恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

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ハルくんの独り言(本編10話)子供時代の思い出~その3

2015-08-29 07:09:00 | 吉祥寺恋色デイズ 種村春樹

ハルくんルート本編をハルくん目線から妄想してみた。
o(〃^▽^〃)o

ハルくんの独り言(本編10話)その3へ


☆☆☆☆☆
種村春樹
身長:177cm 体重:60kg 血液型:A型 特技:勉強・空手 性格:明るいしっかりもの。 優しくて明るい爽やか少年。小さなころからしっかりもので泣いているとお花をくれた思い出がある。
4月25日生まれ

☆☆☆☆☆
ハルくんの独り言(本編10話)子供時代の思い出~その3

10年前の七夕祭り。

出店を見てはしゃぐ佐々木に、俺は注意した。


春樹「佐々木、また迷子になるなよ?」

一護「そうだよ、お前、去年迷子になっただろ。みんなで探し回って、大変だったんだぞ」


俺たちも一生懸命探したけど、一護は本当に必死で…結局佐々木を見つけたのは一護だった。

あの時、佐々木が見つかったのは嬉しかったけど、できれば一護よりも先に俺が見つけたかった。

だから…。

春樹「じゃあ、はぐれないように手つないどこ!」

百花「うん!」


佐々木の手をぎゅっと握る。

佐々木は俺と身長はそんなに変わらないけど、手は小さくて可愛いんだ…。




いつもの様にみんなでワイワイ騒ぐ。

これが楽しいんだよね。

お祭りというだけでも楽しいけど、仲間で来るからもっと楽しい。

だけど…、ちらっとみた佐々木の顔…。

いつもと違って、なんだか少し辛そうだ。

どうかしたのかな?



春樹「佐々木? なにボーっとしてるの?」

百花「あ、ううん、何でもないよ!」


俺の言葉で急に佐々木が元気な声を出した。


百花「き、気のせいだよ。それより早く何か食べようよ!」

春樹「俺、たこ焼き食いたい」


みんなが次々食べたいものを上げていく。

でも、佐々木は?


