こっちゃんと映画をみまちょ♪

レビューと呼ぶほど中身なし。しかし中身が無いのも中身のウチよのぅ。・・・なんちって。

ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 (2005)

2006年02月07日 | しびれるMovie

こっちゃんポイント ★★★★★

鑑賞環境  試写会 
上映時間 136分
製作国 アメリカ
公開情報 劇場公開 (FOX)
初公開年月 2006/02/18
ジャンル ドラマ/音楽/伝記
映倫 PG-12

最愛の兄を事故で亡くしたジョニーは、周りに溶け込めない孤独な少年だった。そんな彼の心の拠り所は、ラジオからいつも流れてくるジューン・カーター(リーズ・ウィザースプーン)の歌声。成長したジョニー(ホアキン・フェニックス)は空軍を除隊後、初恋の女性ヴィヴィアン(ジニファー・グッドウィン)と結婚するが、さらに音楽への夢を募らせていく。彼は軍隊時代の自作曲でオーディションに合格、プロのミュージシャンの道を歩むようになるが妻との諍いは絶えず、ジューン・カーターと共演したのを機に、彼女に心引かれていく。

(goo映画より抜粋)

おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお尾尾尾尾ぉ~。
こ、これはスゴイ!スゴいぞぉぉぉぉっ!

目の前の大きなスクリーンですら収まりきらないホドのオーラを放つこの男は、いったい誰だ?
見た目には明らかにホアキン・フェニックス。しかし、この映画のアナタっって・・・
完全に誰かが乗り移ってマスよ!そう。”誰か”があなたの中に入り込んでますってば。

その”誰か”は、間違いなくあのジョニー・キャッシュ本人に違いありません。この映画の撮影中、ジョニーの魂は、ホアキンの体に降りてきたのですね。

そういう意味でこの映画は、正真正銘ジョニー・現金(←キャッシュと言えッ!)のオンステージ・ムービーなのでありますっ!
はっ!( ̄^ ̄ゞ ケイレイ!

これは噂どおりの素晴らしい作品です。

実は鑑賞にあたり、ちょっと事前情報をチェックしてみました。

こんな感じで。

調査報告①
どうやらホアキンが生歌を歌ったらしい。

調査報告②
しかもリーズがこれまた生歌を歌ってるらしい。

調査報告③
そんでもって二人ともアカデミー賞の主演賞(男優、女優のそれぞれ)にノミネートされたらしい。

調査報告④
つまりこれは”音楽モノ”らしい。

調査報告⑤
そういえば昨日【札幌雪まつり】が始まったらしい。 ←これは関係ないだろ!

 

・・・とまぁ、こんな具合です。

これだけ情報があれば、、もうカンペキ。この映画を観るには十分すぎます。

え?「ジョニー・キャッシュの過去のナンバーを全部チェックしなくて良いのか?」って。

アータ、いったい何曲あると思ってるんですか!

この人、アメリカとヨーロッパだけで1,500曲を470のアルバムでレコーディングしちゃってるんですよッ!バケモノですよ、バケモノ。人間業じゃぁありませんてば。ヘタに全部聴いてからこの映画を観ようなんて考えようものなら、いったい鑑賞はいつになるやら。こっちゃんなんて、この人の名前しか知りませんでしたから。
そんなんでいーんです!

でもね、それくらいの方が、逆に楽しめるっていうのはアルかもしれません。ホアキン・フェニックスは確かにスゴイ成りきりようなのですが、別に顔の骨を削ったわけでも、目の玉を取り替えたワケでもありませんからね。

実物の写真とジックリ比べたりしたら、そりゃ違和感も出てくるってモンです。

ハッキリ言っちゃえば、顔はそんなに似てません。でもそれはジューン・カーターを演ずるリーズ・ウィザースプーンも同じこと。

なのに、何故?ってカンジなんですよ。
何故に本人に見えるの?ってコトなのよ。

この映画で観るホアキンはホアキンじゃない。そしてまたリーズもリーズじゃないんです。そうは見えないの。これがとっても不思議。何故かしら、本モノの『ジョニー・キャッシュ』と『ジューン・カーター』という人の姿で、いつしか彼ら自身の生き様を見せ付けられているような錯覚に陥ります。

こ、っこ、っこ、・・・・・コケッコー! コケェッ!コケッ!
こ、こ、こ、こ、これが「真の演技」というものなのかぁーーーーッ?!

