私自身は、送ってもらったうえでの修理というのは今はやっていません。
以前知り合いの二胡の先生や楽器屋さんに頼まれて地方の方の楽器を直したこともあります。
その時にいくつかあったことは、運送そのもので二胡が壊れる、あるいは全体にはずれてしまうなどという事もありました。
お客様から、頭の取れた二胡を送ってもらい、それを修理して、コチラから送ったところ、頭が取れていたなどという事もあります。
どうも、運送屋さんが何かにケースをぶつけたようなのです。
ですから、壊れたのは、直したところのすぐ脇が木が破損してしまったのです。
ボンドでつけて直したところというのは意外と強いのです、ですから衝撃などがあると、そのすぐ脇が壊れたりもします。
テーブルなど家具などでも接着したところの、すぐ脇が割れるという事は多いです。
また、木軸がすぐ緩くなるという事で、送ってもらって、ケースをあけたところ、頭が取れていたという事もあります。
ケースによっては、内部で、二胡が運送などの振動で、がたつくものも多いです。
ですから、送る時には、二胡の頭の周りをエアキャプ(プチプチ)で巻き込んで、内部で遊びが無いようにしてからケースに入れます。
とにかく二胡の頭というのはとても壊れやすい物で、以前シンガポールからいらしたお客様が、高校生の時部活で二胡をやっていたが、メンバーの二胡のほとんどが頭が取れていたなどと話されていました。
皆さんもあるいは皆さんの周りにも、頭が取れたというのはたくさん聞いていらっしゃるはずです。
これは送ってもらううえでお客様にも注意していただかなければいけないことの一つです。
このことがあるので私としては、送ってもらっての修理というのはしたくないのです。
いくらわかっていても事前にお話ししたとしても、帰ってきた二胡の頭が取れていたら、皆さんどう思いますか?
壊して送り返したと思われる方がほとんどだと思いますし、こんな扱いをして、良くない二胡屋だとも、思われると思うのです。
これは致し方のない感情的な問題でしょう。
たぶん、この送っての頭の破損というのは、絶対ないとは言えないのでは無いでしょうか、もちろん、運送屋さんにしてもちゃんと運ぼうとしています、うちに来てくれている人などは、楽器だからとかなり特別に扱ってくれています。
しかし、絶対が無いのも確かなのです。
また修理して、送ったところ、内部で木軸ははずれ、駒ははずれ、弦ははずれなどという事もあります。
最近では私も慣れて来て、木軸はマスキングテープで棹に巻き付けて動かないようにして送るようにしました。
これは良いですね。
マスキングテープですと巻きつけた面も傷みにくいし、かなりしっかりとまります。
これをガムテープなどでやりますと、中には塗装してある二胡もありますので、ガムテープをはがす時に塗装まで剥がれることもあるのです。
この木軸が動かないようにしておけばほかの弦が外れるというようなこともありません。
後あるのはケースの破損ですね。
特にファスナーのリップの破損です。
引いたとたんに取れてしまった割れてしまったなどというのは相当多いです。
皆さんが光舜堂にいらしたときにでもケースをあけた時にかなりの数のリップが壊れたものがあります。
こういう時には、私は他の糸や、皮の紐などで作って送り返すのですが、壊してしまったとのご不満も言われることもありました。
他の人のファスナーが壊れた時には、まあ、かの国の商品だからと笑っておられても、御自分のが壊れると思っていないのが、これは普通です。
自分に起こることとは思っていないのが、人の常です。
交通事故でも、震災や災害でも、人の感情としては、何で自分にだけと考えてしまいます。
あるいは、人の事なら、大変ですね!と思ったとしても、自分に起きたら、どうだろうというリアルな実感はないのではないでしょうか。
病気も事故も自分が関わらない限り実感はない物です。
自分の手を離れたら何があるのかはわかりません。
運送にしても、受け取った運転手さん、トラックに運び込む人、中継ステーションで、おろして他のトラックに積み替え、最終の集積所に行って下ろし、お宅まで届ける運転手さんが積み込んで、また最後に下ろしてお客様に手渡す。
これだけでも、8人の人手に渡っていきます。隣にどんな荷物があるか、急ブレーキなどで荷物が押し詰められたり、何か重い物が上に乗ったり、トラックの中で荷物がずれたり落ちたりです。
そういう状況の中で、ちゃんと届けてくれる、運送屋さんというのはありがたい物だといつも感謝してはいるのですが、それでも事故というのは避けられません。
本当にまれにとしたとしても、二胡の頭というのは壊れやすい物ですから、それがたまたま、あなたの物だおつぃたら、仕方ないでは済まない気持ちになると思うのです。
二胡を送るというのはこのような事なのです。