もっとましな嘘をついてくれ ータイ歌謡の日々ー

タイ歌謡について書いたり、うそをついたり、関係ないことを言ったりします。

セブンで逃げた恋

2020年04月21日 21時37分02秒 | タイ歌謡
รักหนีที่เซเว่น - รุ่ง สุริยา
 ルン・スリヤーさんです。一発屋です。
 見た目と違って、この人インテリなんだよね。トゥラキットバンティット大学の行政学部卒です。
 歌手の他に俳優もやっていたりして、この人がテレビに出ると観客の歓声が凄い。
 ほんとうに良い人なんだそうです。
 日本だと一発屋って軽く見られがちだけど、この人くらいになると「あのセブンイレブンの」って感じでしょうか。まあじつはヒット曲は数曲あるんだけど、「セブン」が有名すぎて霞んじゃってる。
 とにかく、この人が出るとなると、観客だけでなく出演者も大喜びで嬉しそうなんだ。
 タイ人に好かれるタイ人なんですね。
 カラオケで、このセブンの歌を歌ったら、めっちゃ盛り上がる鉄板みたいな歌です。
 よっぽどの嫌われ者じゃなきゃ、これ歌えば大喜びで、斉唱が始まる。
 でも、愛されてるのは、あなたじゃない。この歌とルン・スリヤーが愛されてるからで、その威光を笠に着るというのは良いアイディアかもしれない。
 まあ、おれはカラオケなんか嫌いだから行かないんだが。

 久しぶりに、この曲を見つけたんで、エントリーしてみたんだけどね。
 この曲、Youtubeに上がるといつの間にか削除されちゃうんですよ。
 セブンイレブンの宣伝にもなるし、良いんじゃないかと思うんだけどね。
 曲名が「รักหนีที่เซเว่น(ラックニーティーセウェン-セブンで逃げた恋)」だからなあ。
 やっぱりイヤなのかな、と思うけど、歌詞を読んだら、これは駄目だ。セブンは削除するわ。

私の愛はセブン-イレブンで生まれた
ああ なんて酷いことだ 同情するよね
年長の知人や 良い友人が来て 
見つからないようにと 願いつつ 
私はペプシを飲む

朝から晩までセブン-イレブンで待つ毎日
店全体を注意深く見ていても 彼女は顔を出さず 
1年間だよ もう1年間も待ち続けていて
僕の愛もセブン-イレブンで終わる

暑さに負け 愛されず どんなに騙されても 
夕食を待つ毎日だ
彼女は浮気者

もうじき年長の友人や 良い友人も来るだろう
このまま待っていても
金持ちになることは絶対にないよな
 
 恋をしたのが、よりによってセブンだぜ、みたいな。笑っちゃうよな。だってセブンだぜ。駄目だろ、そんな愛は、みたいな感じでしょ。セブンのdisり方が凄い。こんな歌詞、タイ人が喜ばない訳がない。
 ちなみにこのMVでは、ルン・スリヤーさんと女性が待ち合わせをしているのに会えないという設定で、実はお互いに待っている店が店名が似ているだけで違う店だったと。だから会えないんだね、というオチです。
 しかし、よくセブンイレブン・タイランドがこんなMV撮らせたなと思うんだが、どうせ撮影スタッフが調子良いこと言ったんでしょうね。セブンイレブン・タイランドはチャルン・ポカパン・グループ(CPグループ)で客家だからナメたマネすると怖い。完成したMV観たおエライサンは怒っただろうなと思うと笑えてしょうがないんだが、一方のルン・スリヤーはトップライン・ミュージックか。興行の世界が物騒なのはタイも同じで、だれも死人が出ないのは結構なことです。
 この人も、こう見えて修羅場は潜ってるようで、十代の頃歌謡コンクールで優勝して「これはイケる!」と勢いづいて舞台衣装など買い揃え、でも仕事なんかひとっつも来なくて、文字通り無一文になったことがあって、「どうしよう。死んじゃおうかなと思っていたら、周りの人って、助けてくれるんですよねえ」と他人事みたいに笑ってて、ああ、これが人徳ってやつだなと思ったものです。

 思い出した。もう二十数年まえ、うちの奥さんをデートに誘ったとき、「え? 私とデートですか?」みたいな事言ってんで、「そう。セブンで飲み物買うとストローが必ず付いてくるでしょ。それと同じ。あなたが綺麗だから、デートに誘うんだ。あたりまえの(เป็นธรรมดา)事なんです」と答えたら、「あー。セブンのストローと同じなんじゃ、しょうがないですね」と快諾してくれたんだが、タイの女性をデートに誘いたいが困っているという人の参考になれば幸甚というものだ。
 さて、タイのコンビニとストローの関係だが、コンビニで飲み物を買うと自動的にストローが付いてくるという、それだけの事だ。飲み物とストローは手を繋いでいる。必ずだ。だから店員さんは「ストロー、お付けしゃぁすか?」みたいな事は訊かない。当然付くに決まっているからだ。紙パックのジュースだろうと瓶入りだろうと缶入りだろうと否応なく付いてくる。酒を飲まない店員さんは缶ビールにまでストローを付けてくる。飲み物が多いと、いちいちストローの本数なんか数えてられないから、ひとつかみ握って買い物袋に放り込む。
 なぜだ。缶入りの炭酸飲料なんかストローに炭酸ガスが付着して浮いてくるから邪魔だろう、と言うと「日本と一緒にしないで欲しい。タイの缶なんて信用できる訳がない。雨ざらしとか、犬が上に座ったりしてたら、どうしますか。ストロー使わなくちゃ」と言い募る。確かに犬が座っていたら嫌だもんなあ。だから、俺がうちの奥さんを初デートに誘った頃が「セブン≒飲み物≒ストロー」というコンセンサスがタイで完成された時期だったように思う。この曲がリリースされたのがその2年後、1999年のことだ。

 それでは、最近のルン・スリヤーさんの様子はどうかというと、これは3年まえのステージだが、相変わらずの人気だ。
รักหนีที่เซเว่น - รุ่ง สุริยา l ชุมทางดาวทอง คอนเสิร์ตสัญจร [ 17 พ.ย. 60 ]
 トッチャン坊やっぷりに磨きがかかってますね。キャッチフレーズが「สุภาพบุรุษลูกทุ่ง(スパープブル・ルクトゥン-ルクトゥン紳士)」ですからね。踊り子さんたちも、こんな名曲で踊れるなんてと、大張り切りだ。「ルン・スリヤーさんの後ろで踊ったんだぞ」と孫にまで自慢できる。
 こういう国民歌手のあり方ってのもタイならではですね。

 あ。あと最後にまたYoutubeで、このMVが削除されてたときは、「รักหนีที่เซเว่น 」のワードをYoutube内検索してみてください。「เซเว่น ลูกทุ่ง 」なんかで検索すると、なかなか出てこないんだ。

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