百花「私は何にしようかな…」


俺は赤いものが並んだ出店に目を留めた。


春樹「あ、りんご飴あるよ、佐々木。好きだって言ってなかったっけ」

百花「あ、うん! りんご飴にする。ハルくん、よく覚えてたね」

春樹「去年言ってただろ? りんご飴食べなきゃお祭りじゃないって」

百花「私、そんなこと言ってた?」

春樹「言ってた。一番大きいの頼んで、嬉しそうに食べてたし」

百花「そ、そうだっけ…ハルくんよく覚えてるね」


佐々木はちょっと嬉しそうに俺を見つめた。

俺は佐々木のことなら何でも覚えてるよ。

だってね、俺、佐々木の笑顔を見るのが大好きなんだ。

だから、佐々木の好きなことは全部覚えてる。




リュウ兄のひと声で、みんなで短冊をつるしに出かけた。

もちろん、みんな好きな食べ物を食べ歩きながらだ。


大きな笹の近くにはテーブルが据えてあって、マジックや鉛筆で好きなように願い事が書けるようになっている。

願い事を決めてあった俺は、サラサラと短冊に書いた。


百花「短冊、何書こうかなー」

春樹「佐々木、まだお願い事決まってないの?」

百花「あ…ハルくん、短冊2枚持ってる。なんて書いたの?」

春樹「ほら」

百花「えーっと…『ことしはサンタさんに会えますように』と…『ずっとみんなであそびたい』かぁ」


一護が佐々木の横から短冊を覗きこんだ。


一護「だっせえな、ハル。まだサンタなんか信じてるのか?」

竜蔵「サンタは…いないんだぞ、ハル。俺も去年知った時はショックだった…う…うおぉ…!」

剛史「リュウ兄、いちいち泣かないでよ」


え? みんな…一体何を言ってるんだろう…。


春樹「そんな事ないよ!サンタさんはいるって!」

理人「なんで…?」

春樹「だって、毎年サンタさんにプレゼントもらうから、お礼しようと思って手紙書いてたら返事くれたし」

一護「…ハルの親が書いてんだろ」

春樹「そんなことない!お父さんやお母さんの字じゃなかった!」


そうなんだ。

俺も返事はお父さんかお母さんが書いているかもって、確かめたんだ。

でも、確かに知らない人の字だった。

だけど、みんなは疑い深そうに俺を見ている。



春樹「なぁ、佐々木もサンタはいるって思うだろ?」

百花「私? えっと…そうだね、探せばいるんじゃないかな?」

春樹「そうだよな!」

一護「…夢持たせんなよ」

竜蔵「そういやハル、短冊2枚もつるすつもりか? 願いはひとつに絞らないと叶わなくなるぞ」

春樹「そうなの?」

竜蔵「ああ、母ちゃんが言ってた! 一番かなえたいものだけにしないとダメだって」

春樹「そうなんだ…神様も、欲張りの人の願いは叶えてくれないんだね…どうしようかな…」

百花「あ、だったらサンタさんへの短冊にすれば? みんなでいられますように、っていうのはお願いしなくても叶うじゃない!」

春樹「…嘘だ」

百花「えっ?」

春樹「…俺、知ってるもん。佐々木は…遠くに行っちゃうんだろ」


とうとう言ってしまった…。

俺、知ってるんだ。

佐々木の忘れ物を届けに行った時、見たんだ。

佐々木が『みんなと別れて、遠くに引っ越すのは嫌だ』って泣いてるのを。

佐々木のお母さんが佐々木を宥めてるのを。



一護「どういうことだよ! 俺にも教えろ!」

百花「う、ううん…何でもない…!」

春樹「…俺は、みんなとずっと一緒に遊びたいもん。だから、1つしか願えないなら…こっちにする!」

百花「いいの? サンタさんに会いたいんじゃないの?」


サンタさんには確かに会いたいけど…でも、俺には佐々木の方が大事だ!


春樹「う…い、いいの! もう決めたんだ!」

百花「…じゃあ、ハルくんのもう一つのお願い事は私がつるすね」

春樹「でも、佐々木の願い事は?」

百花「私の願い事は…ハルくんがつるしたのと同じだから」

春樹「…そっか…。じゃあ、佐々木と俺の名前書いとく!」

百花「うん! 2人からのお願いなら、神様もきっと叶えてくれるよね!」


みんなとずっと一緒に遊びたい。

それは心からの願いだ。

だけど、一番書きたかったのは『佐々木とずっと一緒に遊べますように』だ。

佐々木のお母さんが遠くへ引っ越すのを諦めてくれますように…。

一生懸命そう念じながら、笹に短冊をつるした。


『子供時代の思い出~その3』おわり


ハルくんの独り言(本編11話)~その1へ


ハルくんの独り言(本編10話)その3

2015-08-28 07:59:10 | 吉祥寺恋色デイズ 種村春樹

ハルくんルート本編をハルくん目線から妄想してみた。
o(〃^▽^〃)o

ハルくんの独り言(本編10話)その2へ
☆☆☆☆☆
種村春樹
身長:177cm 体重:60kg 血液型:A型 特技:勉強・空手 性格:明るいしっかりもの。 優しくて明るい爽やか少年。小さなころからしっかりもので泣いているとお花をくれた思い出がある。
4月25日生まれ

☆☆☆☆☆

ハルくんの独り言(本編10話)その3

佐々木を促してみんなのところに戻ると、相変わらず談笑中だった。

俺をチラチラ見ながら、りっちゃんが言う。


理人「あーあ、でも、どうせなら女の子込みで勉強会したいなー。
そしたら僕も、手取り足取りみたいに? 教えてあげるのに」


一護がフンと鼻で笑いながら言った。


一護「お前、可愛い顔して言うことエグイんだよ」

理人「みんな彼女とか連れてこないの? そしたらもっと華やぐのに」

百花「えっ!? みんな、彼女いるの!?」

剛史「彼女いたら、こんな野郎だけで集まらないだろ」

春樹「ハハッ! 同感」


俺の言葉に佐々木がつぶやく。


百花「…ハルくん、彼女いないんだ…モテるのに」


佐々木は何言ってるんだろう?


