陳 情 書
平成20年12月15日
高知市議会議長 殿
陳情者 追手前小学校PTAと校区内住民の連絡会
事務局長 (意見集約者) 藤 島 利 久 印
高知市はりまや町
第411回高知市議会定例会の「市第180号 高知市立学校設置条例の一部を改正する条例議案」に係る追手前小学校の廃校問題の件
陳 情 の 趣 旨
1. 「市第180号 高知市立学校設置条例の一部を改正する条例議案」が、提起前の瑕疵を有する旨確認し、却下する。
2. 市議会は「市第180号 高知市立学校設置条例の一部を改正する条例議案」を審議する前に、追手前小学校が災害時の避難場所として地域に必要であるか不必要であるか確認する責務がある。また、既存の施設ではなく新たに代替避難場所を設置するなど、少なくとも現状と同等に市民の安全性を担保するまで、防災面での議論を尽くさなければならない。
3. 市議会は「市第180号 高知市立学校設置条例の一部を改正する条例議案」を審議する前に、追手前小学校の跡地利用について、市が計画する施設と同校の合築案を検討するなど、財政・経済面でのあらゆる議論を尽くす必要がある。
との決議を求めます。
陳 情 の 理 由
平成20年12月9日高知市議会に提示された「市第180号 高知市立学校設置条例の一部を改正する条例議案」(以下「本件議案」という。)は、実質、追手前小学校(以下「本校」という。)の廃校議案です。本件議案に係る上記陳情の趣旨3件の提出理由を以下に述べます。
1. 陳情の趣旨1項について
―教育委員会事務局が虚偽説明を繰返していること―
平成20年11月6日の臨時教育委員会での決議内容が問題です。平成20年11月10日付け「20高教総第777号」(別紙)は、同決議内容を市長に意見したもので、「記」以下に、「統合による新校の名称は「高知市立はりまや小学校」、新校の位置は・・・」とあります。つまり新校名を決めただけの「軽い決定」です。ところが、市長の意を受けた教委事務局は、「20高教総第777号」が統廃合をも包括する「重い決定」である旨市議会に虚偽説明しています。
本件議案が教委決定を経ずに提起されたか否かは、市議会の判断に重大な影響を及ぼします。この判断を虚偽説明によって操ろうとする教委事務局の行為は、明らかに違法行為であり、市議会を愚弄するものです。
このように、本件議案は、提起前の瑕疵を有し、審議に値しないと解されますから即座に却下されるべきです。すなわち、
(1) そもそも、市長及び教委事務局は、本校PTAに対し、①5人の教育委員会の決議を経ずとも、自治体首長が有する『公の施設の設置、管理及び廃止』(地方自治法149条1項7号)の権限をもって本件議案を市議会に諮ることは可能である。②教育委員会では新校名のみを決める。と説明してきました。
(2) 平成20年11月6日臨時教育委員会の前に、教委事務局は、本校PTAに対し「新校名検討委員会」の設置を打診しましたが、本校PTAは新校名を創らず「仮称」で本件議案を提起するよう求めました。本校PTAが新校名検討委員会に組織として関与した事実はありません(校長およびPTA会長は教委の要請により、やむなく個々の立場で参加したもので、PTA会長は「仮称」で本件議案を作成するよう求めています。)
(3) ところが、教委事務局は、本校PTAの反対を押し切って「新校名検討委員会」を設置し、勝手に新校名を公募しました。そして、平成20年11月6日の臨時教育委員会において、4人の民間教育委員に対し、本校PTAが組織として新校名決定作業に関与した旨誤認を誘う紛らわしい資料(別紙)を提示し、新校名を決定したのです。
更に、教委事務局は(前述の如く)、市議会に対し、平成20年11月6日の臨時教育委員会での決議が新校名だけの「軽い決定」であるにも拘わらず、統廃合を含む「重い決定」である旨歪曲し、本議会前の勉強会で虚偽報告しました。
この結果、多くの市議会議員が、①追手前小PTAは組織として新校名決定作業に関与しつつ統廃合やむなしと考えるに至った。②教育委員会は正当な手続を踏んで統廃合を含む「重い決定」を下した。と錯誤に陥っています。
