二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

小信さんから最後の刃物届きました。

2022-09-06 10:07:14 | ■工房便り 総合 
100年近く彫刻刀や鑿の制作う続けてきた「小信」さんが、昨年10月で廃業するとのことで、最後に小信さんならではの刃物ということで、4本お願いしたのが昨日届きました。
左の2本は旋盤用の刃物です。二胡の木軸を削る刃物です。
右の2本はヴァイオリンのための刃物と思っていますが、様々に使えると思います。
以前ほぉさんと話し合って、イタリアのクレモナでヴァイオリンを製作している坂井さんに、感謝を込めて何か送りたいと、そこで、私がヴァイオリンつくりを始めたきっかけにもなった方へ送るのだから、やはりヴァイオリン系の物ということで、「小信」さんにお願いして私のとおそろいでパフリングカッターを作っていただいたのです。
坂井さんに送ってしばらくして、メールをいただきました。
「木が水羊羹のように切れる」
坂井さんも勿論プロのヴァイオリン制作者ですから、ドイツあたりの良い刃物を使っているとは思ったのですが、「小信」さんの切れ味には大変驚いたようです。
「小信」さんの刃物を私が使うようになったのは、ヴァイオリンを作り始めてからです。
それ以前は、「石流」や「為」など比較的鋼の柔らかめの物を使っていました。
それは私が家具屋で硬めの木を扱うからです。
ヴァイオリンを作る木の様に比較的柔らかい木を使う場合、硬めの切れ味を優先する鋼の方があっているのです。
「小信」さんの刃物を使うようになってから、ヴァイオリンの仕上がりが一気に楽になりました。
その「小信」さんが廃業するとのこと、慌てて、注文を潜り込ませていただいたのが、この4本です。
以前お会いした時に、刃物の話を様々聞かせていただきました。
いずれその話は書くこともあるでしょう。
工房は3名の方で制作していまして、みなさん殆ど私と同じくらいの年齢でした。
「近いうちにやめる」とはその時に聞いていたのです。
何しろ鍛冶屋は火を扱います。一日中日のそばに立って、(座って)火を見ているのです。
火というより火色ですね。
形を作る時の鋼の方さ、地金と合わせる時の火の色、何より肝心なのは,焼きを入れる時の火の色。
これらは全て目で見て作るのです。
もちろん今の時代は温度を測る道具も発達していますから、工業製品はそれらに従って作業は進めています。
でもそれらは、みな企画された一定の物です。
「小信」さんの様にそれぞれ違う形の物を作り上げるにはどうしても人の目での確認ということになります。
ただ、辛いですよね!長い間1200度を超える火の色を見ていると目が焼けてきます。
私もコークスなどで鉄を赤めて門扉など作りましたから、それはよくわかるし、友達の鍛冶屋たちもやはり60才くらい過ぎると、仕事を止める人も多いです。
又,跡継ぎのできにくい仕事でもあります。
多分二胡屋も、、、
ネオちゃんに頑張ってもらいましょう。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ



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