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ことりのあしあと

ほんのわずかなじかん、立ち止まって耳をすませて自分を見つめたい。そんなあしあとをペタペタとのこしています。

読書日記11/22小手鞠るい『望月青果店』中央公論新社、11/23綿矢りさ『かわいそうだね!』文藝春秋

2011年11月24日 14時16分18秒 | 日記
小手鞠るいの作品を初めて読む。
『望月青果店』
http://www.chuko.co.jp/tanko/2011/08/004267.html
最近読んだ井上荒野とか、それと小川糸とも、すこしかぶっているような印象。

言葉が少し多すぎるけれど、
想いの複層性が、整理されないままに、
ごちゃっとして、からまったまま、突き出されている感じがするけれど。

それでも、読んでしまう。
小川糸とおんなじ。
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続いて、綿矢りさの新作を読む。
『かわいそうだね?』
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784163809502

寡作の作品、感じがどれも似通ってきちゃったな。
ずんずんと読めてしまうのは、いつもと同じ。
どんな風に脱皮して行くのかな、と、
少し楽しみにしながら、次の作品を、また待つことになる。

本書に収められていた、「亜美ちゃんは美人」のなかの、
次のフレーズが、全編の中でキラリと輝いていました。
”周りを見回して。ほら、見わたすかぎりおまえの人生だよ”

11/23 国際講演会「フィンランドの家族と福祉~“子どもの貧困”克服への手がかり」

2011年11月24日 13時35分52秒 | 日記
昨日は、なくそう子どもの貧困で、国際講演会。
フィンランドからヨキネン先生を招いてのお話でした。
http://end-childpoverty.jp/archives/1412

フィンランドというと、子どもにとっても、家族にとっても
何もかも、あたたかく包まれていることをイメージしていました。

そう、そうなのだけれど。
子どもたちの状況、家族の変容は、驚くほど
日本と同じような経過をたどっていました。

そして、でも違うのは、社会がそれを柔らかく受けとめて、
社会のシステムの中にくるみこむ懐の深さがある、ということ。
くるみこんでいけるようにシステムを変化させていく
可動性があるということ。

日本にも、変わっていくことの分析や論説や指摘や批判は、豊富にあります。
でも、変化に対応して、そこに「いま」ある人たちが安心して
暮らし続けられるような器に、社会が仕組み変えをしていく
ギアチェンジがなされていかない。

やわらかく動きを変容させていけるかどうかの違いしかないのに。
その違いが決定的な違いになっている。

たぶん掘り起こしていけば、
歴史的背景や思想的背景や文化的背景が
力強く背中を支えているけれど、
日本ができないいいわけにはならない、なぁ・・・と、感じたり。

ヨキネン先生は、おさえた口調で、誠実にフィンランドの様子をお話くださいました。
だから、キラキラする手の届かない話ではなく、
いっぽ一歩、手に入れていくことが可能な社会の姿勢、みたいなものに
想いを馳せることができました。

事前のインフォメーションが十分にできなかったこと、とっても悔やまれます。
フィンランドは日本とは違うよね~、と遠い別のよその次元の話、
では、けっしてないんだよ、ということ
ひとりでも、多くのひとに聴いてほしいお話でした。

その代わりに、昨日、ヨキネン先生を連れてきた
高橋睦子先生が書かれた
とってもわかりやすいフィンランドの子どもたちの様子がわかる本を。

『子どもと家族にやさしい社会 フィンランド ~未来へのいのちを育む』
http://www.akashi.co.jp/book/b66079.html

ちょっとかわった、ユニークな形で、フィンランドの子どもたちの様子を伝える本を。
『フィンランド中学校現代社会教科書~15歳 市民社会へのたびだち』
http://www.akashi.co.jp/book/b88527.html

読書日記11/20 橋本紡『もうすぐ』新潮文庫2011.11

2011年11月21日 13時57分32秒 | 日記
雨に降り込められた土曜日。
よく日の日曜日は、あたたかな晴天。

午後はむむちゃんの小学校の校庭開放当番でした。

前回の当番は7月、猛暑の夏の暑さのさなかの午前中。
校舎を覆うほど水をとばせるスプリンクラーが虹をかけてくれた。

今回は午後。あたたかな日差しの中、遊ぶには快適な日。
3時間の今日の当番は、むむちゃんやぷうちゃんをともなわない。
そして、校庭は、遊びたい子どもたちがサッカーボールや、バスケットボール、ごムボール、
一輪車やキックボード、竹馬などでたっぷり遊んでいる。

なので、朝礼台でたっぷりと読書タイム。

橋本紡の『もうすぐ』は、30代女性たちの
出産願望、出産難民、産科受難、未婚出産、避妊治療、等々の
「産む」にまつわるお話。
わかる気もするし、わからない気もするし・・・と、思いながら読み進める。

陽射しが傾くに連れ指先がつめたくなる。
ふと顔をあげると、走り回る子どもたち。

生まれてきた命なんだなぁ。ぜんぶ、みんな。
痛みをともなう苦しい時間をくぐって、
生まれ出てきた命なんだなぁ。

なんだか、胸が熱くなる。
斜めの光の中、飛びまわり駆けまわる姿が、まぶしくて、まぶしくて。

読書日記11/19 川上弘美『神様2011』講談社2011.9 細川貂々『7年目のツレがうつになりまして』幻冬...

2011年11月21日 13時56分58秒 | 日記
川上弘美が、社会問題に対するアクションを起こすのを
はじめて見た。

『神様2011』には、
1993年に書かれた『神様』が前編に、
後編に『神様2011』が掲載されている。

短いので、読み合わせて一字一句の異なりを読むことができる。
311原発@福島、後、の『神様』

どうして彼女がこれを、神様のリニューアルとして、
作品化したのだろう。

何か、問わざるを得なかった。
何か、書き出さずに得なかった。
何か、過去に無邪気だった、無邪気に過ぎた、我を、我々を、
問いたださずにはいられなかった。
そんな、フツフツとしたものを、感じます。

朝、起きてから、夜、寝るまでの、日々の暮らしを丁寧にいとなむことは、
何にも増してとうとい生命の活動だと、
最近、なんだかつよくくりかえし思う。

丁寧にいとなめるということが、貴いことと、
最近、きっと気づいている。

******
続けて、『7年目のツレうつ』を読む。
「ツレうつ」は映画でみただけ。
本読んでいなくて、これがはじめて読む「読み物ツレうつ」
映画とのテイスト、トーンが、とってもおんなじであることに、小さく驚く。
映画と本では、たいていは、異なるものとの、新たな出会いになるものなのに。

昨今の「ツレうつ」ブームの裏話。
うつ病の人を引き寄せてしまうこと、
カミングアウトを願わずして誘ってしまうこと、
うつ病の人に悩まされている恨み?を晴らさんとされてしまうこと。
あるよな~、と、思う。

そして、でも、貂々さんが「ツレうつ」スイッチを
オンにしたり、オフにしたりしながら、生きているように、
うつをわずらった人の周りには、
傷みを覚える人にそっと添おうとする人がいる。

そっと添おうと思える人、
そっと添える人が、
増えていったなら、もすこし、みんな生きやすい。

本書の中で、
川の真ん中をゆく水鳥について書かれたくだりがある。
右の岸、左の岸で何事があったときに、
すっとそれを避けることができ、
すっと軌道をもとに戻すことのできる
川の真ん中というポジション。
あぁ、心が揺れたら、
この水鳥を思い浮かべてみようと、思った。