もっとましな嘘をついてくれ ータイ歌謡の日々ー

タイ歌謡について書いたり、うそをついたり、関係ないことを言ったりします。

ひょうたん カニ 魚

2023年11月30日 19時41分33秒 | タイ歌謡
 このタイトルがわかる人は、無駄にタイを知っている人だろう。タイ語で「น้ำเต้า ปู ปลา(ナムタオ・プー・プラー)」という。発祥は中国の福建省と言われており、「魚蝦蟹」といえば「あー! あれか!」と思い当たる人もいるかもしれない。中国の南部の他、ヴェトナムやインドネシア・マレーの華人の遊びで、とくにマカオでは盛んだ。マカオのカジノの「大小」というゲームとセットになっている場合もあって、ギャンブル好きなら知っていても不思議ではない。「魚蝦蟹」は(ふーへいほう)と読むのだ、と英語版のWikipediaにあって、日本語で「魚蝦蟹」を紹介してる記事も「マカオでは、ふーへいほうと言う」なんて書いてるんだが、これは福建語だね。オリジンの言語で言ってるあたり感心したんだが、マカオで福建語を話す人も多少いるだろうが、ふつうは廣東語だ。廣東語でなら(ゆうはーかい)と読むんじゃないかと思うんだが、何かの事情で福建語なのかもしれない。
 遊び方・ルールは、そんなに難しくない。中文だけれど漢字でわかりやすいから興味のある方は、これをご覧いただきたい。

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「魚蝦蟹」是極受歡迎的中國傳統博弈遊戲,玩法十分簡單有趣。魚蝦蟹的玩法與輸贏賠率與「骰寶」基本一樣,只是魚蝦蟹的特色在於——其使用的骰子🎲圖案較特別,是由魚、蝦、...

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 盤の中央に「大公無私 翹骰不算」と書いてあって笑っちゃう。「(おれがおれがと)ガタガタ言うな サイコロは別だけどな」ってことで、要はサイコロにだけ従えってことだ。動画の遊び方を見てわかるように、サイコロ3つを振って出た目で勝負する。
 そう。チンチロリンじゃねえか。ルールも似ている。大きな違いは賽の目が数字じゃなくて絵だってことで、華人向けのは「魚・蝦・蟹・鶏・瓢箪・貨幣」の6つの目がある。動画を見た方が早いね。
★農曆新年必看★魚蝦蟹【如何】獲得最高勝算?買一/兩/三範?
 いきなり「恭喜發財(こんへいはっちょい - 廣東語読み)」とか新年の挨拶が書いてあって何事かと思ったが、それについては触れずに、やかましく遊技の解説だ。廣東語の音が汚いのは、この人の発音のせいじゃなくて、誰が喋っても廣東語って、こんな感じだ。確率の計算までしているのがおかしい。だってこれ、完全に運任せだよね。

 さて、タイの「น้ำเต้า ปู ปลา(ナムタオ・プー・プラー)」は中華のと何が違うかというと絵柄が少し違う。中華の「魚・蝦・蟹・鶏・瓢箪・貨幣」の6つの目のうち、最後の貨幣がなく、その代わりに「虎」が入る。なけなしの金のことを「虎の子」と言うが、関係あるんだろうか。あと、タイのはサイコロを使わずに厚紙に印刷した3つの賽の目に薄い目隠しの紙が貼ってあり、その遮蔽をぴりぴりと剥がして「うおー!」などと一喜一憂する。これも動画を見た方が早いかな。いちおう現金を賭ける賭博はタイの法律で禁止されているので、子供が飴玉を賭けて遊ぶ動画になっている。
น้ำเต้าปูปลา | ป้าแมว |การละเล่นโบราณ
 瓢箪ってのが、間抜けでいい。これ、やってみると賭博の興味が薄いおれでも面白かった。通貨を離れて漫画みたいになってるところが馬鹿馬鹿しくていい。「虎! 虎、来い! 虎ァ!」ってチップ(これも紙幣じゃなくて飴玉なんかのほうが遊戯性が高まる)を張って、「うっわー! 瓢箪かよ!」って大のオトナが「エビ!」とか「ニワトリ!」って野太い声でツキを引き寄せようとして、妙におかしい。
 パチンコも数分で飽きてしまうおれが、30分近く遊んだ記憶がある。まあ会社のタイ人たちとだから金額も知れたものだが、ビギナーズラックで独り勝ちしてしまった。といってもせいぜい数百バーツくらいだったか。元銭もほとんどかかってないし、これで勝ち逃げは「いやなかんじ」だったらマズいので、若い者を呼んで「これで何か買ってきて。みんなで食べてくれ」と渡してみると、「さすがナイハン(旦那)」と、こんなときだけ調子よくニコニコお世辞を言ってたんで、それで良かったんだろう。

