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お江戸幻視一座

2010-07-07 | 出来事
今日は、我がホームのご入居者が入れ替わり事務所に色んなことを訴えにきて、なかなか賑やかでした。





とくに熱心だったのは、「部屋にまたあの夫婦が寝てるのよ」というS様でした。

S様の部屋には、いつも時代劇の役者の恰好をした夫婦ものが来て、ベッドの上でしっぽりと妖しいことをやっている…と言います。




「イヤんなっちゃうのよオ。あたし、とてもういっしょに居られないけど、夜は仕方がないから三人で寝てるのよ」

その夫婦者だけでなく、子役や坊主頭の役者など、お部屋にはたくさん押しかける…とか。

私は、何度もお部屋に行きました。





「ホラ、そのふとんの中にいるでしょ?ほら、そこそこ!今、ベッドの下から顔を出した…」

「あの、私には見えませんが」

「あら、見えないの?やっぱり時代劇の人たちだから、忍術を使うのね」

三度目は「話しながら行くと勘付いて逃げちゃうから、黙ってソーッと入りましょう」と言われ、無言で部屋を覗きました。

「やっぱり誰もいませんよ」

「きっと小さくなって洗面台の中に入っちゃたんだワ」





とにかくS様のお話は、臨場感があります。

スベリ台に上がったり下りたり、坊さんが赤い頭巾を被って女に化けていたり…。

その情景は、まったく寺山修二の世界、極彩色の万華鏡…。





S様は幼くしてご両親と別れ、戦前から銀座のホールなどで働いて生きてきたたくましい女性です。

95年の人生には、きっと私たちの考えも着かないような経験を無数にしてきたに違いありません。

それが今、お部屋でこの豊かな幻視となっているとしたら、実に貴重なお話を聞かせてもらっている…ともいえます。

ま、確かに忙しいときは、ちょっとタイヘンだけど。





さて、このお江戸幻視一座の行く末や如何…。












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