二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

4月8日(日) 光舜堂効果は読むだけじゃわかりません  11:00~17:00

2018-04-14 20:15:22 | ○営業日の報告日記
二胡を愛する皆様こんばんは、鞄持ち ほぉです。
今回のツカミの小話、長くなります。
さらっと書いたら、店主に細かくダメ出しされました。
「長くなってもいいから大事なことだからしっかり書いて!!」
直しても直してもまだ説明が足りないと言う。
「えー、小話じゃなくなって記事1本書けますよ、
日記本文へ繋げようと書いてたのが崩れるから、もうやですよ」
「枕なんていいから!意味を正確に説明するのが大事なんだから!」
えー、ワタクシ的には小話も大事なんだけど。。。

という事で、大(事な)話。

店主も書きましたが何度も言いますが本当に大事な事として。
蛇皮には油分は要りません。
一部の先生や、あろうことか楽器店でオイルを薦めていますが、
ご自分の手で蛇皮の寿命を縮めたいというご意思が無いなら、
薦められた相手が誰であれ断固拒否してください。
お友達が結果がたまたま良いと感じて薦めても、貴方の二胡に合うとは限らない。
緩んだ結果の予定外の張り替え料金、、、油分を薦めた人は払ってくれませんからね?

先生や製品を売る楽器店は「塗り過ぎはダメ」とちゃんと言っています。
「多少なら、平気」とも。
しかしその、「塗り過ぎ」とはどの位なのか、「多少」とはどの位なのか?
その加減がわからずに個人差による「多少の油分」で皮を緩めてしまう人が
後を絶ちません。
光舜堂でも何人の、油分緩みの皮を張り替えたことでしょう。
皮に油分が欲しくなるのは冬場のほんの限られた一時だけです。
しかも、それは花窓側から息を吹きかけて
手で皮をそっとナデナデしてあげれば済んでしまいます。
なのに「多少」を1年中塗っている人もいます。

そして、皮の表面の仕上げも各メーカーによって違います。
蝋系で固めてある皮でも様々種類はありますし、
素材そのままを張ってある皮では、固めている物とは質感もまるで違います。
そこに使う量は、浸透する度合いが違うのですから、
例えば「逆立った鱗を落ち着かせる」
といった効果を期待して使う「多少の量」は、二胡によって大きな差が出ます。
熱心にお手入れする人ほど沢山塗り込み、張替える結果を招きます。
しかし、これまた何度も言いますが、
中国での蛇皮の張替は最近の流行りなのかわかりませんが、
最初から良く鳴るようにする為なのか緩く張る所が多いので、
そういう工房で張替えると、良く鳴る状態は数年しかもちません。
皮が緩んだからと貴方がむやみに張替に出しても、
そのメーカーが長くもつ状態で仕上げてくれるかわかりません。

光舜堂は以前から「蛇皮に油分はNG!」 と言い続けてきましたが、
まだまだその認識よりも“本場”とか“中国人の先生”の方が影響力は強いので、
そこから発信する情報を信じてしまう人も多いです。ですが。
皮をなるたけ長持ちさせたかったら、油分は要りません。


とは言え、油分なんて塗っていなくても蛇皮は消耗品です。
今週の光舜堂には、そんな寿命が来た蛇皮を他店で張替えた二胡がご来店。
しかし、なんとも残念な諸々(詳細自粛)。。。
「なんでウチに持って来なかったの?!」 と店主。
諸事情あってやむを得ず他店に出さねばならなかったようですが、
店主はこの結果を食い止められなかったのがなんとも悔しそう。
習い事ってどんなものでも結構お付き合いが面倒だったりしますが、
二胡もなかなか大変なのですね。。。

一方、Hさんはしがらみも無くスッパリとCDM改造のご依頼。
もう満面のニコニコ顔で「お任せします!」
こういうご依頼が一番店主はノビノビして良い仕事をします。
細かい御指示がある方にももちろん対応しますが、
ご依頼主さんのご希望が店主の希望と違う場合もありますので
あらゆることに非常に神経を使います。
店主は製作や作業結果にとても神経質なので、お相手がいる場合
一段と真剣で、ご希望に寄せるためにかなり消耗するのです。
しかし光舜堂の古くからのお客様にはこう言う方が多いのですが、
「ぜーんぶ西野さんの良いようにやって下さい♪」
このように仰っていただけると存分に本領を発揮できて、
しかも気分が良いので仕事もはかどって早いので、
「こういう風に任せてくれると有難いんだよ。だから感謝!」
と、その分、依怙贔屓も盛り盛りになります。



