恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

小説を検索しやすくするためインデックスを作りました

インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。

インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。

手書きイラスト インデックス…自分で描いた乙女ゲームキャラのイラスト記事


他にも順次インデックスを作ってます。インデックスで探してみてね。



サイトマップ






人気ブログランキングへ

揺れる心~その6

2016-06-20 08:33:05 | 譲二の~勝手に3年後編(吉祥寺恋色デイズ)

前にも書いたけど、吉恋本家の譲二ルートの3年後編には色々と不満がある。

久しぶりに吉祥寺に帰ってきた譲二さんとのラブラブな話のはずなのに、新キャラの紹介に使われてたり、色々とモヤモヤするものがあって、私の思う『勝手に3年後編』を書いちゃいました。


『譲二の勝手に3年後編』の始めの部分は本家の『譲二3年後編』とほぼ同じです。

そして、時々本家のエピソードに重なるものも入れながら、少しずつ離れていき、玉の緒ワールドの譲二さんの話になってます。

航くんは出てきませんが、本家の『譲二3年後編』では出てこなかった、懐かしいあの人とかあの人とか出てきます。


だから、ネタバレも少々あるものの、譲二ルートの3年後編とはまた別のお話と思って下さい。





☆☆☆☆☆


揺れる心~その6


〈譲二〉
玲「この店をアタシに譲って欲しいの」


まるで女性かと見間違えるような男性。

それも初対面の相手に唐突に言われて、俺は面食らった。


譲二「それは…いったい?」

玲「だからね、このクロフネを譲って欲しいの」

譲二「クロフネを譲って欲しいとはどう言うことですか?」

桃護「それは店を買いたいってことですか?」

玲「平たく言えばそうね」

百花「そんなこと…できません!」

譲二「…どうして、この店を買いたいと?」

玲「この店の…前のマスターのことはご存知かしら?」

譲二「ええ、俺は先代のマスターからこの店を譲り受けましたから…」

玲「そうだったの…」


有栖川さんは少し言い淀んだ。


玲「その先代マスターってのが、アタシの父なんです」

譲二「え⁈ でも、先代は浦賀さんという人で…」

玲「そうよ。私はちょっとわけあって有栖川を名乗っているだけなの」



先代マスターにも家族がいるらしいことは知っていた。

だけど、俺が知り合った時にはマスターは一人暮らしで、家族の話も聞かされたことはなかった。

ただの一度も……。

歴史のことはあんなにたくさん話してくれたのに…。


譲二「マスターの息子さん…」

玲「だから、アタシ、この店を継ぎたいんです。父が大切にしてたこの店を」


そう言って決然と俺を見つめる瞳が先代のマスターにそっくりなのに気づいてしまった。


玲「突然現れて勝手なことを言ってごめんなさい。でも、どうしても譲って欲しいんです」


譲二「そうですか…。そういう理由なんですね」

理人「え~、ちょっと、マスター!」

桃護「マスター、まさかこの人に譲るつもりじゃないでしょうね?」

譲二「えっと、有栖川さん…。先代マスターには大変可愛がってもらって…本当にお世話になりました」

譲二「だけど、いくら恩人の息子さんだからといっても、急に来られて、はいそうですか…と譲るわけには行きません」

玲「それはそうよね…」


有栖川さんはそういうとため息をついた。

男から見ても見とれるくらい絵になっていた。


玲「でも、アタシも簡単に諦めるわけにはいかないわ」

譲二「それにしても、なぜ急に?」

玲「アタシ、父とは疎遠になってて、この店のことを知ったのも最近のことなのよ」

譲二「そうだったんですか…」

玲「アタシ、前々から自分の店を持つのが夢だったんです」

玲「だからこんなタイミングでこの店を知るなんて、父がこの店を継いで欲しいって知らせてくれた気がして…」


女優バリに自分の気持ちを語る有栖川さんに、りっちゃんが不機嫌そうに突っ込んだ。


理人「それは都合よく解釈し過ぎなんじゃない?」

百花「今はもう、クロフネはマスターのお店なんです!」

桃護「百花ちゃんの言うとおり、所有権はマスターにあるんだ!」


みんなの気持ちは嬉しいけど…。

このままだと有栖川さんを頑なにしてしまうだけだ。


譲二「みんな、ちょっと落ち着いて」

百花「だって…」


百花ちゃんが訴えかけるように俺を見つめる。

そうだね。

クロフネの所有権は俺にあるし、突っぱねたって誰にも文句は言われないだろう。


だけど……世話になったマスターの息子さんを門前払いするわけにはいかないんだ。

単に俺が臆病なだけかもしれないけど。

 

その7へつづく