 カニといえば、かつてラオスの国営市場のパン売り場で「かにぱん」が売られていて、これが日本で見るのとそっくりなもんで、へえー、と見ていたら、パン屋のおばさんが迷惑そうに「買っていきな」とアゴをしゃくる。欲しかったんじゃないんだけどな、と思うんだが、それが伝わっていたのか、だとしたら迷惑な話で、しょうがないから、ひとつ買った。
 かにぱんを手に、市場を歩いていると、向こうから直立歩行ができないで、いざり寄る物乞いの男が近づいて来て、何やらおれに話しかけるので、反射的にかにぱんを差し出したら、男の形相が一変して、そのかにぱんを、ぱちん、と叩き落とした。ビニール袋に入っていたとはいえ、パンが地面に落ちるのはツラい。これは。これは悪いことをしたのだな、と思うのと、周りの人たちが口々に言う「ອາລົມບໍ່ດີ(性格、悪っ)」って批難が耐えられず、逃げ出してしまった。あとでこの話をうちの奥さんにしたら、「その性格が悪い、っていう批難は、物乞いの人に対してだと思うよ。あなたに対してのわけがない」と言われ、ああそうか。そういう考え方もあったのか、と少し安堵した。
 かにぱんは、あれ以来見たことがないな。見ても、もう買いたくない。

 いや。ひょうたんカニ魚の話だった。タイでもポピュラーではあっても、お上品な階級のタイ人たちにとっては「あー。……あれは、いけないですね。よく知りませんが」という類いのもので、ポジションとしてはエナジードリンクに似たようなものかもしれない。お上品なタイの人々は隠れて常習的に飲んでいたとしてもエナジードリンクと聞くと「あー。そういうものが世の中にはあるようですね。飲んだことはありませんが」みたいな返事をする。口には出さないが(だって、あれは下民の飲むものだから)と思っている。日本で言うと花札あたりが近いのか。上級のお嬢様が「桜! おいであそばせ!」とか言いながら札をめくるのにピシッ! と快音を響かせて反転させたりしてないだろうし、「いたく失望しましてよ。合計が20だなんて。ブタですわ」とか「ご覧いただきました? さながらカスのような札を集めてフケて差し上げましたのよ」なんて言ってないと思うのだ。もし言ってたとしたら、それがお嬢様かどうかは疑わしい。たんに言葉遣いが度外れて雅やかなだけだ。遅い時間にスーパーマーケットの惣菜売り場で「ごめんくださいまし。半額のシールを貼ってくださいますの?」と懇願する娘は縦ロールの髪型であっても、お嬢様である確率が低い。
 タイのお嬢様も札束握りしめて「ひょうたん!」なんて叫んでないと思うのだ。
 ていうか、そもそもタイで賭博行為は犯罪なのだった。
 お国が公認の賭博は宝くじと競馬くらいか。
 いやいや。何をおっしゃる。バンコクにも雀荘があって日本人のオッサンたちの社交場ではないですか、との反論もあろうが、あれはカネを賭けていた場合は違法なのだ。今でも雀荘はあって、営業していて、その実態は知らないが昔は時折警察の手入れを食らっていた。ただ手入れを食らっても数日後には何事もなく営業していたと聞いたし、◎◎という店は賄賂が手厚いから踏み込まれることがないのだ、などという話も聞いた。憶測ではあるが警察の手入れのまえに事前に連絡すらあったのではないか、とすら邪推した。「悪いね。何にも実績がないとマズいんで、来週の木曜の夜に踏み込むから。よろしくね」とか。知らないけど。あれは遊んでいた客も逮捕されるので、常連には「木曜には手入れがあるから、来ないでね」とか店の人が言ってたかもしれない。しつこいけど憶測だ。なにせ、おれは麻雀には興味がなく、打ったこともないし、打ち方も知らない。おれの世代では珍しいタイプで、高校の時にもクラスで麻雀の打ち方を知らない者は男でおれを含めて二人だけだった。
 まあそんな訳で、ひょうたんカニ魚といえども、ときどき手入れがある。完全に見せしめというもので、ニュースを探すと出るわ出るわ。先月も僧侶がひょうたんカニ魚の賭博で逮捕されていた。
แฉพระร่วมวงพนัน เจริญพร น้ำเต้า ปู ปลา l ตลาดข่าว - ข่าวเช้าเวิร์คพอยท์ l 12 ต.ค.66
 賭博の現場には僧衣のままで、しかも女性まで同席していたとのことで、それがまたタイ人の憤懣を煽っている。いや坊主だってギャンブルくらいするだろと思うかもしれないが、それは日本なら(しょうもねぇ坊主だな)で済むが、タイだと並外れた破戒僧ということになる。日本の坊主だってパチンコを打ちに行くのに袈裟着て行く馬鹿はいないと思うが、タイの僧侶である。賭博の現場に居るだけでアウトなのに、「น้ำเต้า!(ひょうたん!)」とか叫んで札束を張っていたんである。僧侶は現金を触ることすら禁じられているというのに、それが賭博! 女連れで! というね。女連れだって文句なしのアウトだ。僧侶は女性と目を合わせてもいけない。間違って女性に触れられでもしたら、それまでの修行が強制終了でリセットされて積んだ徳がゼロになっちゃう。ふりだしに戻る、ってやつだ。昔、それを知らない外国人女性観光客(たしか英語圏の国だったような)が僧侶に近づき触れてしまい、僧は強制的に破戒僧になって大々的にニュースになったこともあった。観光客は「えー。知らなかったんだもん……」としょげていたが、テラワーダ仏教界に女性の人権なんてものは、ない。気の強いタイ女たちが黙っているのが解せないが、幼い頃から仏陀様のおっしゃることは絶対だと教え込まれているので、不思議にも思わないのだろうか。