さて話変わって、調整でいらしたOさんは福音弓ユーザーさんです。
『西風』 と、今は無き『阿炳礼賛』 をお持ちですが、
この日ご持参の二胡には『西風』 が付いていました。
しかしその『西風』 で弾いた店主、「うーん、触っちゃったね?」
「ええ?そうですか?わからないわー」
この辺がね、と店主が指差す一帯は、触るというより
結構繰り返しの習慣で徐々に油分が付いてしまいやすい箇所。

ケースに入れる時に棹を握ったりする時って、
だいたいいつも同じ位置をつかみますよね?
その時に毛を触らないよう気を付けても掠ったりしていたら、
それが日々の繰り返しとなると毛に油分が蓄積したりします。
(弓にカバーを付けて保護している人でも結構触っていますから
気をつけてくださいね!)
そして、それは徐々に侵蝕するので、(比較的福音弓はテキメンに
油分の影響は出るとは言え)弾きにくくなっているのが気付きにくいです。
実際Oさんは店主に指摘されるまで気付いておられず、
滞在中に弓毛洗浄をして乾いてから確認すると、
「まぁ!全然違うわ!今度もう一つのも洗ってもらおう」
という結果になるのです。(笑)



ところでこの日は、
上京中だった、店主のFBトモダチのM先生がお立ち寄り下さいました。
M先生はとても古くて素晴らしいマグロ材の黒檀二胡をお持ちです。
ところが最近フェイスブックに割れて修理に出したと載せていらっしゃいました。
「どう?割れた所はきれいに直った?」 と店主が見せていただくと、
おおぉ、やはり良い材の二胡はすぐわかりますね、見事なマグロです。
しかしひと目見た店主、「直ってないじゃない!」
うん確かに他店で直したという部分、光舜堂基準では直っていません。。。
「この輪っか付いたままだったら締められないんだから
この状態で何やっても直らないよ」
と、花窓の枠だった輪の痕跡を取ろうとしましたがガッツリ接着。
「そもそもこれがガッチリしてるのが割れる原因なんだよ、
取るよー」 と外しかけた店主でしたが、ワタクシが阻止!
「ダメですよ!今日おいていけるご予定じゃないのだから。
それ取ったら割れは直せてないんだから抑えを失って割れが進んじゃう!
むやみに外すの危険です!!」
「あ、そうね」
具合悪い胡を見るとすぐいじりたがる店主には時として困ります。
「あはは、正論だ」 店主と店番のやりとりに愉快そうなM先生。
しかし「うわー黒檀の音だー!」 とマグロの西野二胡の音色にビックリし、
「Mさんのだって素晴らしい黒檀だから、
今悪くなってるあちこちのコンディションが良ければ、
本当はこれくらい良い音色なんですよ」 と聞くと、「入院を検討します!」 と。
一度割れているからこれもきっと良く鳴るよねー♪と話す店主とワタクシに、
「そうなんですか?!」
「うん、なんでだか一度割れたことのある楽器っていつも、
その割れを直すと更に良い音色になるんだよ」
それを聞いてM先生、かなり心惹かれたようです。

他にも、初めて聴くCDMの音色と弾きやすさに驚いたM先生。
またモドウッド駒の効果や、調整の効力、
他店では指摘されなかった二胡の状態診断などなど。。。
今まではフェイスブック上でしか店主と交流が無かったので、
始めての光舜堂は驚きがいっぱいだったようです。

結局のところ光舜堂でやっている事の真価は
ブログやSNSではとういてい伝えきれないのですね。
いらしたことの有る方や出張調整会で経験したことの有る方、
また福音弓や西野二胡を実際手に取ったことの有る人しか
これからも解らないままでしょう。
「百 SNS 聞」 は「一 光舜堂 見」 に如かず。
本当の光舜堂効果をご自分の二胡にもご希望の方は、
ブログを読むだけでなく是非ご来店下さいね。

この日ご来店の皆様、ありがとうございました!
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