役に入りきるにもホドがある。
「役者がやってる演技」というコトを完全に忘れさせる・・・ほんと、そんなカンジです。

これはもう「成りきり」なんて生易しいものじゃなく「憑依」です、「憑依」!心霊現象です!ラップ現象です!エクトプラズムです!金縛りです!呪怨です!輪廻です!優香です!

まるでホアキン・フェニックスの体を借りて、本物のジョニー・キャッシュが歌声を発しているかのよう。

ところが!ところがですよ。こっからが大事です。この映画はホアキン・フェニックスばかりに気をとられてはイケません!ここにももう一人霊に取り憑かれたイタコ的患者サマがいらっしゃいます。


それがリーズ・ウィザースプーン。
もう目がイっちゃってるのがお分かりでしょうか?
ハッキリ言ってこの人スゴイです!ホアキンもスゴイけど、この映画では彼にヒケをとらないほどスゴいんです。

まず彼女の1曲目を聴いて腰を抜かしました!

何という歌唱力!何という声の張り!そして何という美しい響き・・・

アップテンポの陽気なナンバーのハズなのに、楽しいという感覚を通り越し、感動を覚えます。この人、こんなに歌上手かったの知りませんでした。そして知らぬ間に、なんと堂々とした女優さんになっていたのでしょうか。これには驚きを隠せません。

そんなメインキャストに引っ張られ、映画は淡々とミュージシャンの人生を描いて行きます。今さら目新しくもないような典型的なアメリカンなロックミュージシャンのパターン。そんな人生劇場が延々と語られるわけです。

ところが、それが全然つまらなくない。それどころか目が釘付けになってしまいます。音楽の魔力でしょうか?実に魅せます。話の流れもとっても分かり易く、その分感情も入れやすい。しかも編集もなかなか上手かったりしますからね。だから退屈しないんですね。

少年の頃、最愛の兄を事故で亡くしてしまったジョニー。父親とは確執が生まれ、やがて空軍に入隊。その後、セールスマンに転向したりもするが、ある日レコーディングスタジオで耳にした新鮮な音楽に心を惹かれ自動車修理工の仲間2人とミュージシャンを目指す。

オープニングとともに聞こえ始める音楽・・・。小気味良いリズムにのって手拍子、足拍子、床を叩く囚人達。そうです、ここは刑務所の中。前奏が流れているというのにジョニーはまだステージに立ってはいません。いったいドコに?彼は受刑者達の木工作業場で電動ノコギリの歯を見つめているのでした。

最期まで観ていると、このシーンの持つ意味の重みがズッシ~ン!と心に伝わります。

「ああ。そういうコトか。」、と。
ジョニー心境の揺れが手に取るように分かる秀逸な作り。
思わず拍手を贈りたくなる映画です。

素晴らしい!ほんと素晴らしい!

映画で使われるセリフも、厳選に厳選を重ねたと思われるほど素晴らしい。

彼がレコーディング会社のオーディションで言われた一言。

「オマエがいま唄ったゴスペルはもう他のヤツが繰り返し唄ってる。
 その一曲でオマエという人間が全部分かる歌を唄え。」

・・・みたいな。

これ観終わった後も心に残るセリフでしたねー。

とにかくこの映画 観始めたら最後、ホアキンとリーズの歌に心を持っていかれっ放し
気持ちの良い音楽に、体は自然と指や足でリズムを刻みはじめ、
感激で目には涙がうっすら滲んでくるような、そんな映画です。

もっとアップテンポにしたいんだが、自然とああなる。

そんな風に語るジョニー・キャッシュ。
彼のミドルテンポのロック・ナンバーを、ホアキン・フェニックスの声を通して酔いしれることが出来る一品でもありました。

実際のジョニーとジューンのデュエット曲が、この映画のエンドクレジットで流れていますが、リーズの声に関してはカンペキに聴こえるほど似ていました。ただホアキンの声は実際よりチョット太いですね。これ、聴くと分かりますよ。

号泣まではしないまでも、「良い映画を観れた。」という満足感には浸れます。

ちょっとウルッときましたね。

《2006.08.06記事一部改訂》

 

【作品】ウォーク・ザ・ライン/君につづく道