春樹「俺? 全然モテないし!」


理人「とか言って、ハルくん、毎年バレンタインすごい数もらってるじゃん」


りっちゃん、変なこと言うなよな…佐々木に誤解されるじゃないか…。


春樹「あれは…ほとんど義理だって」

剛史「ハルはアイドルみてーなポジションだから、直接告白してくるヤツはそんなにいないんじゃん?」


タケ…アイドルってなんだよ! アイドルって…。


百花「なるほど…」


佐々木も納得するな~!



一護「…」

理人「いっちゃんは?」

一護「女なんてめんどくせーだけだろ」

理人「いっちゃん、愛想ないもんね…女子も怖がって近づかないし」


一護がチラチラ佐々木の方を見て言う。


一護「別に…好きでもないヤツに振りまく愛想なんてねーよ」


可愛くないなぁ…。佐々木のことは好きなくせに…。


一護「…おい、剛史。お前は?」


一護の質問にもタケはまともに答えない。

本を見ながら意味不明なことを言っている。

まともに返事もしないってことはタケには彼女がいるんだろうか?


りっちゃんはタケやリュウ兄に彼女がいるかどうかを述べ立て始めた。

りっちゃんによるとタケには彼女がいそうだし、リュウ兄に彼女はありえないと断言した。


竜蔵「どんだけ俺の事バカにしてんだよ!」

理人「あのねぇ、リュウ兄ほど女心がわかってない人、この地球上にいないよ?」


りっちゃんがさり気なく佐々木にも質問を投げかける。


理人「百花ちゃんは? 彼氏とかいないの?」


俺はドキンとして佐々木の方を見た。


百花「わ、私? 彼氏なんていないよ」


良かった…。


理人「じゃあ、好きな人とかは?」

百花「好きな人……いるよ」

理人「あ、やっぱりいるんだ」


りっちゃんはニヤニヤした。

佐々木の好きな人って、誰だろう?


理人「案外、その相手がすぐ近くにいたりしてね~」


りっちゃんの思わせぶりなセリフに言葉を失った。


百花「…」

春樹「…」

一護「…」

理人「…3人とも、何で固まっちゃてんの?」


りっちゃんに言われて、一護の方を見た。

一護も少し蒼白な顔色になっている。

やっぱり……一護も佐々木を好きなんだ…。

いや、そんなこと、とっくに分かってたけど…。


佐々木はどうなんだろう…。

俺のこと…ちょっとは好きでいてくれるように見えるけど…。


だけど…一護も佐々木を好きだとしたら…。


アイツが佐々木に好きだと言ったら…。


俺、一護に勝てるだろうか?



理人 「こういうのって楽しいね」


タケにリュウ兄が何か言ってる。

ホッとしたように一護が言った。


一護「こいつ…教科書読むふりして漫画読んでたな」

理人「やけに静かだと思ったら…」


俺は慌てて言った。


春樹「はい、じゃあ休憩はこれくらいで、勉強再開するぞ!」

そろそろ、始めないと勉強会の意味がない。

あとは全員無言で結構集中して出来たと思う。


☆☆☆☆☆


クロフネから帰って、今度はもう少し難しい問題を解き始めた。

クロフネの勉強会では、みんなに教えないといけないから、あまり複雑な問題は解けない。

各教科、ここまで…と決めた問題を全部解いて時計を見ると、午前一時をまわっていた…。

そろそろ、お風呂に入って寝ないと…。




湯船に浸かりながら、今日のことを思い返した。

佐々木のつぶらな瞳。

柔らかそうな唇。

あの時、もしりっちゃんが来なかったら、佐々木にキスしてしまうところだった…。

もし、俺がキスしたら…佐々木は受け入れてくれただろうか?

そしたら、俺のことを選んでくれる?


一護じゃなく……。


本編10話終わり。子供時代の思い出~その3へつづく


ハルくんの独り言(本編10話)その2

2015-08-27 08:02:25 | 吉祥寺恋色デイズ 種村春樹

ハルくんルート本編をハルくん目線から妄想してみた。
o(〃^▽^〃)o

ハルくんの独り言(本編10話)その1へ


☆☆☆☆☆
種村春樹
身長:177cm 体重:60kg 血液型:A型 特技:勉強・空手 性格:明るいしっかりもの。 優しくて明るい爽やか少年。小さなころからしっかりもので泣いているとお花をくれた思い出がある。
4月25日生まれ

