恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

譲二さんの愚痴(一護エピローグ3話)~その1

2015-07-31 08:15:18 | いっちゃんルートの譲二さん

頼れるみんなの兄貴として、ヒロインと幼なじみたちとの恋愛模様を応援しつつ、自分の気持ちには蓋をして、ちょっと落ち込んでみたり…。

 そんなちょっと情けないけどラブリーな譲二さんを王道のいっちゃんルートでウオッチングしてみようと思う。

 自分のルートのヒロインにも自分から告白できない譲二さん。


 そんな譲二さんが他人のルートのヒロインに気持ちを打ち明けられるわけも無く…。


☆☆☆☆☆
譲二さんの愚痴(一護エピローグ3話)~その1

祭りの当日になった。

百花ちゃんは緊張しているのか、朝食の時、いつもと違ってあまり食べられなかった。

俺は百花ちゃんの気分をほぐそうと、色々話しかけたが百花ちゃんはうわの空だった。



一護に手渡すハチマキを握りしめ、百花ちゃんは出かけていった。

ハチマキはねじってあるから、一護へのメッセージが何と書いてあるかは分からない。

『見てくれるかな』と心配そうな百花ちゃんに『ハチマキをほどいてみて』って頼めばいいとみんなで言ったものの…。

そんなこと百花ちゃんは言えないんじゃないかなぁ……う~ん。大丈夫かな?


☆☆☆☆☆


しばらくして戻ってきた百花ちゃん。

そわそわしながらもクロフネの露店を手伝ってくれている。




遠くからお御輿を担ぐ掛け声が聞こえてきた。

譲二「百花ちゃん!お御輿、来たみたいだよ!」

百花「本当ですか!?」



2人で露店から出てみると、お御輿が見え始めていた。


『わっしょい!わっしょい!』


譲二「あ、あれが一護だよ!一番前で頑張ってるね」

百花「本当だ…」


百花ちゃんは御輿を担ぐ一護をじっと見つめている。



お御輿は賑やかに俺達の前を通過していった。

百花ちゃんの顔を見るとまだ浮かない顔だ。


譲二「ん? その顔だと、まだ一護と仲直りできてないみたいだね」

百花「はい…」

譲二「ハチマキほどいてみてって言えなかったんだ?」

百花「…はい…」

譲二「そっか…」

百花「みんなが協力してくれたのに、すみません」

譲二「いやいや。なかなか、そういうことって言えないよねぇ。わかるよ、百花ちゃんの気持ち」

百花「マスター」


ああ、百花ちゃんそんな顔しないでよ…。いつもの明るい百花ちゃんでいてよ。

百花ちゃんの気持ちを伝えるには……一護にハチマキを外させないとな…。


譲二「ここは俺が一肌脱ぎますか」

百花「いっちゃんと仲直りさせてくれるんですか?」


百花ちゃんは縋るような瞳で俺を見つめた。


譲二「なるべくそうできるように頑張ってみるから…ほどほどに期待して?」


俺はちょっと思いついたことがあったので、百花ちゃんに微笑むと、クロフネの露店に戻って行った。

 

その2へつづく



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