ぼろぼろに疲れて帰った玄関口、お部屋の中からむむちゃんの声。
「あーちゃんのりんごがとどいたよ~っ!」
ふわっと心が軽くなる。
箱を開けて、りんごの赤い色を見て、手に取り、匂いをかぐ。
涙がほろっとこぼれるくらいにうれしい。
どうして、弱っている時がわかるの。
ぷうちゃんは、周りを飛び跳ねながら、
「あしたほいくえんに半分もってく~っっ!!!」
みんなでおやつに食べてもらえるようにね。
そのぷうちゃんの手には、今日の保育園のお散歩で
ワイルドにゲットした「しいのみ」。
みんなで食べて、さらに一人ずつ小分けにしておみやげにしたそうだ。
さっそくパチパチはぜるまで、炒る。
お夕飯前に、パキツ、ぽりっ。
ぷうちゃんは、パパにもあげたい、というので、袋に分けて取り置く。
ついでに、先週学校でもらってきた銀杏も並べる。
銀杏は子どもたちには不評だけれど、これも季節の香り。
りんご、しいのみ、ぎんなん
リスのようだ。
実りを食べる生き物なんだ、人間だってリスと一緒。
そして、それを分け合って、お腹に入る分が減っても喜べるのが、
ちょっとだけ人間らしさのプラスアルファ。
りんごは、甘くて、しゃりしゃりと青森の味がした。
医者いらずのりんご。
鼻炎か、風邪か、疲労か、よくわからない病院通いにもそろそろおさらばできそうだ。
あーちゃん、ありがとう。
血脈なんて、飛び越えて、
いま、この瞬間、命を紡いでくれている。