妖怪大魔王・コバ法王日記

オートバイを分解して磨き、正確に組み立て独自理論でラインを探り、ストップウォッチと頭脳で感性を磨き、日々の想い語ります

ガレージ日誌、 「不気味な音がする」

2021-01-29 00:19:54 | 妖怪ガレージ、奮戦記

     
『 音がする様になった 』


ある日、急に、音がする様になった。
「ガタ」、「カタカタ・タ」
それと一緒に、少し、揺れも感じる様になった。


街角を、普通に、ゆっくりと走っていても
フロントから、聞こえるそれと、揺れは
僕をいたく悩ませ、脅かす様になった。

おかしい、ホンダ、ジャイロUP
リコール該当品、フロント右、リーディングアームの折損、
2度目の今回は、念の為、新品のリーディングアームにしたのに。

折損時、必ず一緒に壊れてしまう、左右のダンパーユニット、
今回も、比較的きれいな、中古部品に交換したのに。
音がする様になった。

こういう時、自分で交換修理している者はつよい。
何故なら、交換作業のミスが原因だとしても驚かないからだ。
他人任せにしないから、決して怒りや不安はないからだ。




 

『 それでも、配達へ 』


念の為に、交換時に締め付けたボルト、全て点検した。
でも、全くガタ無く、異常はなかった。
しかし、フロントのどこかに異常があるのは間違い無い。

ゆっくり走りながら、ブレーキをかけると強く出て、
街角を、気持ち良くコーナリングを試みると、
フロントタイヤが揺れゆれて、外へライン膨らみ、遊園地状態。

でも、今日は 5㎞ 離れた知人宅へ配達がある。
人目を避ける様に、裏路地を、ゆっくり走る事もできない。
流れに乗って走る時は、後続車両との間隔を計りながら。
「ここで、フロント壊れたら、あそこで転倒だ、ヨシ!」

そんな道中、信号待ちで、もう一度、フロント見たら、
車軸とそれを支えているダンパー端部に隙間を発見。
「なんだ、車軸が遊んでいるだけか」

音と揺れの原因さえ判れば、もう安心。
車軸にガタがあっても、簡単には車軸は折れないし、
ブレーキも大丈夫、整備ミスではなさそうだ。



 

『 ガレージ作業 』


配達を終えて、ガレージに入った。
フロントをジャッキアップして、車軸を外してみれば、
ダンパー端部に入っている筈のベアリングが無い。

細い爪楊枝状のローラーが沢山組み込まれた
ニードルローラーが、破損して脱落していた。
昨年、友人が買ったオートバイでも見た症状だ。

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さあ、修理しよう。
本来ならば、代替品のベアリングを購入して、交換だが、
当然、部品は無いし、こんな所、計荷重部に使う必要も無い。

そこで、車軸との隙間を埋める様に、
バームクーヘン状、円筒状の部品を削り出し代用する事にした。
本来なら、アルミ素材で作りたかったが、中ぐりが難しい。

中心に 直径 12mmの穴を、旋盤の中ぐり作業は難しい
かと言って、12mmのドリル刃は無い。
だから、加工が容易な 樹脂素材で作った。

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BP製、ハンマーの樹脂製替えヘッドだから、
対摩耗性、耐衝撃性もレベル以上だろう。

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帰り道、走り始めた時から、すべてが気持ち良い。
まっすぐ走っても楽しく、曲がれば最高だ。
それに、車軸にガタが出たら、どんな症状になるか、
しっかりと、体験・学習する事が出来たから、最高だ。



   ********



< 追伸 >


この車両は、リコール事案として、右側リーディングアームが折損する事からも、通常走行時やブレーキング時、リーディングアームを始めとするサスペンション機構に想定以上にストレスがかかる事が分かっていたのだと思われる。その為、この車重レベルの車両のサスペンションとしては珍しく、ダンパーを固定する端部の構造が、ゴムを使ったブッシュ構成ではなく、わざわざ摺動抵抗の低いベアリング構成にしたのだと思われる。

しかし、ニードルローラーベアリングは保守は面倒で、しかも耐久性も低い部品だから、水や異物が入り難い周辺構造を万全にしてやる必要があるのに、低価格車、少し無理がある構造だった。

オートバイでニードルローラーベアリングが使われている場所で、特に一般的な所は スイングアームのピボット(軸)部で、ここも数年経過している車両の殆どは賞味期限切れの状態になっている事はさほど知られていない。
そんな事なら、カタナ250の様に、ベアリングを使用しないで、金属ブッシュ(メタルブッシュ)、ピボットシャフトより柔らかい金属で受け留めてやる形式の方が、頑丈だし、交換作業も簡単なのに、と思う。

ブランドや外観、パワーや装備だけを見て購入して、ベアリングの一つも点検しないなんて、オートバイを愛していないのと同じだ。
ん? ジャイロアップ、ベアリング点検したのか? と問われれば、やっていない!
きっと、トライアンフのトラ君だったら、目の色を変えて、
すぐガレージで分解していた筈。所詮は、愛情の有無か?

 

 

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