ขับไม้บัณเฑาะว์ พิณน้ำเต้า one string instrument
 さて、今回は歌ものではなくインストゥルメンタルだ。ひょうたんの笛ならタイにも中国にもあって、そんなに珍しくないんだが、พิณน้ำเต้า(ひょうたんの竪琴)だって。
 こんなの初めて見た。
 ひょうたんは丸ごと使うんじゃなくて、半分に切ったものを共鳴胴にしているようだ。弦は一本だけで、オリジンは籐の蔓の弦だったが、そののち絹になり、現在は真鍮製だとのこと。弓弾きはせずにピチカート奏法に特化しており、演奏時に上半身の着衣を禁じている。意味がわからない。シャツを着たからといって音が変わるとは思えないんだが。ミュートするときに裸の方が効果的かなとは思うが、このように痩せた奏者だと、どっちでも良いようなものではないのか。
 
 ところでおれは既に一週間ちょっとまえに退院して服薬での療養中で、もう命に関わるようなアレではないんだが、抗生物質の処方が内服薬に切り替わって、それを飲んでいると無闇矢鱈と眠い。もうなんぼでも眠れる。抗生物質の服用はあと3週間ほどあるんで、しばらくは眠たい毎日なんだろう。眠いだけじゃなく、明らかに知能が低下してる自覚がある。
 入院して一週間経った頃に「今日から抗生物質の量を2倍にして、本格的に治療します」と言われて(え。これまでの一週間は何だったの?)と思ったら、「上の血圧が80を切っていて、これは危ない、って本当に心配してたんですよ。でもやっと体力が回復してきて投薬に耐えられるようになったから、今日から倍なんです」と看護婦さんに言われて(そ、そんなにヤバかったのかぁ)と肝を冷やしたんだが、回復したらこっちのものだ。まだしばらくは生きていける。これからも無為な与太話を撒き散らせるのだ。
 入院していると、ご存知の病院食が薄味なのは普段の食事が薄味なので、さほど問題ないが、(す、酢の物でメシ食えってか)とか(この葉っぱのサラダでメシ食えってか)とか(何だゼリーって。おれぁカブトムシじゃねぇぞ)など、ときどき考えられないような組み合わせが登場して常識というものの在り方を根底から揺さぶりにくるんだが、ああいうメシばかり食っていると、つまらないものが食いたくなって思い詰めてしまう。前回は(カップ焼きそば食いてぇ)という思い絶ちがたく、退院してから隠れ食いしてみたが、一口目で(そう! この味! まっず!)ってなって捨ててしまったが妙な満足が押し寄せた。まずいけど、この味が欲しかったんだと、しみじみ思った。今回は、ちゃんとしたアイスクリームじゃなくて、やっすいラクトアイスみたいなのが食べたくて食べたくて煮詰まるくらいに思い詰めてしまい、チョコモナカジャンボを買って食ったら、予想通りの安っぽい味で、これは嬉しくて最後まで食った。旨くはない。旨くはないんだが、ヘンなものが食いたいという欲求が満たされ、それまで狂おしく思っていた(やっすい魚肉ソーセージが食いたい)という思いは跡形もなく消え失せた。雲散霧消ってやつだ。ついでにマクドナルドのヘンなハンバーガーへの欲求も消えた。あれ旨くないよね。いつまでもカビないし。
 その連想で、(ところでビッグマックはどうなっておるのだ)と気になって値段を調べたら日本が450円。タイのビッグマックは145バーツだから、今のレートで611.33円か。4.16ドルだ。日本が3.06ドル。また差が開いたな、と思ったが円安だからね。しょうがない。日本とタイの物価指数はこんなもんで、「ビッグマック指数」ってのは結構信頼できるよね。要はマクドナルドのマーケット分析が正確だってことだ。
 そんな訳で、タイ語の歌詞の翻訳が面倒だったんで、今回はインストゥルメンタルで手抜きだったし、今後の更新も遅いと思う。
 とりあえず生存確認の報告として更新しておく。生存確認とSaison en enferは、あんまり似てないし、違う。そんなことより、もう眠い。
 おやすみなさい。
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