恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

譲二さんの愚痴(本編11話)

2014-12-20 09:04:56 | いっちゃんルートの譲二さん

 頼れるみんなの兄貴として、ヒロインと幼なじみたちとの恋愛模様を応援しつつ、自分の気持ちには蓋をして、ちょっと落ち込んでみたり…。

 そんなちょっと情けないけどラブリーな譲二さんを王道のいっちゃんルートでウオッチングしてみようと思う。

 自分のルートのヒロインにも自分から告白できない譲二さん。
 そんな譲二さんが他人のルートのヒロインに気持ちを打ち明けられるわけも無く…。


☆☆☆☆☆
譲二さんの愚痴(一護本編11話)

 

 クロフネに久しぶりに百花ちゃんが来た。一護と映画を観に行って来たそうだ。

 既にハルとタケも来ている。

 サトウ洋菓子店には先日から一護の兄の桃護くんが帰って来ていて、一護と家族の間がギクシャクしているらしいんだよね、ハルによると…。

 そこへリュウが来た。

竜蔵「お、百花もいるのか。お前、まだ一護ん家にいるのか?」

百花「うん」

竜蔵「いつになったら、ここの2階は直るんだ? ジョージ」

譲二「あ、そのことで百花ちゃんに伝えようと思ってたことがあったんだ」

百花「なんですか?」

譲二「昨日、床の基礎工事はもう終わったから、あとは仕上げだけだから、あと一周間くらいで直るんじゃないかな」

剛史「お、それじゃ百花もクロフネに戻れるじゃん」

春樹「寂しいんじゃないか? 一護」

一護「別に…。まあ、できれば桃護の方を預ってほしいけどな」

 心なしか百花ちゃんの顔色が陰っている。

譲二「案外、百花ちゃんの方が寂しかったりして?」

百花「え…」

 うわー。やっぱり図星? 百花ちゃんはつぶやいた。

百花「一護くんの家にいたいな」

一護 「百花…」

 オジサン、ショックかも。恐る恐る聞いてみる。

譲二「それじゃあ、ずっと一護の家にいることにする?」

百花「い、いいえ! そういうわけにはいきませんよ! それじゃあ月末くらいには戻れる予定ですか?」

譲二「うん、そうだね。今度は補強工事もしてもらったから安心して」

 ひとまず、クロフネに戻って来てくれるみたいで、よかったー。

 このままだと、「まかせてください」と良子さんに言ったのに俺の立つ瀬がないもんな。



竜蔵「あ、そうだ。こんな話にきたんじゃねーや。お前ら、これ見ろよ」

一護「なに?」

 リュウが『商店街納涼バザー』のチラシをテーブルに置く。


竜蔵「今度、町内会でそれやることに決まったからよ。お前らも何か出せ」

春樹「へえ、バザーか。面白そうだね」

剛史「なんかって言ってもな・・・古いオモチャ持ち寄るとか?」

 俺からも提案してみる。

譲二「それよりもさ、ウチを使ってオープンカフェをやらない?」

春樹「オープンカフェか・・・うん、俺は賛成」

一護「店、貸してくれるのか? マスター」

譲二「ウチの宣伝にもなるからね。それに、君達がウェイターやってくれるなら繁盛しそうだし」

 改装工事の借金の穴埋めもできそうだ。

剛史「ま、他にやるものも思い浮かばねーから、そうするか」

竜蔵「準備はジョージがやってくれるんだろ?」

 やっぱり、そうきたか…。でも、俺が考えつくことじゃ、目新しいことはできそうにないからな。

譲二「うーん、まあ、コーヒーはウチで用意するけど、皆もなんか持ってきてよ」

春樹「じゃあ俺はハーブティーの作り方、母さんから聞いてくるよ」

剛史「俺は、漫画をいっぱい持ってくるか・・・」

竜蔵「それだと、漫画喫茶になるだろ!」

 百花ちゃんがいいアイデアを出してくれた。

百花「ね、一護くんのケーキをカフェで出すっていうのはどう?」

譲二「お、それいいねー」

 確かに、一護のケーキなら飛ぶように売れそうだ。

春樹「一護のケーキが人気なのは、この間の調理実習で実証済みだしな」

一護「おいおい、勝手に決めんなよ…」

百花「でも、カフェにケーキは必須だよ? せっかくなら商店街の皆に一護くんのケーキの美味しさ知ってもらおうよ」

竜蔵「おう! 百花の言う通りだ。ケーキくらい出さなきゃ格好もつかねぇ。一護! お前ケーキ屋の息子なんだから、ケーキくらい焼いてこい!」

一護「ったく、面倒くせーなぁ…」

 口ではそう言いながらも一護はまんざらでもなさそうだ。

 兄の桃護くんがみんなからチヤホヤされてて、それがふてくされる理由なんだから、一護が自信をもつきっかけになるといいな。

 俺もできのいい兄貴がいるから一護の気持ちはよくわかるんだよな。

 百花ちゃんも帰って来ることになったし、はりきってオープンカフェの準備に取り組もう。



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