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50年の孤独

2010-07-06 | 映画
今日は休みだったので、また映画を借りてきた。





先週の土曜に借りそこなった『沈まぬ太陽』を今日こそ観よう…と思った。(詳細は7月3日付け当ブログ参照)

さて、『沈まぬ太陽』を手にして、すぐにレジに行こうと思ったが、このごろレンタル屋の棚のデコレーションが変ったので、少し見物していた。

すると、目を疑った。

この数ヶ月「観たいなア」と念じていた、アンジェイ・ワイダの新作『カティンの森』が、ひっそりと置いてあったのである。

二ヶ月くらい前、ここの店員に問い合わせて、「ないです」と言われたことがあった。

そのときは、いくら巨匠ワイダの新作とは言え、地味なポーランド映画などはやはりおかれないのだなア…と、淋しく感じたものである。

でも、入荷してたではないか。そうじゃなくちゃ。

レンタル映画屋だって文化産業の一翼、ハリウッド映画と日本のテレビ局制作の作品ばっか棚に並べるんじゃ、悲しいもんね。






しかし、この作品は、重かった。

1940年に、ポーランドの将校など知識層が捕虜となり、ソ連の秘密警察により虐殺された。

その数は四千人とも二万人とも言われる。

「カティンの森」とは、その大惨事が行われた地名である。

ワイダの父親も処刑された一人だった。だから、当然、ワイダの個人的な怨念がこもっている。

その上、ソ連だけじゃなく、ナチスからも「民族浄化」を宣告されていたポーランド人全体の怨念も入っている。

それにしても、「劣った民族は諸悪の根源だから消し去ってよい」という発想と行動エネルギーは、いったいどこから来るのであろうか?





ワイダは1958年、30歳を越えたころに出世作の『灰とダイアモンド』を撮った。

私は1970年代後半、高校生のとき名画座でこの作品を観た。

この映画を観た世界中の若者と同じく、反体制運動に身を投じる青年の姿を私も「カッコイイ!」と思い、昂奮したものである。





そして『灰とダイアモンド』の約半世紀後。

80歳になったワイダは、満を持して…というように、ポーランド現代史のひとつの象徴である「カティンの森」を作り上げた。

『灰とダイアモンド』のロマンチシズムを期待していた私は、その重さに圧倒されてしまった。

でも、ポーランド文化の寵児として50年間、波乱の生活を続けてきたワイダにとって、『カティンの森』はどうしても作らなければならなかったのだろう。





今日はもう一本、『HANAーBI』も借りてきた。

『カティンの森』を観た後だと、たけし流バイオレンス映画も、実に甘くリリカルなものに感じましたよ。

ま、それは、私にとっても日本人にとっても幸せなことかも知れないけれど…。














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