声がかすれてきて、急に声が出なくなって慌てたことはありませんか。
声が出なくなる原因は実はいろいろあります。
どんな病気が元になっているのか、どんな症状が出るのかを知り、セルフケアの方法を学んでおきましょう。
要チェック項目
□声が出ない、かすれるといった症状には実はさまざまな原因があります。
□風邪など一般的な病気によることもあれば、声帯をよく使う人に特有の病気もあります。
□受診とともに日常生活でのセルフケアにも気をつけましょう。
声が出ない病気がある
病気で声が出なくなるケースには2つあります。一つは喉が炎症を起こしている場合、もう一つは何かが喉にできているケースです。
いずれの場合も、喉の真ん中にある声帯に炎症が起こることで声がかすれます。これを嗄声(させい)といいます。声がかすれて出にくくなる原因としてはいくつかあります。
それぞれ具体的な病名と原因、どんな症状が出るのか知っておきましょう。
風邪(咽頭炎・気管支炎)
風邪に感染すると、喉の粘膜に炎症が起こります。喉から気管支に炎症が広がり気管支炎になっても声が出にくくなります。咽頭炎・気管支炎では次のような症状が出ます。
・喉が痛い
・喉の奥が赤い
・咳が出る
・痰が出る(気管支炎では汚い痰が出る)
アルコール・タバコの過剰摂取
刺激物であるタバコやアルコール度数の高いお酒を摂取し過ぎると、気管・気管支の粘膜に炎症を起こします。声がかすれたり、隙間から声が漏れたようになります。
ポリープ
声帯を使い過ぎると喉に炎症が起こりポリープを作ります。炎症のある部分を使い続けると内出血から血の塊ができます。これが声帯ポリープです。
通常は塊ができても自然治癒しますが、治らないとポリープになります。声がかすれたり、次のような症状が出ます。
・高い声が出なくなる
・話している途中で声が途切れる
・声がかすれる
声帯結節
声帯ポリープと同じように声帯を使い過ぎることで喉にしこりができます。大きくなると手術が必要になる場合もあります。
咽頭癌
声が出にくくなる症状で、怖いのが咽頭癌です。中高年の男性でタバコを吸う人に多いといわれています。突然声がガラガラになり、出にくくなったりかすれたりします。
甲状腺異常(橋本病)
比較的若い女性に多い甲状腺の慢性疾患です。甲状腺の腫れにはじまり、甲状腺機能障害による全身症状が出ます。声がかすれるほかに生理不順、むくみなどといった症状が起こります。
加齢
加齢によっても声が出にくくなることがあります。声帯が加齢によって萎縮するので行きが漏れる
ストレスで声が出ないケースとは
病気による炎症や腫瘍のほかに、心理的なストレスが原因で声が出せなくなることがあります。これを心因性失声症といいます。
心因性失声症とは、強い精神的なストレスが原因となって、声が急に出なくなってしまう状態をいいます。ストレスで声帯が異常に緊張してしまうために起こり、声帯にはなんら問題がないのに声が出なくなるのが特徴です。
失声症はほとんどのケースがストレスの軽減とともに自然治癒がみこめますが、心理療法などが必要になるケースもあります。
声が出ないときの5つのケア方法
マスクする
喉を乾燥させると刺激が強くなり症状が悪化します。外気から喉を守るためにマスクを着用します。
大声を出さない、しゃべらない
喉が炎症を起こしているとき喉を使い過ぎると声帯が内出血を起こしてしまいます。なるべく話さないで安静にします。
お酒を飲まない
アルコールは血管を拡張させるので炎症を悪化させます。お酒は控えるようにしましょう。
部屋を加湿する
炎症を起こしている喉には適度な湿度が必要ですから、部屋の湿度を保つようにします。
市販薬を飲む
風邪による声のかすれであれば、トローチやのどスプレーなど炎症を抑える市販薬を使うこともできます。
経過観察か受診かの選択
自然治癒することもある
風邪などに併発した咽頭炎は、風邪がよくなれば声もまた出るようになります。安静にしてひどくならないように心がければ通常1週間〜数週間で自然治癒するということです。
なかなか治らないときは受診する
声かすれが心配ないものであれば、安静にしているうちにだんだんと良くなります。
しかし、1か月以上経っても良くならない、かえって悪くなっていくという傾向が見られたら、早く受診することが大事です。咽頭癌など重篤な病気が隠れていることもありますのですぐ受診します。
声が出ないときにしてはいけないこと
大声を出す、長時間しゃべる
声枯れは仕事で声を出すことが多い人に多く起こります。学校の先生や保育士、歌手やセールスマン、部活動で大声を出す監督など、声を出すことが多い仕事の人は話す時間を減らすようにします。
喫煙・喫煙
刺激を少なくするため、アルコールとタバコは厳禁です。
ストレスを溜めない
声帯には筋肉があり、ストレスでも影響を受けます。体に疲労が蓄積しているとき、自律神経のバランスが乱れたときも声が出にくくなります。また、ストレス過多の状態では唾液も少なくなるので声帯の潤いも減ります。
いろいろな原因があるのでまずは受診を
声が出ない、かすれるといった症状にはいろいろな原因が隠されています。
声かすれが一過性のものでなく、継続的に続くようであれば重篤な病気かもしれません。
おかしいと思うことがあればまずは受診して診断を確定してもらうことをおすすめします。