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ピアフ  愛の讃歌

2010-01-15 | 映画
おととい、エディット・ピアフのことを少し書いたけれど、今日、ピアフの生涯を描いた『エディット・ピアフ 愛の讃歌』という映画を観ました。



いやあ、スゴイ人だったんですね、ピアフってお方は。


彼女は大道芸人の父と、ストリートシンガー(街頭で歌ってお金を稼ぐ人)の母との間に生まれた、根っからのストリートチルドレンでした。

しかし、育児能力のない母親に呆れた父親が、まだ赤ちゃんのピアフを引き取り、自分の母方のもとに預けますが、そこは売春宿でした。

つまりピアフは物心つく前から娼婦たちの間で育ったのです。

そして、3歳から7歳までは重度の角膜炎で失明の危機にあったり、父親に引き取られていっしょにサーカス団と旅をしたり…と、幼少の頃から筋金入りの波乱の人生でした。

15歳のときに父のもとから飛び出し、自分もストリートシンガーとして生計を立てるようになります。

16歳で未婚の母になりますが、生まれた女の子は2歳で病死してしまう。

ね、ちょっとイヤになるくらいの波乱だらけでしょ?



そして、20歳になり、有名ナイトクラブのオーナーにスカウトされます。

ピアフは142センチと小柄でしたが、その声には、今聴いてもびっくりするぐらいの力があるんですよ。

その稀有な声と天性の表現力から、その後はみるみるスターの階段を昇っていきます。

しかし、実生活ではまだまだ波乱万丈の連続でした。

イブ・モンタンとの恋や、ナチス占領下でドイツ高官のために歌いながら水面下ではフランス兵捕虜の脱走に強力していたこと…という映画の題材としてはまことに魅力的なエピソードもあるのですが、この映画では全くカットされています。

あまりに波乱がテンコ盛りになり過ぎて、一本の映画では収めきれないということでしょう。

それと、ピアフはフランス本国では途方もなく愛され、今でも聴かれ続けている「スター」というより国民的シンボルのようなので、こういった数々のエピソードは知り尽くされていて、あえて全てを取り上げることもないのかも知れません。



この映画を「スゴイ」ものにしている最大の要素は、ピアフを演じたマリオン・コティヤールの熱演です。

私はこの映画で初めて彼女を知りましたが、調べてみると、今、封切られている『パブリック・エナミーズ』で、ジョニー・デップと共演している…とある。

で、興味を惹かれて『パブリック・エナミーズ』の予告編を見たら…。

全然、違う。全く別人です。

『愛の讃歌』では、ピアフという超有名な実在の人物を演じることもあって、特に入念なメイクをしたこともあるでしょうが、この「違い」は、そんなレベルではない。

女優魂のバクハツなのです。

マリオン・コティヤールは『愛の讃歌』でアカデミー主演女優賞をとりました。

それは当然だと思うけれど、あんなに可愛い女優さんがここまで「汚れ役」をやってしまう、また、やらなければ本当に評価されない「彼我の芸能界事情の違い」に、私は改めて思い至ったのでした。



最近の日本映画を見る気になれないのは、男優も女優もテレビドラマかCMの続きみたいに「コギレイ」過ぎて、迫力が足らない…という印象があるからです。

ちょっと前までは、日本映画もけっこうなものだったんですよ。

溝口健二の描く女性なんてスゴイ迫力だし、小津安二郎や成瀬巳喜男も、違うニュアンスだけど女優のスゴ味を引き出していました。

そこまで金箔付きの巨匠たちじゃなくても、今村昌平や熊井啓だって…。

いやいや、古い話をしてしまいました。



この映画をぜひ見て下さい…とまでは言わないけれど、ピアフの歌声には、それこそ一度触れてみて下さい…と、言いたくなっている文七でした。

それと、映画を観た後、日本の歌手の色んな「愛の讃歌」を聴き比べたけれど、いちばん良かったのは長谷川きよしでした。

彼の歌声もギターも、世界に出しても恥ずかしくないな…と、改めて感じ入った次第です。



どうも、まいどお粗末さまでした。









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