(4) 此処に至って、本件議案は、法律的要件を充分満たして提起されていない「瑕疵ある議案」あるいは「欠損議案」と解され、審議に入るべきではなく、門前払いすることが相当と思料します(以上は概略であり、詳しくは付託された常任委員会で説明します。にわかには信じがたい教委の違法ですが真実です。現状は極めて異常な事態に陥っているのです。)。
2. 陳情の趣旨2項について
―大規模災害に備えて追手前小が必要であること―
(1) 高知県危機管理課などの情報によれば、南海大地震に襲われた場合、高知市は大津~桟橋~下知~新堀地区などが広範囲に水没し、約3ヶ月はその状態が続き、沈下した地盤が完全に隆起・回復するまでは3年程度かかると言われています。つまり、こうした地域は長期間「海」ないし「波打ち際」になるのです。
(2) 残念ながら、市議会議員の皆さんは、市当局の説明不足もあって、市中心部の防災の重要性を理解していません。新堀小学校は、江戸期に作られた埋立て湿地に立っています。地震時には「液状化現象」が起き、校舎が倒れる可能性が格段に高くなっていますから避難場所には適しません。また、追手前・丸の内高校・土佐女子高校および高知女子大などは、現在も避難場所とし罹災市民を収容する体制をとっていますが、本校が無くなれば、その分だけ安全性が損なわれることになります。
(3) 中心市街地の住民は本校であれば町内会単位で優先的に仮住まいができますが、県立高校などは他の罹災市民が押し寄せ整理が付かなくなります。結局、本校が無くなれば、中心市街地住民の非難先確保は困難になります。市長は11月17日本校の勉強会で代替避難施設として安心センターに言及していましたが、同センターは数百人が仮設住まい出来る設計にはなっていません。適当な言い逃れで市民の安全性を後退させることは許されません。この実情を宜しくご理解下さい。
3. 陳情の趣旨3項について
―本校の跡地利用(街の活性化策)に本校が必要であること―
本校の跡地利用(街の活性化策)について考えれば、(1)全て売却する。(2)全て市が利用して施設を造る。(3)一部を売却して残りを市が利用する。という3通りの方法があります。それぞれ検討すれば次のようなものです。すなわち、
(1) 全て売却する案
本校跡地の単純売却は、中心市街地活性化策の頓挫・市の無策と市場に判断されます。今般の経済情勢に鑑みれば、本校跡地の売却交渉は長引くでしょう。結果、地価下落に拍車がかかり、周辺の地権者らを巻き込んで大損します。
(2) 全て市が利用して施設を造る案
市には、本校跡地全面に手を打つ財源がありません。大丸や高知大学移転などの構想は頓挫したと聞き及んでいます。市議会で確認するべきですが、そもそも、両移転策は後に大穴が空くのですから市全体から見れば愚策です。
(3) 一部を売却して残りを市が利用する案(これが良いと考えます)
別紙「追手前小と商店街との共存・共栄案」(合築案)をご覧下さい。本校の運動場の部分をマンション用地として売却し、その利益で、屋上に運動場を配置した学校と図書館などの文化施設を合築する案が有効です。保育園・老人福祉施設等との合築も可能です(文部科学省が問題ないとしています)。
学校と文化施設が隣にあればこそ、マンション用地が高値で売れます。周辺の地価の下落も止まります。大型マンションが建てば住民が増えて街の活性化にも役立ちます。また、屋上運動場には防災ヘリが離発着出来るので防災上も有利です。つまり、本校跡地利用に本校を加えるから将来の展望が開けるのです。
素案は、1階にプール・体育館・大型防災倉庫(平時は商店街が利用し、災害時には市民に物資を放出する倉庫)を、2階に図書館、3階に音楽室や家庭科室・視聴覚室などの特別教室を配しています。これらの施設を児童が使わない休日や夜間に市民文化施設として開放します(国交省の街づくり交付金や合併特例債との複合予算を検討すべき。)。4階に教室と教職員室を造り、出入り口を市民と別にして安全性を確保します(詳細は常任委員会で説明します)。
以上の次第です。