあるわね。
「十二月の癸亥の朔乙丑」 とは671年12月3日のことで、当時は没後、8日間は仮の宮に故人を安置して その後、何ヶ月もかけて本葬(殯)を執り行っていたそうよ。
今で言う喪中やね。
天智天皇には倭姫皇后の他にも何人かの女性がて、倭姫皇后との間には子供もなく 政治的な政略結婚としか思えないけれど、倭姫皇后は悲しかったんやろうね。 天皇が危篤と崩御に際して悲しみの歌を4首も詠んで万葉集に掲載されてるわね。

 


昨日も今日も

2017年12月10日 | 万葉集
第 1014
◆ ◆ 九年 丁丑 春正月 橘少卿 また諸大夫等の 弾正尹門部王の家に集ひて宴せる歌二首 其の二
前日も 昨日も今日も 見つれども 明日さへ見まく 欲しき君かも
橘文成 ◆ ◆
     
万葉集 第六巻 より

::: 読み :::

をとつひも きのふもけふも みつれども あすさへみまく ほしききみかも

::: 意訳 :::

一昨日も 昨日も今日もお目にかかったけれど 明日もぜひあなたにお会いしたい

::: 備考 :::
 
右の一首は、橘宿禰文成 (少卿の子なり)

 


寒き夜を

2017年12月01日 | 万葉集
第 3282
◆ ◆ 反歌
衣手に あらしの吹きて 寒き夜を 君来まさずは ひとりかも寝む
詠み人知らず ◆ ◆
     
万葉集 第十三巻 より

::: 読み :::

ころもでに あらしのふきて さむきよを きみきまさずは ひとりかもねむ

::: 意訳 :::

袖に嵐が吹き荒れて、寒い夜なのに、いとしいあなたが来なければ、私は一人で寝なければならないのだろうか。