トラは、僕の愛車 トラ君の事。
そんなトラとの付き合いと、
今は亡き父との繋がりを、徒然なるままに。
『 うちのトラは、1/4・英国娘 』
トラ君は英国車、一般名は トライアンフ ストリートトリプル だ。
トライアンフ社は、1960年代から1970年代にかけて、世界を席巻した有名な
メーカーだったけど、1970年代以降、日本車に世界的なシェアを奪われて、
1980年代に一旦工場閉鎖の憂き目に遭っている。
1990年代に復活してからは、安定した品質と世界的シェアを誇る日本製の部品を
多く採用する事になった。
その為、ドイツやイタリア、アメリカのメーカー製品とは異なり、
車体各部の作りは “ 日本品質 ” になっている。
BMWやドゥカティ、ハーレーが、独特の “ 匂い ” を感じさせる、“ 純血種 ”
だとすれば、トライアンフは “ 殆ど日本の英国娘 ” 1/4(クォーター)だ。
その為か、 彼女、1970年代・英国からの“形見”を引き継いでいた。
『 車検と彼女の “形見” 』
1/4・英国娘 だからと言って文句がある訳ではない。
英国製らしく、触るのが好きなエンジニアが設計した痕跡が車体各部にある。
そんな、日本製には無いチャームポイントがあるから、惚れて一緒になったのだ。
たけど、時々、困らせてくれる事がある。
今回、困らせてくれたのは、ボルト・ナットの規格だ。
1990年代に復活した際、採用した補機類も日本製(ブランド)が多く、
自然とボルト・ナット類も【 ミリ規格 】を採用していた筈だった。
しかし、車検の際に、光軸調整をしようとしたら、たった一カ所だけ、
1970年代、英国では主流だった【 インチ規格 】のナットが使ってあった。
通常使用している【 ミリ規格 】の 14 ミリ ソケットでは小さ過ぎて、
17ミリ ソケットでは大き過ぎる。
そこで、プロ用ホームセンターへ工具を買いに行く事に。
ナットの 二面幅は 9/16 インチ か? 5/8 インチか?
けれども、 ホームセンターには 【インチ規格】のソケットは無かった。
9/16 インチなら 約 14.3 ミリで、 5/8 インチなら 約 15.9 ミリ で、
商品棚には 15 ミリ と 16 ミリ のソケットがあった。
普段なら間違っても買わないが、今回は暫定処置、
取り敢えず 15 ミリ のソケット だけを購入した。
『 父の形見と英国娘 』
購入した ソケットを 懸案のナットに合わせてみると、
ほんの少し大きいけど、使える。
二面幅が 1/2 インチ の相手に、13 ミリ の工具を使う感触とよく似ている。
と、ここになって、ツールキャビネットに納めてある「父の形見」を思い出した。
40年程前、父が現役で使っていた、差し込み角 1/2 インチの ツールセットだ。
父から譲り受けて、僕は常に車のトランクに入れていた工具セットだけど、
9/16 インチ や 5/8 インチ のソケットも入っているのだ.
日本は、1910年代以降、フランスやイギリス、ドイツなど工業先進国の
自動車技術の導入を図り、KD(ノックダウン)製造や複製製造を進めた。
その影響は、戦後の日本には数多く残っていて、
当時、導入した【 インチ規格 】の車両も数多く残っていた筈だ。
戦後、戦地から復員した父は、軍隊時代の経験を活かして、
自動車整備を仕事とする会社を立ち上げたけど、
きっと、当たり前の様に、そんなツールセットが必要だったのだろう。
そう言えば、そんな父にも イギリス と縁があった。
出征先のビルマ(現在の ミャンマー)で、
戦闘機:スピットファイヤー から、熱い機銃掃射を受けた事があったとの事。
あの英国娘も、きっと【 インチ規格 】なんだろうね。
ここで、スピットファイヤーと書いて思い出した。
復活する以前の トライアンフ社、自動車の製造販売もしていて、
「スピットファイヤー」という 2座オープン・スポーツカーを作っていた。
きっと、それも【 インチ規格 】の 純・英国娘 だったろうね。
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