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ハルくんの独り言(本編10話)その2

必死で数学の問題を解いている佐々木が、急に前につんのめった。

一護に突き飛ばされたらしい。


一護「…邪魔」

百花「わっ!…一護くん、何すんのよー」

一護「俺の通り道に座ってるお前が悪い」

百花「普通に椅子に座ってるだけなのに…」


なんか一護は不機嫌そうだ。

タケの頭もノートでしばいた。


一護「…フン…おら、剛史!寝るな!」

剛史「…んだよ、うるせーな…」


りっちゃんがそっと囁いてきた。


理人「いっちゃん、ご機嫌ナナメだねー」

春樹「虫の居所でも悪いんじゃない?」


一護は…もしかしたら俺が佐々木に勉強を教えてるのが気に食わないのかな?

だけど…俺が誰かに勉強を教えるなんて、いつものことだしな。



休憩と言われて、佐々木は必死に問題を解いている。

俺のカウントダウンに焦りながらも頑張って、時間内に問題を解いた。

しかも、ちゃんと正解だ。


春樹「ハハッ。じゃあ、ちょっと休憩にしようか」


俺の言葉を待ち構えていたかのようにジョージさんがケーキとコーヒーを持ってきた。

こういう気配りはいつも凄いよね。


譲二「はい、お疲れさん。そろそろ糖分が欲しいだろ」

一護「…って、これうちのケーキだろ。見飽きたっつーの」


相変わらず一護は可愛くないww


理人「わーい、いただきます!」

百花「いただきまーす。…うん、おいしい!」


佐々木の無邪気な笑顔が微笑ましくて吹き出した。

くるくる変わる表情はずっと見てても飽きない。


百花「何?」

春樹「いや、幸せそうな顔して食べるなーと思って」

百花「うん。だって、甘いの好きだもん。あ、ハルくんのチーズケーキもおいしそうだね!」

春樹「これ? 食べる?」


聞いてみると、佐々木は嬉しそうに言う。


百花「あ、じゃあ一口もらう!」

春樹「はい」


俺はフォークで刺したチーズケーキを佐々木の目の前に差し出した。

佐々木はしばらく迷っていたが、大きく口を開けてぱくっと食べた。


春樹「うまい?」


佐々木は目を白黒させている。


剛史「…なんか犬に餌付けしてるみてぇだな」


今度もタケの言葉は無視することにした。


一護「…百花。これもやる」


一護が佐々木の目の前に、皿ごとアップルパイを差し出した。

嬉しそうに食べた佐々木が咳き込む。


百花「…何これっ! 辛いっ!!」

一護「フン、ざまあみろ」

一護は不敵に笑った。


百花「これ…タバスコ!? 一護くん、何するの!」

一護「お前がボーっとしてるからだろ」


佐々木に水を飲ませながら一護に注意した。


春樹「一護、食べ物を粗末にしたらダメだろ!」

一護「うるせーな。どうせうちのケーキだろ」


一護はプンと向こうを向く。

やれやれ……俺と佐々木のやり取りが気に食わなくて、こんなことをしたのは察しがつくけど、あまりに子供っぽすぎる。

俺は佐々木に口をゆすいでくるように薦めた。




佐々木が洗面所に行った後、一護を睨みつけた。


春樹「一護…」

一護「……」

が、一護は相変わらずふてくされている。こんな状態の時に注意しても逆効果だからな…。

俺はため息をついて、佐々木の様子を見に洗面所に行った。




春樹「佐々木? 大丈夫か?」

百花「うん、大丈夫。わざわざ来てくれなくてもいいのに」


必死でうがいをしている佐々木がなんだか可愛くて……微笑んだのを佐々木に見咎められた。


春樹「ははっ、悪い悪い。もう口、平気?」

百花「んー…まだちょっとヒリヒリする…」


大丈夫かな?


