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しあわせの温もり

2010-01-16 | いのち
ここのところ、東京もずっと寒い日が続いていますネ。



こんなとき、取りあえず暖かい部屋と食べ物があることは、幸せなことです。



15年前の1月17日、阪神淡路大震災が起きました。

あのとき私は、障害者施設の職員をしていました。

私の施設を運営する母体は、「共同作業所」という、地域の障害者が集まって働く作業所の全国的な連絡組織でもあったのです。

阪神大震災では、多くの障害者も亡くなり、自宅や共同作業所も損害を受けました。

そこで、「とにかく支援に行こう」と、全国から関係する施設や作業所の職員が神戸に向ったのです。



派遣は震災から二、三日後からぞくぞくと始まりました。

ふだんから障害者運動で鍛えている人たちですから、こういうときの動きは迅速で、私は「さすがだア」と、内心で感心していたものです。

我が施設からも、元気の良い若手男性職員から一週間ずつ派遣され、私も、最後のほうに派遣されました。

当時、私は三十代半ばで、今考えればバリバリの若手だと思うのですが、初めに行った職員から、
「電気もガスも水道も復旧してない。寒くて暗い中をシュラフでザコ寝するんですよ。元井さんじゃ、参っちゃいますよ」
と、言われて「その通りだナ…」と思ったものでした。



私が行ったのは2月の終わり頃で、もう電気と水道は復旧していましたし、応援体制がすっかりそろってましたので、フトンで寝ることができました。

それでも学校の校庭や近くの公園には、まだ数多くのテントが張られ、そこで仮住まいする人たちの炊き出しの匂いが常に漂っていた思い出があります。

合同の葬儀が毎日行われ、僧侶の読経がたびたび聞こえてきました。

あのとき初めて、「飢え寒さをしのぐ」という成句が実感をもって感じられたものです。



あれから15年経って、別の意味で「飢え寒さをしのぐ」という言葉が身近になりつつあります。

今日、所用で都心に行ったのですが、途中、新宿駅の構内や地下道で、スーツを着たままうずくまり、飢えと寒さをしのいでいる男性がいました。

スーツはヨレヨレで垢だらけ、実質的なホームレスさんなのでしょうが、以前のようにダンボールを組み立てたりすると排除されるので、寒中、駅構内で堪えているのに違いありません。

新宿ほど大きくなくても、ちょっとした駅には、このととろこういう人たちを良く見かけるような気がします。

でも、一歩間違えれば、本当にヒトゴトではないよなア…と、思うのです。



都心に向う電車の中で、先日も紹介した『コミュニティを問い直す』という新書をパラパラとめくっていました。

その中で、現在日本の「生きにくさ」の特徴として、
① 同じ組織の成員、つまり「身内」には過剰なほどに気を使い、「空気を読め」という言葉通り、場を乱さない思考と行動の同調を求めるが、
②「ヨソ」の人間にはまことに無関心で関わりをもとうとしないこと
…が挙げられていました。

こんな日本人の行動特徴は、ずっと昔から指摘されていたことですが、今のような経済状況になると、「我が身で我が身を苦しめる」主因となってしまうようです。

ヨーロッパには、いまだに教会が「コミュニティの核」になりうる地盤があるそうです。

しかし、日本だって、こんなに人々の意識が分断されたのはせいぜい戦後から、数十年のことしょうから、まだまだ「新しいコミュニティ」を作り出す素地が人々の心の深層には残っているはずです。

ともかく、こんな寒いときは身を寄せ合って「温もり」を作るだけでも、少しずつ幸せになるし、「しあわせ」という意識をもつことで温もりも生まれてくると思うのです。



実は、今日はこれから職場の新年会。

私の勤める会社は、この四年で二度、名前が変わりました。

ホームのブランド名も変わりました。

いずれも今の経済状況の反映なのですが、そんなふうに苦労した仲間と、ちょっと温もってこよう…と思います。






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