ベアテらGHQ民生局が、日本国民に贈った「もう一つのプレゼント」
憲法79条に規定された「最高裁判所裁判官国民審査」は、国民が最高裁の裁判官を罷免するかどうか審査する制度で、国民が唯一持つ「伝家の宝刀」と言える。調べれば憲法79条は、憲法9条と並んで、他国に類を見ない極めて民衆寄りの国家権力制限法であった。先ごろ話題になったベアテ・シロタ・ゴードンらGHQ民生局が日本国民に贈った「もう一つの偉大な民権プレゼント」のようだ。
察するに、「国民審査権」は、GHQ組織の中で、ベアテら民生局が、参謀部(軍事部門)とせめぎ合いながら、当時では画期的な先進法を、日本国憲法草案の中に「こっそりと滑り込ませた」ものらしい。と言うのも、憲法79条の起草過程がはっきりとせず、アメリカ本土では排斥され、幾つかの州法に名残があるだけになっているからだ(当時ミズーリ州で創られた法が元のよう)。
以前、国会図書館HP公開の「国会法立案過程におけるGHQとの関係」という文書を見てから感じていることだが、GHQでは軍部と民権派の激しい綱引きがあり、ベアテの上司ら民生局の法律専門家が、理想の国家像を追い求め、本国アメリカでは認められない先進的憲法理念を、日本国憲法の中に込めたようだ。「国民審査権」はアメリカでは排斥された。現在の合衆国最高裁判所の裁判官は終身制で、辞任・引退・弾劾裁判以外の理由では解任されない……国家権力の固定化だ。
なんとも皮肉な話だが、とにもかくにも、我が日本国には「国民審査権」(憲法79条)がある。日本国民が持つ唯一の「伝家の宝刀」と呼んで差し支えない。ありがたい。やはり、日本国憲法は、極めて勇敢かつ優秀な人材(ベアテら)によって、当時の世界中の先進的憲法学の粋を集めて起草されている。現在もなおこれを凌駕する法は世界に無い。日本国民として誇りに思う。
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