吉恋番外編の雪遊びを読み返して、譲二さんだけに子供の頃の思い出話が無いのが寂しかった。
なので、思い出話+彼目線も書いてみました。
恋カフェにショートの彼目線はあるけどね、もう少し長くってことで。
子供時代、他のみんなのは10年前で小学生時代なんだけど、譲二ルートでは譲二さんが中学生ってことで13~15歳くらいの話になる。
ということはヒロインは幼稚園児で12~14年前のことと思われる。
微妙にずれてしまうんだよね。
だから「雪遊び」は10年前の大雪の日ってことで、この思い出では高校生の譲二さんに活躍してもらいます。
だから失恋からも少し立ち直ってるのかな?
☆☆☆☆☆
雪遊び~譲二の場合~その8
1階に降りるとみんな口々に声をかけてくる。
一護「百花は大丈夫なのか?」
竜蔵「ジョージ、百花は気がついたのか?」
理人「百花ちゃんはやっぱり風邪なの?」
剛史「マスター、すまない」
春樹「ジョージさん、俺たちが付いていながらごめん」
譲二「百花ちゃんは…熱が出て気分が悪くなったみたいだ。とりあえず今は安静にさせて眠ってる」
それぞれのホーッという溜息が聞こえた。
譲二「ただな…」
一段低い俺の声に、みんながハッとしたようにこちらを注視した。
譲二「百花ちゃんはお前らと違ってか弱い女の子なんだ! 自分たちと同じようにあちこち連れ回すんじゃない!」
自分でも驚くような大声であいつらを叱ってしまった。
譲二「一度戻って来た時だって、百花ちゃんはかなり寒そうにしていたのに、お前らは気にも止めずに連れだしただろう? 」
一人ひとりを睨みつけながら話す。
みんな黙って下を向いている。
譲二「あの子は気を使ってなかなか自分のことは言い出せない子なんだから、それぐらい気づいてやれよ!」
そう叫んでテーブルをドン!と叩く。
みんな、身体をビクッとさせた。
だが、これは八つ当たりだ。
本当はちゃんと気を配れなかった自分に対して一番怒ってるのだ。
朝からいつもより元気が無いことに気が付いていながら…、俺はバカだ。
百花ちゃんに嫌われたくないために、強く止めることが出来なかった。
なぜなら…それは…それは…。
胸に浮かんでくる、その気持を抑えて、あいつらに言う。
譲二「分かったら、お前らももう帰れ…。そろそろ薄暗くなってきてるし、体を冷やしてお前らも風邪を引いちまうぞ」
しょんぼりして口々に謝るあいつらを、無愛想に送り出した。
あいつらのことをこんなに怒鳴ったのは初めてだな……。
今日はもう店を閉めてしまおう…って、既にcloseの札はかけたままだったな…。
やれやれ、何やってんだか…。
その9へつづく