心配になって、佐々木の頬を両手で挟み口の中を覗き込んだ。

少し赤くなってる…。

一護のヤツ…どんだけタバスコを入れたんだ。


ふと、気が付くと、佐々木がじっと見つめてる。

つぶらなその瞳に吸い込まれそうだ…。



百花「…ハルくんは無自覚にこういうことやっちゃかもしれないけど、女の子にはあんまりしない方がいいと思うよ」

春樹「…自覚、あるよ」


だって俺…佐々木以外の女の子にこんなことはしないよ…。


百花「え…」


佐々木の柔らかくてぷるんとした唇。

触れてみたい…。

このまま……いっそキスしても構わないかな…。


そっと顔を近づけても佐々木はそのままだ…。



理人「…あのさぁ、いくら何でもこんなところじゃマズイんじゃない?」

春樹「わっ!!」

百花「り、りっちゃん!?…いつからそこに…」


突然のりっちゃんの声に俺たちは慌てて離れた。


理人「まあ、いつ誰が来るか分からない中でキスするのって、スリルがあっていいけど」

春樹「し、してないって!」

理人「あははっ!ハルくん、思った以上にいい反応してくれるね!」


さっきの俺の気持ちを見透かされたような気がして、慌てて言い訳をした。


春樹「その…佐々木が、口が痛いっていうから、大丈夫かと思って…」

しどろもどろな俺に佐々木も「そうだ」と頷いた。



りっちゃんは何もかもお見通しとでも言うように、ニヤニヤ笑いながら戻っていった。


りっちゃん…トイレじゃ無かったのか…。

ってことは、俺たちが何するか興味があって覗きに来たのか…?


その3へつづく


ハルくんの独り言(本編10話)その1

2015-08-26 07:51:55 | 吉祥寺恋色デイズ 種村春樹

ハルくんルート本編をハルくん目線から妄想してみた。
o(〃^▽^〃)o

ハルくんの独り言(本編9話)その3へ


☆☆☆☆☆
種村春樹
身長:177cm 体重:60kg 血液型:A型 特技:勉強・空手 性格:明るいしっかりもの。 優しくて明るい爽やか少年。小さなころからしっかりもので泣いているとお花をくれた思い出がある。
4月25日生まれ

☆☆☆☆☆

ハルくんの独り言(本編10話)その1

中間テストが発表された。

テスト期間中といえば、恒例なのがクロフネでの勉強会だ。



春樹「だから、ここは倒置法になってるから」

竜蔵「とーちほーって何だよ。新しい敵か!?」

春樹「何だよ、敵って…そんなの古文のテストに出るわけないだろ」


やれやれ…、いつものごとく俺はみんなに勉強を教えるハメになってる。

復習になるから、それはいいんだけど…、なんでリュウ兄にまで教えてるんだろう^_^;)



譲二「…ったく、何でお前らはいっつも俺の店で勉強会するんだ」


ジョージさんがため息をつく。

りっちゃんが数学の方程式を解きながら答えた。


理人「だって、ここなら騒いでも怒られないし」

一護「売り上げ貢献してやってるんだからいいだろ」


俺の解答と自分のを照らし合わせながら、一護が言った。


譲二「…まあね、他にお客もいないからいいんだけど…。あ、歴史ならお兄さんが何でも教えてあげるよ?」

剛史「いい。マスターは一回喋り出すと止まらねーんだもん」

一護「この歴史オタクが…」


みんなに冷たくあしらわれてるのに、ジョージさんも楽しそうだ。

隣ではりっちゃんがリュウ兄に漢字の間違えを教えてる。


竜蔵「ふん。こんなもんできなくても、俺は八百屋継ぐからいいんだよ!」

剛史「でも、高校卒業しないと継がせないって言われてるんだろ? 留年しちゃったら継げないじゃん」

竜蔵「そうならないために、イヤイヤ勉強してんだろうが!…春樹、これ教えろ」


急にリュウ兄にふられて苦笑した。

教えれば教えたで「お前、何で高3の問題が解けんだよ!って言われるし…。

ん…? 佐々木が難しい顔をして考えこんでる。


春樹「佐々木、悩んでるみたいだけど…。何か分からない問題あった?」

百花「ハルくん、あのね、この問題なんだけど…」


俺が定理を使って問題を解くと佐々木は感心してくれた。

百花「わぁ…すごいね、ハルくん。そんなスラスラ解いちゃって」


タケも英語の構文の問題を解きながらボソッと言う。


剛史「ハルがいると便利だな」


俺は慣れてるのでタケの言葉は聞き流して、佐々木に問題を出した。


春樹「感心してないで、はい次この問題。3分以内に解くことね」

百花「ええっ!」


さっき俺が教えた定理を使えば簡単に解けるはずだ。

って、一生懸命問題を解いている佐々木のノートを見るといきなり間違えてる。

慌ててもう一度説明を始めると、佐々木がボーッとしているのに気付いた。


春樹「おーい!佐々木、ちゃんと聞いてる?」


返事に元気がない。

もしかして、疲れてるのかな?

佐々木は俺にそう聞かれて頷いた。

そっか、そうだな。

俺にとってはこれくらいは何でもないけど、佐々木にとっては集中力が続かないのかも…。


春樹「分かった。じゃあ、これ解けたら休憩な」


励ますつもりで佐々木の頭をポンポンと叩いた。


その2へつづく


俺の気持ち…~その7

2015-08-25 07:16:46 | かなり年下の彼女

『年上の彼女』と同じ時期に書いたお話です。
ここでは、年下の子との恋愛というよりも、ちょっと手出しをするのは憚られる相手がいたとして、積極的な女の子のアプローチに譲二さんはどう対処するだろう? という興味で書き始めました。
吉恋のヒロインはそんなに積極的というわけではないですからね。女の子の方から抱きついてくるようだったら、どうするの? って。

この話はまだラストが確定してない…と言うか、途中で止まってます。
だけど、upするうちに続きの話も書けるようになるといいな…という希望的観測でupしていきます。


☆☆☆☆☆

 譲二ルート以外のどれかのルートの譲二さん。
 本編のヒロインは大学を卒業して就職、クロフネを出ている。

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俺の気持ち…~その7

〈譲二〉
 ベッドの上と下、2人並んで横になる。


汐里「ねえ、マスター…。私を抱いてはくれないの?」

譲二「ああ、抱かないよ…」

汐里「それは私に女としての魅力がないから?」

譲二「そういうことじゃなくて…。さっきも言ったけど、俺たちは恋人でも何でも無いだろ?」

汐里「じゃあ、恋人になったら抱いてくれるの?」

譲二「恋人だとしても…、すぐにそういう関係になるわけじゃないよ…」


 俺の歯切れの悪い言葉に、汐里ちゃんは叫んだ。


汐里「うそ! 男の人ってすぐにそういうことをしたがるよ。私が誘っても抱いてくれないのはマスターだけだよ…」


 俺は面食らった…。

 俺だけじゃなく…、まずいと思えば女性に誘われても抱かない男なんて他にいるだろ。


譲二「あのさ…、汐里ちゃん。汐里ちゃんは本当に今までそんなに簡単に男に抱かれて来たの?」


 汐里ちゃんはボツボツと自分の身の上を話し始めた。

 その話から考えてみるに…。



 汐里ちゃんは、これまで男とは自分の体でしかコミュニケーションを取れなかったのだ。

 本当は出会った男に父親の影を見、父親が自分に与えてくれるであろう愛情をその男から貰いたかったのだろう。

 しかし、相手の男は彼女に体の関係しか求めなかった。

 だから、その男を自分に引きつけておくために、汐里ちゃんは直ぐに体を許して来たみたいだ。

 俺は…そんな彼女を抱くわけにはいかないと思った。

 本当に彼女が求めているのはそういうことではなく、彼女の心を温めてくれるようなそんな関係なのだろう。

 それに彼女自身すら気づいてはいないみたいだけど。



 俺は布団から起き上がると、汐里ちゃんをそっと優しく抱きしめた。

 そう、彼女の父親が彼女を抱きしめるならそうするように…。

 俺はただのダミーにしか過ぎないけど…。

 でも、彼女が望むなら父親のダミーでありたい…そう思った。



汐里「マスター…、やっぱり私を抱いてはくれないの?」


俺の胸に顔を埋めた汐里ちゃんのくぐもった声がする。


譲二「ああ、汐里ちゃんを抱いたりはしない。俺は汐里ちゃんが今まで会って来た男たちと同じにはなりたくない…」


汐里「…ありがとう、マスター」


譲二「さあ、もうお休み。こうして横で見ていてあげるから…」

汐里「おやすみなさい、マスター」

譲二「ああ、おやすみ」


 そっと、彼女の額にキスをした。

 

『俺の気持ち…』おわり